━☆ 》23話~ランク戦3私も一人前の戦闘員
リューキさんを先頭に私達は進んだ。
リューキさんがいた部屋を出た向かいにある扉の向こうに出ると、ずっと下に続く階段があった。
って、それが途中で途切れてる。
「うお。こりゃちょっと高いな」
ぽっかりと空いた穴から外を覗いたミチルが言った。
どうやら洞窟の天井穴と繋がっているみたい。知らずに落ちたらまたHPが減る所だった!
「まあ、あれね。ここに掴まって下りれば、大丈夫だと思うわよ」
「また嵌めてないよな?」
「嵌められるような事言った覚えがあるの?」
「ないよ! わかった。俺が先に下りるから」
足元の穴からミチルは下に下りる。まず、この穴に掴まってぶら~ん。勿論、足は地面に着かない。
そして、ぱっと手を離した。無事着地した。
「HPは、減らなかったな。で、どっちが先に下りて来る? 一応受け止めるけど」
「そうね。まずは、なつめにした方がいいわよ」
したほうがいいってどういう意味だろう?
って、怖いんだけど!
こんな高さから下りた事ない。リアルなのも考え物だよね!
「早く下りてこいって!」
「うん……」
「げ!! ちょっと待て! シシリー! 上から援護って出来るのか?」
「あら? もう来た?」
「わかってるなら先に言えっていつも行ってるだろうがぁ!!」
そう言ってミチルは、剣を抜いたぁ!?
もしかしてモンスター? って、覗くんじゃなかった……。
大きな青いカエルが!!
「取りあえず援護してあげましょうか。物理防御と物理攻撃の歌よ」
「うん!」
下に下りなくてよかったと思いつつ、物理防御の歌と物理攻撃の歌を歌った。これでミチルは、物理防御が20%アップして物理攻撃は10%アップ。
「サンキュ! 攻撃力UP!」
ミチルは、二体現れたモンスターの一体に斬りかかって行く!
斬りつけるも3分の1ほどしか減らなかった。
「うお! アブね!」
すぐにモンスターのカウンターがくるもミチルは、後ろに下がって交わした!
「シシリー! こいつらえらく強くないか? 俺のスキルも付けたのに、炎の石の時より削れないってどうよ!」
「当たり前でしょう。ここランク8よ。前は、想定6でしょう?」
「って、これ俺一人で倒すわけ? 他に何か歌ないのかよ!」
文句を言いつつ、また斬りつけた!
そう言えば、炎の石の時は、ミチルは自分のスキルを使っていなかった。それでも瀕死なぐらい攻撃を与えていたっけ。
確かに大変そう。
「仕方ないわね。なつめ、魔法攻撃の歌よ。それから、ミチルが相手をしていないモンスターにファイヤーで攻撃よ!」
「うん」
私は、頷いた。そして、魔法攻撃の歌を歌う。それからモンスターに狙いを定める!
「ファイヤー!!」
ぼふん!
なんと! 一撃でモンスターが倒れた!
「はぁ!? 何だよそれ! 最初から、ぐぁ!」
文句を言っていたミチルに、残っていたモンスターが攻撃を仕掛けた!
あの攻撃は受けたくないわ! だってベロでピシッよ!
「っつ。って、15%ぐらいダメ受けたんだけど! 早く攻撃!」
「もう。だらしないわね! あと一回で倒せるんだから倒しちゃってよ!」
「あぁ。もう! ムカつく! なつめ! HP回復!」
「あ、え? うん。優しい風よ。傷を癒せよ♪」
ミチルが、光りながらモンスターを倒した。
キッと私達の方をミチルが向く。
「さっさと下りて来い!」
「何か怒ってない?」
「自分より強かったからじゃない?」
「下りるよ」
怖いけど、下りないと進めない。
覚悟を決めて、地面というか天井に掴まって下りた。どさっと落ちるもミチルが受け止めてくれる。
「ありがとう」
「うん……」
何となく生返事だと思ったら、目線がムネ!
「どこ見てるのよ!」
「あいて!」
ばちんと平手打ちしてしまった!
「いや、目の前にあったら見るだろう」
ミチルは、すりすりとひっぱたかれた左頬を擦りながら言い訳をする。
まったく。もう早く着替えたい!
その後、リューキさんも下りた。
「あのさ! リューキさんを無事に地底湖まで連れていかなくちゃいけないんだからな! 戦えるなら戦えさせろよ!」
「そんなに吠えないでよ。なつめが下りる前にモンスターが来ちゃったんだから仕方ないでしょう。あ、そうだなつめ。一応MP回復の歌ね」
「俺が言わなかったら戦わせてないだろうが!」
私はMP回復の歌を歌った。
何かこの二人、いつも言い合いと言うか喧嘩してるよね。
でもそう言えば、ファイヤーって、炎の石の時にMAXにしたよね? 使わなかったけど。
「ねえ、シシリー。炎の石の時にファイヤーMAXにしたよね? どうするつもりだったの? 私の知識では、同じ系統のモンスターに攻撃すると、回復しちゃったり半減したりなんだけど、このゲームは違うの?」
「MAXかよ……」
あ、やばい。つい言ってしまった。
使ってないのにMAXは、凄すぎるよね。バシップならアイテムをどうにかしてと誤魔化せるけど、攻撃魔法は使った回数だからね。
「本当は、こはるに使おうと思ったのよ。炎攻撃でもMP回復できるからさせようかなって思っていたんだけど、魔法攻撃は受けたくないってなったから思惑通りに行かなかったわ」
「歌があるのに、なつめにこはるを攻撃させるつもりだったのかよ」
「歌の方は、本当は内緒にさせるつもりだったんだけど、あなた達が喧嘩を始めるからでしょう」
あ、そう言えば、それがきっかけでMP回復の歌を歌ったんだっけ?
いやでも、それ言われてもやりたくない方法よ。
「たぶん、それなら歌を歌う方を選んでいたわ」
「そう。まあ次からは、なつめにも戦わせるわよ。なつめ、戦闘の時は、最初にチェンジのスキルよ。それからMP回復の歌。そして、ファイヤーよ」
「え? あ、うん」
「大丈夫かよ……」
「大丈夫よ。つど命令……じゃなかった伝えるから。で、MP回復の歌を歌って全回復しておくのよ」
「……はーい」
また命令って言ったよね?
私は、MP回復の歌を歌った。これでMPは、全回復をした。
「こほん。もう話はまとまったかな?」
「あ、忘れてた」
リューキさんに言われ、そうだったとミチルは言った。
私も忘れていたわ!
「ここからは、洞窟を螺旋状に下って行く事になるわ。一本道だし迷わないけど、ちょっと長いから走った方がいいけど」
「モンスターは、追いかけてくるのか?」
「ある程度までね。でも足が速いから逃げるのは無理よ。倒して進む事ね」
「OK! で、マップはどうなってる?」
「あ、いつの間にか表示されてる!」
ここに下りるまでは、マップは表示されていなかった。
ちゃんとモンスターも赤く表示されている。
「モンスターも把握できるか?」
「うん」
「だったらモンスターに、むやみに突っ込まなくてすみそうだな。シシリー、ちゃんと声掛け宜しくな!」
「わかったわ」
「うんじゃ、GO!」
そう言ってミチルは走り出した。
チラッとリューキさんを見ると、普通に走ってる!
この人が凄いのか、ゲームってこういうものなのか……。
段々、赤い点が近づいて来た。
「ストーップ!」
シシリーの掛け声で私達は、止まった。
「じゃ、まずは、魔法と物理攻撃の歌、物理防御の歌よ。それから近づいてからチェンジスキルを発動。バトルフィールド内に突入してからじゃないと、歌以外のスキルはダメだからね」
「わかったわ!」
私は頷いて、魔法攻撃の歌、物理攻撃の歌そして、物理防御の歌を歌った。
私とミチルの二人で、モンスターに近づいて行く。
「なつめOKよ!」
「ガードチェンジ!」
「攻撃力UP!」
さっきと同じモンスターが、目の前に五体現れた。
「多いな。俺は、こっちから攻撃するからなつめは左からな!」
「了解。じゃ、ファイヤーよ!」
ミチルは、右に向かいながら言った。
シシリーに言われた通り、私はファイヤーを唱える。
「ファイヤー」
ぼふん。一体倒れた!
「ファイヤー!」
ぼふん。魔法でもう一体倒れ、ミチルも一体倒した。
後残りは二体。
私は、MP回復の歌を歌い始める。
「二連荘しか出来ないのかよ!」
突然モンスターが、私の方に向かってきた!
「きゃー!!」
「ばか! 逃げる前に、歌を歌って攻撃だろう!」
だって! 大きなカエルだよ!
遠くからならまだいいけど、近づくなんていや!
「ミチル!」
「っち。もう! MP回復の歌を歌わせろ!」
ミチルは、私を追いかけて来たモンスターに攻撃をした! すると、モンスターは私を追いかけるのをやめた。よかったぁ!
「ほら、MP回復の歌!」
シシリーに急かされて、今度は最後までMP回復の歌を歌った。
「うわぁ!」
声に驚いて見ると、ミチルは倒れていた!
たぶん、さっきまで相手にしていたモンスターに攻撃を受けたんだと思う。
って、HPが、4分の1ぐらいしかないんだけど?
「まずいわ! さっきのモンスターにファイヤー! それからHP回復の歌!」
「えっと。ファイヤー! 優しい風よ。傷を癒せよ♪」
ファイヤーがモンスターに当たり倒れ、歌でミチルのHPが半分まで回復した!
よかったぁ!
「なつめ、物理攻撃の歌! その後、HP回復の歌よ!」
私は頷いて、物理攻撃の歌を歌った。
「サンキュ!」
そう言って、ミチルはモンスターに斬りかかって行く。
「優しい風よ。傷を癒せよ♪」
ミチルは、モンスターを倒した!
「やばかったぁ……。って! 逃げるのはいいけど、歌いながら逃げろ!」
まだ手にしていた剣を向けてミチルは私に言った。
「ごめ~ん」
ため息をしつつ、ミチルは剣を鞘にもどしたのだった。
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