━☆ 》15話~ここが遺跡ですかぁ?

 私は、こはるさんの魔法が気になった。あれは何の魔法なんだろう? ファイヤーとかより凄いんだよね? ミチルが怒っていたからMP消費も半端ないんだよね?

 私にもそのサブ、表示されるのかな?



 「ねね。こはるさんが使った魔法ってどんなの? 私もサブで選べるものなの?」


 「うん? あぁ、あれはね。精霊魔法よ。職業は、ナチュラルソーサラーっていうの。メインが、魔法使いじゃないと出てこないわね。精霊魔法は、全体攻撃なんだけど、総合ダメージなのよ」


 「総合ダメージって?」


 「与えるダメージの合計が同じって事よ。例えば、攻撃力が150だとすれば、一体なら150、三体ならそれぞれ50ずつ与えて総合で150ね。それに精霊魔法は、魔法防御無視。だからダイレクトなのよ」


 「すごいのね!」


 「そうね。勿論、MP消費もね! 魔法使い系をジョブにすると現れるジョブだから、ランク3でサブにする事は可能だけど、実際使うのは大変かもね」


 「あぁ。それでミチルが切れてたのね」


 うんうんと、シシリーは頷いた。


 「精霊魔法は、ランク2でMP20消費するのよ。こはるは、ランク3よね? 彼女を連れて行くと選んだのなら、ランク2のサブには、ソーサラーの炎系を選んでいるでしょう。なので、普通なら最大MPは、35のはずよ。さっきの様な使い方なら文句も言いたくなるかもね」


 「なるほど。普通なら強い敵に使う物なのね」



 うんうんと、またシシリーは頷く。

 たぶんソーサラーの炎系は、ミチルのエレメントガードの炎系と同じ様なジョブなんだわ。



 「あぁ。でもレベルがいくつかわからないから、もうちょっとMPあるかもね。もしかしたらランク4かもしれないし。よし、チームで見てみましょうか。なつめ、チームオープンよ」


 「うん。チームオープン」



 ――――――――――――――

 ☆ミチル 剣士   ランク4

  なつめ 神官   ランク3

  こはる 魔法使い ランク3

 ――――――――――――――



 「やっぱりランク3ね。☆マークがリーダーの印よ」


 「MP40超えないと、2回使えないよね。どうする気だったんだろう?」


 「うん? ソーサラーは、その系統の攻撃を受けるとダメージを吸収してノーダメージになるんだけど、本来のダメージの10%をMPに変換するのよ。それをあてにしていたのかもね」


 「そうだったんだ!」



 それなら使っても平気と言えば平気だけど、回復するまで使えないよね?

 うん? それって攻撃されて死ぬのって私だけ!?

 私もせめて、そういうのサブを選んでから行きたかった……。

 って、神官にもそういうのあるのかな?



 「ねえ、神官にも吸収系のジョブってあるの?」


 「今はまだないわね。これから増えると思うわよ。何せレベルが上がってもランクアップさせるのにはお金が必要だからね。これからドンドン増やすでしょう。それに装備やバシップスキルもランクあげたいだろうし。ランク5からは、実質後回しになる可能性もあるわ」


 「そういうものなのか……」



 ランク2に上げるのには500G必要だったよね?

 きっとあれは、普通にやっていれば、溜まっていてすぐに出来たんだろうなぁ。私は、元の場所に戻ってちまちまやっていたから。


 ミチルは、ランク4にするのにお金を溜めていたし、こはるさんはまだランク3。4にするのにお金凄くかかりそうね。

 私は、スキルで上げちゃってるからお金を気にしたことないけど。



 「あ、ほらそこよ」



 ボーっと考えながら歩いていると、隣に浮いていたシシリーが洞窟を指差した。

 ずっと岩山を右手に歩いていたけど、これが遺跡? 何かイメージと違う。



 「私のイメージだと、壊れかけた神殿みたいな感じだと思ってた」


 「この世界で言う遺跡は、洞窟みたいだぜ。な、シシリー」


 「まあ、そうね。それよりなつめ、歌の用意よ」


 「うん!」



 死にたくないから頑張ります!

 あぁ、でも怖いなぁ。


 私達は、ミチルを先頭に洞窟の中に入った。

 思ったより道は広かった。三人並んで歩ける広さがある。でも、私を挟んで進だ。不意の攻撃を受けた時にの為。



 「じゃ、まずは感知の歌よ」



 私は、シシリーの言葉に頷いて、感知の歌を歌った。私達は、光に包まれる。



 「今度は、何を回復したの?」


 「違うわよ。感知の歌よ」



 こはるさんの質問に、私の代わりにシシリーが答えてくれた。



 「へえ、そんな歌まであるのか。で、それ俺達にも効果あるのか?」


 「あると言えばあるけど、ある程度近づけばそこが明るくなるから発見が早い程度」


 「意味あるのそれ?」


 「あるわよ。一番近い敵が右手ね。でも左手の奥に宝箱があるみたいよ」


 「すげー歌だな。妖精にも効く歌なのかよ」


 「違うわよ! なつめが見ているマップを私も覗けるだけよ」


 「「マップ!?」」



 シシリーの説明に二人は驚いた声をあげた。

 まあ二人には見えないのだから、あんな言い方したらミチルが思ったように、シシリーにも歌の効果があるのかと思ってもおかしくないよね。


 マップは、私が歩いた道が表示されていく。

 まだ行っていないところはまっさら。でも、赤い点と青い点がある。

 赤いの敵だと思う。動いているしたくさんある。

 青いのは、一つしかない。

 普通に行けば、宝箱に行くのには左の道に行った方がいいけどね。



 「もしかして、詩人ってマップもあるのか?」


 「そうよ」



 ミチルの質問に、何故かシシリーがどや顔で答えた。

 何故シシリーがと思うけど、マップってそんなに凄いの? シシリーは、便利みたいな事を言ってはいたけど。

 あ、お金も儲かるって言っていたっけ?



 「って、いうかそれ、シシリーがいないとなつめじゃ使えこなせないんじゃないか?」


 「そうかもしれないけど、大丈夫よ。私がついているからね!」


 「二人共ひど~い」


 「本当の事だろう? いいじゃないか。お前にぴったりのユニークだ」



 私がちょっとむくれて言うと、ミチルに返され三人は笑った!

 そうかもしれないけど……本当のユニークは、ランクアップだからね!

 あ、でも私、それから言うとユニークを二つ持っている事になるのかな?

 たぶん、ランクアップだけだったらここまでになってない!



 「って、敵よ! なつめ、歌!」


 「あ、はい!」



 って、どこに敵がいるの?

 HPのバーは、あるんだけどなぁ? バーは、三体分ある。

 マップにも点があるんだけど。まあ、いいか。

 私は、歌えばいいだけだから。


 まず、物理攻撃の歌と魔法攻撃の歌を歌った。私達は、二回光に包まれる。これで、物理攻撃と魔法攻撃が10%ずつ上がったはず。



 「てやぁ!!」



 叫びながらミチルが斬りかかって行く!

 よくみれば、赤っぽい丸い岩があって、それに斬りかかった!

 あれって敵だったんだ! あんな敵もいるのね。

 あれを剣で攻撃できるのがすごい。

 HPは、がっつり減った。ミチルって強い……。



 「コールド!」



 こはるさんが叫んだ。

 冷たそうな氷の塊が、敵に飛んでいく!

 それは、当たると砕け敵も消滅した!



 「すごーい!」


 「さすがミチルね」


 「俺、攻撃は別に強くないぜ」


 「え? そうな?」



 シシリーの言葉に、意外な返答をしたミチルに私は驚いた。こんなに強いのに? ここって、ランク6の人が来るところじゃないの?



 「ランク6の人が来るような所じゃなかったっけ? ここって……」


 「まあ、普通はランク3、4じゃこれないでしょうね」



 シシリーがそう言うと、二人は頷いている。



 「炎吸収があるからな。これがなきゃ来ないっていうか、まず仕事クエストは表示されないからな。ここまで、来ようとは思わない」


 「そうよね。って、これ仕事なの?」


 「いや……」



 チラッとシシリーを見てミチルが答えた。

 一応、内緒にしてくれたみたい。


 ミチルは、二体目にも攻撃を仕掛けに行った。



 「てやぁ!!」


 「コールド!」



 つかさず、こはるさんも攻撃して、二体目も二人で倒した!

 って、最後の一体がミチルに体当たり!



 「いった……」



 ミチルは、結構な勢いで吹き飛ばされたんだけど!?

 リアルなら大怪我だと思うけど、HPのバーは、30%ぐらい減っただけだった。



 「って、ちょっと待て! なんでダメあるんだよ!」


 「あぁ、それ? アタックね。そのスキルは、物理攻撃だからね」


 「先に言っといてくれ! なつめ! 回復」


 「え!? あ、歌ね!」



 私に回復の歌を歌えと言って、ミチルは立ち上がった。何かブツブツ言っているけど、気にしない。



 「優しい風よ。傷を癒せよ♪」



 回復の歌を歌うと光に包まれ、ミチルは25%回復してもう一回歌えば、全回復する。

 実は、歌のランク10でHP回復が25%に、それこそランクアップした。勿論、歌詞はそのままです。



 「あら。すごいのね! 神官って役に立たないって聞いたけど、凄いじゃない!」


 「……ありがとう」



 役に立たないって言われているジョブだったんだ。まあ、確かに戦闘向きじゃないとは聞いていたけどさ。



 「おりゃ!! ふう」



 最後の一体をミチルが倒した。

 私は、拍手を送る。



 「うん? おぉ!! コアじゃん!」


 「コア?」


 「ほら」



 拾ったビー玉の様な物をミチルは掲げた。



 「戦利品ね」



 そうシシリーが教えてくれた。

 なるほど。で、あれは何に必要なアイテムなんだろう?

 って、ミチルはそのまま鞄の中にしまってしまった!

 後で山分けなのかな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る