第2話 異世界転生って、結局「死後の世界」の話なのでは

夕飯の後、長女(12)が

「死んだ後って、どうなるのかな」

などと聞いてくるのでね。こう答えました。

「何も無いと思うよ。虫や草木と同じで」


まあ、一時期流行りましたよね、「霊界」とか。日本人だと、丹波哲郎「大霊界」なんか、映画になったり。今見ると、何か陳腐に思えますが・・・

あとは、スエデンボルグ「天界と地獄」とか。小学生の頃、面白がって読んでました。


それにしても、一回死んだ後の世界のお話って・・・物語ですね、そういうのって、いわば霊界と言ってもいいんじゃ無いでしょうか。もう、元の世界には戻れないんだとしたら。若い人たち、霊界なんて言葉知らないだろうなあ。


だからなのか何なのか、私は「死んで異世界に転生」って設定がどうも、興味が持てないのですよ。だって、死んだらお終いだって思っているから。「死んだ後の世界」っていう、物語の共有を拒否していると言ったら言い過ぎか。


それよりは、「死」を経ない物語の方に興味があります。自分に置き換えなくていいような、その世界をのぞき込むような。頭が古いのかな。


まあ・・・今現在死にたい(だけど生きたい)人にとっては、「転生」という物語が救いになっている部分もあるのかもしれない。

私の場合は・・・死んだら「私」はそこで終わる。それでいいと思っています。なぜって、もういいですよ。私でいる事に、疲れている部分もあるから。


所詮、肉体は腐って大地に帰るんですから。それがどうしたというんだろう、そんな風に思って。花や草木が人間より劣るのか。生まれて、繁殖して、朽ちて、死ぬ。同じじゃないですかね、現象としては。


なんていう事を長女と話し合ってですね。まあ、こう言われました。

「死んだ後の世界があった方が、良くない?」

って。


で、私はこう返して。

「いや、要らない。だけど、物語を共有している人たちはもしかしたら、同じ場に集まるのかもしれない。そういう仕組みがあっても、おかしくは無いなあ・・・」


こういう話、やりはじめたらキリが無いという。死んで戻って来た人がいないから。




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