━☆ 》25話~ランク戦5注目される神官
「ほれ」
ミチルは、コーデコアを一つ私に渡してくれた。
「やったわ!」
これで着替えられる!
「さてと、どこから出るんだ?」
「すぐそこよ。さっきのタタイヤが出て行ったところから外に出れるわよ」
「うん? もしかして隠し通路的な?」
「そうよ」
そう言ってふわふわと私達が通って来た一本道の洞窟へ向かう。って、洞窟に穴が!
「マジか。おぉ、外だ!」
シシリーが外に出ると、ミチルも続く。私も慌てて追った。
そこは、ミチルが言った様に外だった。でも、森じゃない。
「ここもしかして、山の麓?」
「そうよ。あそこに見えるのが、タタイヤが言っていた街よ」
遠くに街並みが見える。そして、振り返ると森林。ずっと上ににょきっとしている幹が見えるからあれが神殿ね。
ここからでも神殿の位置がわかるって凄いわ。
「へえ。俺達、山を中を通って最短で下りたのか。でもこれ、登って行くの大変そうだな」
「うん」
ミチルの言葉に私は頷いた。
レベル上げをしなくちゃいけないので、森の中を行くしかないだろうけど。
「あ、そうだ! あの街に寄ってみるか!」
「入れないわよ。二人が貰ったコーデに着替えないとね」
「一旦神殿に戻らないといけないじゃん」
「コーデクエストをクリアしないと行けないところなの?」
「そうよ。どのランクも同じクエストが用意されていて、強さが違うだけなの。今回のシナリオはここまで。次のランク戦の時に、入れる様になるわ」
そうなんだ。うまくできてるわ。
「ちょっと待て。それってこのコーデに着替えてもって事か?」
ミチルは、貰ったばかりのコーデコアを掲げて聞いた。
「まだ着替えられないわよ。コーデって基本、取得しているサブのコーデにする仕組みだから。なので、ランクを上げてサブを取得してからコーデチェンジするのよ」
「え? そうなの?」
「何だよそれ! コーデの為にサブ取得しなくちゃなんないのかよ!」
「あら。ちゃんとそれなりに強いわよ。何せHPとMPとSPが上がりますから。後は、メインジョブによって違うけどね」
「へえ」
「でも、取れたのは、あなた達ぐらいでしょうね」
「確かにな」
「え? そうなの?」
ミチルは溜息をつく。
もう、私の言葉を聞いて、ため息をつくのやめてくれないかな!
「あのさ、ランクによってモンスターのレベルが違うってシシリーが説明していただろう? 俺達が進めたのは、回復系があったからだ! あ、やばいかも」
「え? 何が?」
「今回ので、少なくてもHP回復の需要が出来た。お誘いが来るかもな。確か課金でメインを変えられたよな?」
「変える気なの?」
「いや、俺は変えない。ユニークガチャは、引き直しできないからな」
よくわかんないけど、お金を払ってメインのジョブを変えられるって事?
って、何でお金まで払ってそんな事をするの?
「わかってない顔ね。HP回復役がいないと先に進めないって気が付いたって事よ。基本このゲームは、一人1キャラなの」
「え? じゃ、私と同じ神官になるって事?」
「そうなるだろうな。歌の事にも気づけば、神官は引っ張りだこだろう。お金があって、ユニークが神官でも使えれば、変えるやつはいるだろう」
へえ。そうなんだ。
うん? じゃ、別に神官の格好でもよかったって事じゃない?
「ちょっと待って! じゃ私、神官の格好のままでよかったんじゃない?」
「まあ、そうかもな。でも俺は、神官よりそっちの格好の方が似合ってると思うけど?」
「うーむ」
なんだかなぁ。
少し我慢すれば、目立たなくなったって事よね?
「まあいいじゃないの。楽しかったでしょ」
「まあ。でも、ミーヤさんの事がよくわからなかったけど」
「本来は、続きのクエストをやればわかるようになるんだけど、タタイヤがミーヤを捕らえて応援を呼びに行っている間に、私達が彼の束縛を解いてしまった。って事よ」
そういう筋書きなんだ。
「そういえば、ミチルはよくわかったね。私は、シシリーに気を付けてって言われてもわからなかったのに」
「いや俺も、あのじいちゃんに襲われるとは思ってなかったさ。タタイヤって奴が現れて襲って来るのかと思ってた。だからあれは、焦った」
「でも襲われるというのは、通じたのね」
シシリーが言うと、そうだとミチルは頷いた。
凄いなぁ。
「うんじゃ、レベル上げするか」
「うん」
私達は、山の中に入った。
暫くの間、道なりに進んだ。
それからこっちと、シシリーが道から逸れる。
「モンスターが二体いるわ。ここ森だからファイヤーは使えないからミチル宜しくね」
「あぁ、そうだったな。じゃ、歌宜しく」
私は、物理攻撃の歌と物理防御の歌、そして魔法防御の歌を歌った。どっちの攻撃をしてくるかわからないからね。
「攻撃力UP!」
そう叫びながらミチルは、モンスターに飛びかかって行く。
モンスターは、熊みたいなモンスター。大きい!
「おぉ! あのカエルより防御低いのか!」
モンスターは、ミチルの一撃で半分以下になった。
「あれは、イベント用のモンスターだからね。ここの敵はこれぐらいよ。因みに魔法ならもっとダメがあるわよ」
「なるほど。魔法使いは、MPを消費しないといけないからか」
うん? ファイヤーは使えないんじゃなかったの?
「ねえ、ファイヤーを使うとどうなるの?」
「使えば一応火が点くわね。触れればやけどになるわ。で、一つ言っておくと、メインの魔法使いは、ファイヤーとコールドが最初から使えるのよ」
「え!? そうなの?」
そうよとシシリーは、頷いた。
そう言えば、こはるさんはコールドを使っていたっけ。あれは、最初から使える魔法だったんだ!
って、シシリーと会話をしている間に、ミチルはモンスターを倒した。
「なあ、ここのモンスターってコア落とすのか?」
「落とすわよ」
「まだ一度も来てないんだけど?」
「コーデクエストのモンスターは、ドロップしないからね」
「マジかよ!」
「あ、すぐ近くにいるわね」
「どっちだ?」
「向こうよ」
ミチルに聞かれたシシリーは、更に奥を指さした。
マップにはまだ表示されないのに、よくわかるよね。
外では、ある程度近くにならないと、モンスターの赤い点は表示されないみたい。
「よし! 行くぞ。なつめ、歌宜しくな」
「うん」
私は移動しながら物理攻撃の歌と物理防御の歌、魔法防御の歌を歌った。
「いた! 攻撃力UP!」
現れたモンスターは三体。さっきと同じ熊みたいなモンスター。それにミチルは、突進して行く。
一体は倒すもミチルは攻撃を受けた! モンスターの攻撃力は、あのカエルのモンスターと変わらないみたい。
ミチルは、もう一体倒すもまた攻撃を受ける。
「だぁ! 森の中は戦いづらい! なつめ! HP回復!」
「え? うん! 優しい風よ。傷を癒せよ♪」
ミチルは、光を纏いながらとどめを刺した。
《プレイヤーレベルが18になりました》
「あ、上がったわ。凄い! ここのモンスターって経験値いっぱい持ってるんだね!」
「お前な……。普通に考えたらクエストで貰った経験値が沢山だったって事だろう?」
「え? そうなの?」
「そうね。まあ、炎の石のところよりはあるけどね」
そういうものなのか。じゃ次は上がりづらいって事よね。
でもレベル上がってもランク上げないと、あんまり強くならないんだよね。
「後2レベル早く上げたいなぁ」
「うん? そんなにその格好嫌かよ」
「え? そうじゃなくてレベルが上がってもランクが上がらないと、強くならないような気がして」
「それはそうよ。レベルが上がってガンガン強くなるのなら誰もランクなんて上げないでしょう?」
「あ、そっか!」
シシリーに言われて納得です。
でもサブ選び失敗すると、大変そう。
そう言えば、メインが変われば選べるサブも変わるんだよね?
だったら神官にメインを変えた人はどうなるんだろう?
「ねえ。さっきの話に戻るんだけどさ。神官にメインを変えた人達のサブってどうなるの?」
「レベルはそのままだけど、ランクは全て1に戻るわよ。装備などもね。あと神官に払ったお金とコアは戻って来るわ。まあ、レベルはそのままだからメインランクは上げられるけどね」
「なるほど。じゃ弱くなるのね」
「お金とコアが戻ってくるのなら装備は上げられるだろう。1からスタートなのは、スキルや魔法。ランクは1だろけど、MPやSPは最初からそれなりにある事になるから直ぐに上がるだろう」
ミチルの補足で、そんなに弱くない事がわかった。
でも神官自体は弱いから大変かもしれない。
「これでバランスが改善されればいいなぁ」
「神官が増えれば、色々改善されるでしょう。でも、なつめを味わったら他は無理でしょう?」
「ちょっと! シシリー! 何その言い方!」
「だな。なつめなしじゃハードプレイしても味気ないかもな」
「だから! 何その味気ないって!?」
もう二人共言い方が何か、エロイのよ!!
他の人が聞いたら誤解するじゃない!
「いや、刺激的って事さ。さすが初心者」
「ふふふ。刺激的ですって」
「もう! 二人共おバカ!!」
人をからかって遊ばないでよ!!
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