━☆ 》21話~ランク戦1セクシーコーデで準備OK!?

 INすると、村は人でごった返していた。


 昨日の1.5倍はいるわ!

 人酔いしそう。

 そうだ。ミチルいるかな?



 「フレンドオープン」



 契約フレンド【○ミチル/メインジョブ:剣士/ランク:4】



 INしてるわね。



 「おい!」


 「びっくりした!」



 ミチルが後ろにいた!



 「INしたようだから迎えに来た。相変わらず、目だってんな。こっち」



 ミチルが村の外へ出て行く。

 何故か、村の外にも人がいっぱい。



 「おかえり、なつめ」



 村の外に出ると、寝袋からシシリーが声を掛けて来た。



 「ただいま。何で、外にまで人が? あ、村がいっぱいで入れないとか?」


 「いや、ランク戦のゲートが村の外に設置されているから」


 「え? そうなの?」



 そうだと、ミチルは頷く。

 まあ、村の外と言っても出てすぐならモンスターも出ないみたいだし。

 あ、そうだ! コーデ!



 「ねえ、シシリー。コーデコアで変身出来るんだよね?」


 「出来るわよ。変身と言うか着替えなんだけどね」


 「へえ。よく知ってんな」


 「ちょっとだけHP見て来た。直ぐに着替えたい!」


 「うん? その格好似合ってると思うけど? どれに着替えたいんだ?」


 「どれって?」



 うん? そう言えば変身できるとしか思ってなかったけど、選べるの?



 「こりゃ、わかってないな」


 「ないわね」


 「いいや。取りあえずゲートくぐろう」


 「……うん」



 わかってなくて悪かったわね。

 ゲートは、村の外と言っても村を囲う様に、塀のすぐ横にあった。



 「ゲートは、10個あるみたいだ。さっきグルッと回って見てみた」


 「え? そんなに? 私達はどれから?」


 「どれでもいいみたいだぜ」


 「数があるのは、参加者がいっぱいいるからよ。ゲートを通れば、それぞれのフィールドに飛ばされるわ。その前に、チームよ」


 「おっと。そうだった」



 シシリーに言われ、ミチルは手を出して来た。

 チームって昨日組まなかったっけ? 解除した覚えもないんだけど?



 「昨日組んだよね?」


 「チームは、ログアウトしたら抜けるんだよ。あと、リーダーがログアウトすると解散される」



 あぁ。なるほど。

 私は、ミチルの手の上に手を乗せた。



 《チーム『ミチル』に入りますか?》



 「はい」



 《チーム『ミチル』に入りました》



 「うんじゃ、行くか」



 ミチルは、街から出てすぐのゲートに入って行った。

 ゲートは、直径二メートルの円。魔法陣のような感じでふわっと光を帯びている。そこにミチルが乗ると、スッと消えた!



 「あ! 待って!」



 私も慌てて追いかけた。

 一瞬眩しくもなるもワープ先は、神殿だった。

 神官が五人、捻じれた木の幹を背にして立っている。他と変わらない。

 ちょっと違うのは、神官の間にカーテンがある事。いやよく見ると大きな葉っぱがついた蔦がいっぱい垂れ下がっている。



 神殿の中には、私達の他に六人いた。三人ずつ固まっている。

 参加者だよね?

 思っていたより少ないかも。



 「それじゃ、まずコーデの説明をどうぞ」



 ミチルが、私の寝袋を見て言った。

 


 「まず、着替えさせますか」



 着替えさせるって……。確かに変身、もとい着替えたいって言ったけど。



 「まず鞄の中に、数字が入ったコアがあるから。それが、コーデコア」


 「うんと……あった!」



 鞄の中に、数字が入ったコアがあった。杖のコアとかと同じ大きさで、オレンジっぽい色。

 それに人が立っているような、そう! お手洗いにある人の形のマーク! そういう感じ!

 それがコアの中にあって、数字は表面に浮き出ている感じで、回転させてもずっと数字は表を向いている様に表示されている。不思議!

 私の数字は4です。



 「この数字って何?」


 「それは、そのランクのサブジョブまで選べますよって事。なつめ4でしょう? だから、魔法使いと詩人とチェンジマスターから服装を選べますって事よ」


 「俺も4」


 「なるほど。回数じゃないんだ」


 「違うわね。使うと消滅するから考えて使う事ね。そのコーデコアを使っても武器はそのままよ」



 そっか。今回私が選べるのは、ランク2~4のサブなのね。



 「ねえ、魔法使いを選んだらメインを魔法使いに選んだ人と同じ衣装なの?」


 「違うわよ。なつめは炎系だから赤っぽいと思わ。まあ、違うと言っても色だけね」



 色だけか。それはそれでつまらないような。でも目立ちたくなからそれでもいいような……。

 って、このコーデコアは、今度いつ手に入るのかな? それによっても選び方が変わるような気がする。



 「このコーデコアってどういう時にもらえるの?」


 「たぶんだけど、ランク戦の参加賞で次も貰えると思うわ。後はまだ設定されてないわね」


 「ふーん。そうなんだ。じゃ俺も変えようかな。エレメントガードに」


 「えっと。どうすればいいの?」


 「神官にコーデコアを使いたいって言えば、あの蔦の奥で着替えられるわ」


 「うんじゃ、やってくる」


 「私も!」



 私達は、それぞれ神官に話しかけた。



 「あの、コーデコア使いたいのですが」


 「では、こちらでお着替え下さい」



 そう言われた場所は、シシリーが言っていた通り、蔦の向こう側……蔦の中? だった。

 真ん中を左右に開いて奥に入った。


 お店にある更衣室のよう。

 目の前に鏡があった。そして、張り紙も……。


 コーデコアを持ち、着替えたいジョブを口にすると、鏡にその衣装が映ります。それで宜しければ、『コーデチェンジ』と唱えて下さい。

 一度唱えますと、キャンセルはできません――。


 どうやら試着? もできるみたい。



 「魔法使い……」



 書かれた通りコーデコアを持ち、ジョブを口にすると、鏡には魔法使いの衣装を着た私が映っていた。

 三角帽子にだぶっとした服。色は、赤と言うよりえんじ色。袖や帽子の縁は黒。

 杖は、似合うわね。



 「詩人」



 これ、どういう服装何だろう?


 たぶん、淡いオレンジのチューブトップだと思う。それと、同じ色の足の付け根ぐらいまでしかない、超短い短パン? へそ出しです……。

 その上にグリーン色の膝丈まであるカ―ディガンっぽいものを羽織っていて、お腹辺りで留めている。

 帽子は、グリーン色のとんがり帽子に羽がついている。

 膝までブーツ。



 うん。これは無理ね!



 「コーデチェンジ!」


 「きゃー!!」



 いきなりシシリーが叫んだ!



 「何するのよ!!」


 「うん? ちょっと試しただけじゃない。大丈夫よ。私が言っても着替えられなかったわ」


 「勝手に試さないでよ!」


 「大丈夫か?」



 がばっと蔦を左右に分け、ミチルが覗いて来た!



 「きゃ」


 「あ、ごめん。何か悲鳴が聞こえたからさ」


 「シシリーが勝手に、コーデチェンジって言って試すから……え?」


 「……!」



 一瞬私の体が光に包まれた!

 そして、鏡に映っていた姿になった!?



 「きゃー!!」


 「あれま」



 二度目の悲鳴で、ミチルは顔を引っ込めた。



 「どうするのよ!」


 「自分で言ったんでしょ?」


 「シシリーが言ったからじゃない!」


 「違うわよ! ミチルが……」


 「俺のせいにするなよ」



 蔦の向こう側からミチルがそう言った。

 もうどうするのよ!!



 「こんな格好で歩けないよ……ううう」


 「泣く事ないでしょう……あぁもう、わかったわよ! 今回の隠しレアジョブ手にいれましょう! そのジョブは、コーデコア付きだから!」


 「そんなのあるか!?」



 がばっとまた蔦を左右に開け、ミチルは話に加わって来た。



 「色々条件があるけどね。でもその条件は、このランク戦内での事だから。それでいい? それまで我慢してよ」


 「でも……」


 「ランク戦は三日間だ。だから、そのイベントを三日以内にクリアすれば手に入れられる」


 「うーん……」


 「俺から言えば、前のより似合ってるけど? 因みに俺好み」


 「ミチルの変態! エッチ!」


 「何だよ。今までのださくて嫌だったんじゃないのかよ」


 「違うわよ! 神官だって目立つから!」


 「まあ、たしかに、こっちも違う意味で目立つわね」



 シシリーは、わざわざ寝袋から出て来て、私を前から見て言った!

 誰のせいで、こうなったと思ってるのよ!



 「こほん。申し訳ありませんが、着替えが終わりましたら速やかにお開け下さい」



 神官に、そう言われてしまった。

 はずかしいので、上の服を引っ張って隠しながら更衣室の外に出た。

 神殿の中には、私達しかいなかった。



 「あれ? 誰もいない?」


 「そりやそうだろう。みんな出発したよ。って、確認できたのは来た時にいた二組だけだけどな」


 「え? 二組?」


 「言ったろ。これ始まって三日だって。今日で、四日目だけど。ランク4になった奴ってほどんどいないんだぜ。だからランク4の組み合わせは、俺達だけだろうな。組なら三人で組むだろうからランク8のところは少ないみたいだな」


 「それってランク3の人が三人で組むって事?」


 「そういう事」



 ミチルは、頷いて答えた。

 ランク3の人がほどんどって事よね?

 8になる組み合わせは、3と3と2よね。1のままってあり得ないから。



 「で、どうするよ」


 「ど、どうすると言われても……」


 「まあ、そのままの姿でいいっていうならまったりと……」


 「いえ! 頑張りましょう!」


 「よしきた! じゃ、進みながら説明宜しくな! シシリー! 俺も面倒だから見てないから!」


 「何よそれ! ちゃんと見ておきなさいよ!」


 「どうせ、なつめに説明するじゃん。そう言う事で宜しく」


 「仕方ないわね」


 私達三人は、神殿から出たのだった。

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