第18話 魔力測定器を使用します

 エミリアは第1箒兵大隊 大隊長室に呼ばれた。


 木製の重厚なデスクの上には、沢山の書類が積み上げられている。


「お前、魔力測ってみろ」


 ルイスは、デスクの上に置いてある魔力測定器を指差した。魔力測定器の見た目は体重計によく似ている。


 一般入試試験を受けた者は全員魔力測定をする。そして2000MP以下の魔力の人間は足切りされる。


 推薦入学だったエミリアは入学してから魔力測定をしたことはあるのだが……。


 測定器には、手を置くスペースの上に数字と針がついており、針が1を刺すと1000MPの魔力を保持していることになる。


 エミリアはおそるおそる魔力測定器に手を置いた。


「ん?」


 ルイスが眉にシワを寄せて測定器に顔を近づけた。


 エミリアは、またか、と思った。


 針が全く振れないのである。


「実は以前測った時もこうだったんです」


 エミリアがおどおどとしながら言った。


「おかしいな。……まぁいい」


 そう言って、机の上の大量の書類をエミリアに渡した。


「これ、種類別にファイリングしといて」



 勤務時間終了後


 少しふっくらとした体型の目の細い男が、ルイスのいる大隊長室に訪れた。


「新人どうですか?」


 落ち着いた笑顔で男がルイスに尋ねた。


「凄く変わってる……」


 ルイスは困ったような表情をして見せた。


「使えますか?」


「魔法は。それ以外は全くもって駄目。まぁ、根性はありそうだけど」


「そうですか」


 微笑んだ顔のまま男が質問する。


「歓迎会しますか?」


「歓迎会?」


 ルイスの頭には全く想像していなかった言葉だ。


 他の隊はみんな行なっているらしい。自分の時も確かに歓迎会はあった。


 ルイスは集団での飲み会が苦手なのだが、承諾した。



「歓迎会するから」


 巡回から駐屯地に戻る最中、ルイスが箒上でエミリアに伝えた。


「歓迎会……」


 エミリアは驚きながら呟いた。


「何名程で」


「お前入れて班員6名で」


「班員……?」


「うちの隊は班で構成されているんだ。普段の巡回は二人一組で行動してるが、モンスターがでたら、班や隊で行動するんだ」


「そうなのですね」


「お前……授業で習わなかったのか!?」


 ルイスが呆れたように、顔を後ろへ振り向かせて言った。


「そういえば習いました」


 習いはしたが、エミリアには、いまいちピンときてなかったのだ。


「お前、そんなんでよく卒業できたな……」


「すみません……」


 エミリアは自分の無知に落ち込みながらも、何かがおかしいと思った。


「私達、モンスターを二人で倒してますよね……?」


「手に負えない場合は応援を呼ぶよ」

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