━☆ 》22話~ランク戦2ジョブイベント開始!
神殿は、山の上だった。
眺めが最高です!
そして、何か違和感があると思ったら隣にいるミチルが、全体的に赤くなっていた!
そう言えば、エレメントガードの衣装にするって言っていたっけ?
黒い服の上から赤い鎧。何かスカートみたいな鎧が腰にも。これも赤。
腕も赤い小手?
足もそんな感じの赤いやつ。
赤くないのは髪だけで、その上にちょんと赤くて浅い硬そうなヘルメットをしている。
ここまで赤いと、遠くてもすぐミチルとわかりそう。
「うん? 何?」
「え? あ、いや。全身赤いなぁって……」
「自慢の鎧も赤く染まったよ。で、俺達は何をすればいいんだ?」
「本当に何も見てないの?」
「見てない」
「もう。じゃこのランク戦の趣旨を言うわ。ポイントを稼いで各々のランクのランキングを競うの。ポイントは、敵を倒したりクエストをこなしたり、後はレベルアップしたりゲットしたアイテムでも入るわ」
「どういう振り分け?」
「そこまでは教えられないわ。でも、クエストをすると結構貰えるわよ」
「へえ。そういうイベントなんだぁ。だったら人数多い方がよさそうだね。レベルアップなら人数多い方が、合計したら多くなるよね」
「まあ、そうね」
「いや、そうでもないぜ。経験値って人数で割るだろう? だから同じじゃないか?」
「え? そうだったんだ!」
そうだとミチルは頷いた。
じゃ、弱かったらメンバーに入れたくないわね。だから回復しか出来ない神官には、声を掛けないのね。
「で? まずは何を?」
「普通は狩でしょうけど、私達はジョブを手に入れるという目的がありますので、洞窟に行きます」
「え? 洞窟で戦闘するの?」
「まあ、モンスターもいるけど、クエストを進めに行くのよ。あ、因みにここの宝箱は、開ける度にランクが下がるの。勿論、1チーム1回しか当たらないわ」
「どういう事?」
「つまりだな。早く見つけたチームがいいものを手に入れられるって事だ」
「あ、そういう事」
最初に発見したチームが一番いい物を手に入れられるって事ね。次に開けたチームは、前のチームよりランクが低い物になると。
「クエストも同じよ。ポイントが変わるわね」
「そこでもポイントを競争しあうって事か……」
「クエストを探してこなすもよし、モンスターを倒しまくるのも手」
「じゃ、あれだな。ランク4と3は、
「そうね。ここのフィールドでチームを組む事は出来ないからね。個人戦でしょうね。魔法使いには不利ね」
「だな」
そっか。魔法使いはどうしてもMPを消費して戦闘をするからMPがなくなると戦闘が出来ないんだ!
「うんじゃ、とりあえず、その洞窟行こうぜ」
「じゃ、登りましょう!」
「登るのかよ!」
「えー」
「二人共ファイト!」
山を下りていくのだとばかり思ったけど、登るらしい。
見上げれば、結構急で道すらない。
「あれだな。普通なら登ろうと考えないな。下る道しかないから……」
「まあね。あまのじゃくな人達か、宝箱を探す為でしょうね」
草をかき分け、急な坂を上る。道が無いので、ミチルの後ろをついて行く。
先頭はシシリーだけど、ふわふわ浮いて進んでいる。
いいなぁ。私も浮きたい!
なんと30分程で頂上に着いた!
その間、モンスターに出会わなかった。
「一つ聞いていいか? モンスターが出ないポイントがあるのか? 一度も合わなかったけど」
「逆ね。出るポイントがあるの。そこを避けただけ。まずはイベントを発生させないとね!」
「なるほど! 便利だ」
「何か言ったぁ?」
「いや。ご苦労さん」
便利と言う言葉は呟いてミチルが言ったけど、地獄耳のシシリーは聞き逃さない。ジド―とミチルを見ている。
「まあ、いいわ。そこが入口だから」
そう言ってミチルの目の前を指差した。
ミチルが地面をジッと見る。私も横に来て覗き込んだ。
「これどうすればいいわけ?」
「一歩前に出て見ればわかるわよ」
「一歩ねぇ……おわぁ!」
「きゃ!!」
ミチルが一歩踏み出した途端、地面に穴が空いた! そのままミチルは落下するも私をガシッと掴んだものだから私も一緒に落下した!
って、シシリー!! あなたわざとでしょう!
「いってぇ」
「もう、最悪!」
「まさか、なつめまで落ちるとはねぇ……」
落ちるとはねぇ。じゃないわ!
HP30も減ったわ! サブでHP増えてなかったら死んでたわよ!
「もう! 優しい風よ。傷を癒せよ♪」
私は、HP回復の歌を歌った。光に包まれ私達は、HPを25%回復。
「あのさ! わざとやるなよな!」
「何よ。近道を教えてあげたんじゃない!」
「シシリー! 忘れていたとかならまだしもわざとはダメよ!」
「……わかったわよ。ごめんなさい」
「わかればいいわ。優しい風よ。傷を癒せよ♪」
光に包まれる。私は、全回復まで後一回必要ね。
「別にけなしたわけじゃないんだから罠に嵌めるなよ! どちらかというと褒めたんだけど!」
「褒めたって……。便利って褒め言葉じゃないでしょう?」
「言い方が悪かった。ごめん。えっと……何だ? 重宝する? ……ち、ちがうな。そうだ! 役に立つ!」
シシリーに更に睨まれ、ミチルは言い直す。
って、ミチルも一言多いのよね……。はぁ。
「優しい風よ。傷を癒せよ♪」
これで全回復っと。
「で、どうすればいいんだ?」
「この奥にいるご老人の話を聞いて、進めて。因みにこの階には、モンスターは出ないわ」
「わかった。サンキュー」
シシリーに聞いた私達は、奥へと進む。
前に言った遺跡の洞窟と違って、人の手が加えられたような感じで、岩むき出しとかではなく、岩のブロックで舗装されている。
「うん? 扉」
「空いてるね?」
扉は観音開きになっているようで、二枚の扉が、こちら側に開いて真ん中に隙間が出来ている。
近づいてミチルが覗き込む。
「ここって誰かが暮らしているのか? 更に奥にも部屋があるみたいだ」
そういうと、扉の隙間から中へ入って行く。
「ちょっと待ってよ!」
小声でミチルに話しかけ、私も追いかけた。
中は思ったより広かった。そして、がらんとしている。
右手と左手に扉がある。
「どっち?」
「自分で確かめて、ゲームを楽しもうとかはないのかしら?」
「無駄を省いて、このクエストを終わらせてから楽しむよ」
「右にいるわ」
「OK」
攻略を見ながら進んだら確かに楽しさ半減だけど、早くジョブを手に入れて安心したいというのは、私にもあった。
だからミチルに素直について行く。
扉を開けると、ベットに寝ているご老人が……って! 縄で縛られているんだけど!
「大丈夫ですか?」
ミチルはわざとらしくそう言うと、縄を解いた。
「ありがとう。助かった。頼む! 孫のミーヤを助けておくれ! ここまで来た君達ならきっと助けられる! お礼はするから!」
「わかりました。で、何があったんですか?」
「タタイアという者が、儀式の為に人獣の孫を連れさった!」
ジンジュウ? って何?
「ねえ、シシリー。ジンジュウって何?」
「それも知らないの? 人獣って言うのは、人と
「え!?」
こっそり聞いて、私はご老人に振り向いた。
孫という事は、この人も人獣って事だよね?
ご老人は、私と同じ黒い髪で頭にターバンの様に布を巻いているので、ミミがあるかわからない。
手は普通に見える。尻尾も見当たらない。
「孫のミーヤは、まだ変身がちゃんと出来なくてな。耳を隠しきれなかった。それでバレて連れて行かれた」
「行先はわかりますか?」
ミチルの質問に、ご老人は首を横に振った。
知らないらしい。
こういう時は、どうやって探すのかな?
ミチルは、ちらっとシシリーを見た。
「何か探す方法ないかしらね~」
「方法ならあるかもしれない」
シシリーが言うと、ご老人はそう言った。
あるのなら最初から言ってくれればいいのに……。
「それってどんな方法ですか?」
「その昔、この地底湖にドラゴンが棲んでいた。その地底湖に連れて行ってほしい」
「え? いや、いいけど歩けるのか?」
驚く事言うご老人に、ミチルは変な事を聞いた。
いやあってるの? 戦えるかどうかじゃないんだ。
「ねえ、シシリー。あのご老人は戦闘出来るの?」
「出来る様に見える?」
質問を質問で返されるも出来なさそうと、首を横に振った。
シシリーは、私の答えであっていると頷く。
「仕方ない。この人を守りながら地底湖に向かうぞ。で、シシリー。このじいちゃんに回復の歌って効くのか?」
「歌はチームを組んだ人を回復するから無理ね」
「げ! だったら守るの大変だな……」
あ、そっか。最大HPもわからないし。もしかしたら一発で死んじゃうかも。
「ねえ。ご老人が死んだらこのクエストはどうなるの? 初めから?」
「そこで終わりよ。だから無事に地底湖に連れて行ってあげてね」
「え~!?」
実質戦えるのは、ミチルだけなのに?
うううう。でもこれクリアしないと、コーデのコア貰えないんだよね?
難易度高いよう!
「で、じいちゃん。名前は? 俺、ミチル。あっちは、なつめ。飛んでるのは、シシリー」
もう少し言い方はないのかしら? あっちとか、飛んでるのとか……。
「私は、リューキだ。宜しく頼む」
って、二人共自己紹介何かして、呑気だよね。
それとも、こういうのが普通なの?
リューキさんは立ち上がった。思ったよりしゃっきりしている。
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