━☆ 》30話~ワープがあったらなぁ
INすると、目の前に王都の風景が飛び込んで来た。
歩いている人たちがいるけど、NPCなんだよね……。
プレイヤーらしき人は見えない。
取りあえず、ミチルがINしているか確認するかな?
「なつめ、おかえり~」
「ただいま。シシリー」
『ミチルだけど、シシリーに言ってワープ登録しておいて! 後ちょっとしたら戻るから!』
うわ! びっくりした。ミチルは、INしていたみたいね。
って、どこにいるの?
「ミチルへ――今、どこ? ワープ登録って? ……どうぞ」
『今、村。経緯は後で! ワープ登録は、王都にワープ出来るみたいだから。宜しく!』
村ですって!!
一体どうやって戻ったのよ!
「ミチルへ――了解。王都で待ってます……どうぞ」
『おう! 宜しく』
「よくわからないけど、ワープ登録ってわかる?」
「神官に登録するの。王都でしかできないから」
「へえ。そんな機能もあったんだ」
私は神殿へ向かう。
神殿の中も相変わらずがらーんとしている。
「ワープ登録したいって言えばいいのよ。お金取られるけどね」
「え!? お金とるの?」
シシリーは、うんうんと頷く。
何かにつけて、寄付でお金をとるのね!
「あの、ワープ登録したいのですが……」
「はい。では、1,000
「はい。お願いします」
「寄付感謝します。ステム様のご加護がありますように」
よし! これでワープし放題ね!
「で、このワープの仕方は?」
「村の神官に王都にワープしたいって言えばいいのよ」
「え? 村からじゃないと出来ないの?」
「できないわね。後、逆もできるわ。最後に立ち寄った神殿の村にもワープできるわよ」
「うん? 神殿? 神殿がない村もあるの?」
「そうではなくて、最後に神官に話しかけた神殿にワープって事。勿論、イベントなのど神殿は抜かしてね。今回だと、ランク戦のは別って事よ。あ、勿論ワープするつど、寄付は必要よ。なつめはまだ、信仰ランクが1だから1,000Gかかるわね」
「え~!! 何それ!」
「勿論、信者になっていなければ使えないけどね」
「ところで、信者じゃなくてもランクアップってしてもらえるの?」
「そういうのは、お金を払えばしてもらえるわ。ただし、清めの水は貰えないわ。だから信者になった方がお得よ! まあ、ならないプレイヤーなんていないとは思うけどね」
なるほど。信者になった方がお得になるようになっているのね。そして、寄付が多ければ、もっとお得に……。
でも私は、ランク1のまま。あまりお得感を感じない!
「ところで、
「そうだった!」
昨日は、『アタルの実』の仕事を完了して終わった。
どうせだから済ませておこう。
「仕事をしたいのですが」
「なつめさんには、これらのモノになります」
表示された仕事は、いっぱいだ。
探してみたけど、拠点探しの仕事がない。これはもう、ミチルが引き受けているはずだけど、誰でも受けられて、完了が早い者勝ちって聞いたけど違ったのかな?
「拠点探しの仕事ってないのね。早い者勝ち?」
「なつめには、表示されないわよ。信仰ランクが2ないからね」
「え!? それもランク関係あるの?」
「そうよ。まあ、その仕事はミチルに任せて、何か割のいいのを探しましょう。そうね、
「わかったわ。魔白の枝の採取でお願いします」
「では、宜しくお願いします」
よし、仕事受付完了っと。
『ミチルだけど、そっち行くから神殿で待ってて!』
「ミチルへ――了解……どうぞ」
元々、ここにいるし。
待っていると、神官の前にフッとミチルが現れた。
「お待たせ」
「よく、ワープ気が付いたわね」
「あんな便利なもんをなんで、教えないんだよ!」
「使う時になってからで問題ないじゃない。ねえ、なつめ」
「あ、うん」
ミチルが使う程だからお金安いのかな? 後でシシリーに聞いてみよう。
「なんで、村に行っていたの?」
「なんでって。暇じゃん! でもここだと一人だから狩りできないからさ。色々調べたら村に戻る方法を見つけて。で、お金も稼ぎたいから仕事受けて、ランク戦してないやつらと、狩りしていた」
「あれ? 拠点探しは?」
「まだ受けてない。今、受けて来る! 待ってて」
「うん」
まだ受けてなかったんだ。
そっか。ミチルは、レベルが上がってもお金がないと、ランクアップできないもんね。
あ、そうだ。
「ねえ、シシリー。ミチルはいくらでワープしてるの?」
「村までは信仰ランク2から4までは、500Gかかるけど、王都にワープするのは無料よ。因みにランク5からは、どちらも無料。だから一度王都に来れば、王都中心で活動は可能よ」
なるほど。ただなのね!!
せめて、信仰ランク2にしないとね。
「お待たせ。ところでなつめは、仕事受けたのか?」
「うん。魔白の枝集め」
「なるほど。どの門から出ればいいんだ?」
「北門よ。こっちは開拓されてない森になるから道すらないわよ」
「道も自分で作るのかよ!」
「拠点になる場所を見つければ、道は作られる設定なの。だから拠点探しはお金になるでしょう?」
「まあな。100万Gになる。驚いたぜ」
「そうそう見つからないからね。早い者勝ちだし」
「これなら競うだろうな。ランクアップが楽になりそうだ。うんじゃ。行こうぜ」
「うん」
私達は、北門から出て歩き始めた。
初めは道があったけど、途中から道がなくなって、シシリーが先頭で歩く。
ミチルの後ろを私がついて行く。
「マジでずっとこんな感じなのか?」
「違うわよ。もっと生い茂ってくるわ」
「凄くなるのかよ!」
「きゃ!」
私は、何かにつまづいて、ミチルに掴まった。
「おわぁ。お前な。気を付けて歩けよ」
「ごめん」
「あ、忘れていたわ。それ、モンスターよ!」
「はぁ!?」
「きゃぁ! な、何!」
石だと思っていたものは、亀だった!!
甲羅がぼこぼこして、石の様な感じで急に顔を出した!
「何で、言わないんだよ!」
ミチルは、そう言いながら剣を抜いた。私は、そのミチルの後ろに隠れた。
「だって、攻撃を仕掛けなければ攻撃して来ないモンスターだったから。取りあえず、魔法防御と物理攻撃の歌よ」
「うん」
「こいつ、魔法使って攻撃するのかよ!」
私が魔法防御と物理攻撃の歌を歌っている間に、モンスターは攻撃を仕掛けて来た!
って、足で砂をかいての攻撃!?
「いた! ちょっと待てよ! 何でそんな攻撃で半分近く減るんだよ!」
驚いた! ミチルのHPは、60%ぐらいになった!
歌! 回復の歌!
「優しい風よ。傷を癒せよ♪」
「一応あれでも、魔法攻撃だからね。多分攻撃力UPもつけて攻撃すれば一撃だと思うわよ」
「サンキュ! 攻撃力UP!」
カキン!
私にはそう聞こえた。そして、シシリーが言う通り一撃でモンスターは、ミチルの手により倒されたのだった。
あー。よかった。
「なつめ! モンスターを蹴るなよ!」
「そんな事言われたって……」
「シシリーもモンスターだから気を付けてぐらい言えよ! なつめにな!」
「うんもう。すぐに怒るんだから。いいじゃない。倒せたんだから。あまり言うと泣いちゃうよ。なつめが!」
「もう! ふたりとも私がって何よ!」
「まあ、いいや。うん? おぉ、あの亀のモンスターコア残していった。なんだこれ?」
親指と人差し指でつまんでシシリーに見せる。私も覗き込んだ。
何か楕円の中に楕円があって、更に楕円がってなっている。なんだろう、これ。
「シールドね。魔法防御を上げる盾の装備。メインが剣士なら装備出来るわね」
「おぉ!! ラッキー! で、これどうやったらいいんだ?」
「本当にラッキーね。さっきのモンスターは、普通は気づかないからレアモンスターになるのよ。弱いけどね。しかもまた、一発でゲットなんて。なんでかしら?」
「いや、俺は、この装備をどうやったら装備出来るかきいているんだが?」
「それは、神官にコアから出してもらうのよ」
「寄付いくら? 必要なんだろう?」
「レアだから10万だと思うわ」
「10万だとぉ!?」
ミチルは、腕を組んでうーんと考え込んでいる。
考えるって事は、10万はあるのね。まああるか。王都に来る時に引き受けた清めた水の搬送とあのアタルの実の取得の仕事を合わせれば、10万になるもんね。
「なあ、魔法防御ってあった方がいい?」
「そりゃもちろんよ。これからは、どちらの攻撃の敵がいるわ。ついでに言うと、なつめが歌っている魔法防御の歌は、魔法防御の総合の20%が増えるのよ」
「はぁ? 俺は、魔法防御ゼロだぞ! さっきの歌意味ないじゃん!」
「え!? そうなの? って私もゼロじゃない?」
「歌は、本当に総合なの。例えばなつめならガードチェンジで増えた防御も含まれる。ミチルなら攻撃力UPも含まれるの。だからとにかく値があればOKよ。歌の恩恵を受けたいのならそれ、必要かもね」
「じゃ、一旦戻ろう! そう遠くないし!」
「え!? 戻るの?」
「戻る!」
頷いて来た道を戻り始めたミチル。
まあ仕方ないよね。今回ので魔法防御ないと、凄くダメージ受けるのわかったし。
こういう時に、ワープで戻れたらなぁ。って思う。
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