━☆ 》14話~チーム『ミチル』に『こはる』が入りました
「お・ま・た・せ」
何やら声が聞こえたと思い見ると、ミチルの前に魔法使いの女の人が立っていた。
この人かな? 一緒に行く人。
水色のウェイブが掛かった長い髪に、それより濃いブルーの瞳。私と同じで、右手には杖を持っている。
「なつめ。こいつが一緒に行く、こはる」
「宜しく、なつめちゃん!」
なつめちゃんって……。まあいいけど。
「えっと、宜しくお願いします」
「私はシシリー。なつめのパートナーよ!」
「ちょっと! 何ばらしてるのよ!」
「え~。これからちゃんとした戦闘しに行くんでしょ? 隠れていたら命令……じゃなかったアドバイスできないでしょう?」
今、命令って言ったよね? 確かにアドバイスがないと何も出来ないけどさ。
それに確かに危機になって突然シシリーが現れたら驚くよね。逆に攻撃されたりして……。だったら今、言った方がいいのは確かね。
「大丈夫だって! こはるも結構口が堅いから」
結構ってどれくらいですか?
こはるさんを見ると、シシリーを見て固まっていました。何も言わないなとは思ったけど、これ大丈夫なのかな?
「きゃー! カワイイ!!」
突然こはるさんの手がシシリーに伸びるもスッと交わし、シシリーは私の後ろに隠れた。
「大丈夫! 絶対にあなた達は守ってあげるわ!」
シシリーに伸ばしていた手で私の手をギュッと握って、こはるさんは言った。
この人もかなりの変わり者なのかもしれない。
「うん。選別は間違ってなかったな! じゃレッツゴー!」
軽く右手を上げミチルは言う。
最初からこういう結果になるのをわかっていたみたいね。
「あ、そうだなつめ。ここから先は、道にも敵が出て来るかもしれないから気を付けれよ。着く前に死亡だなんて笑えないから」
「大丈夫よ。私に任せて」
「こはるは、MP温存しておけよ!」
そう言いながら出したミチルの手に、こはるさんは手を重ねた。
《チーム『ミチル』に『こはる』が入りました》
「よーし! 行くわよ!」
こはるさんもそう気合を入れた。
二人は私よりやる気満々。そして、シシリーも。
あー。本当なら戦闘なんてしたくないんだけどなぁ。
私達は、目的地に向かう為歩き始めた。
「ねえ、どこに行くの?」
私が聞きたい質問をこはるさんがした。って、こはるさん、どこに行くかもしらないで一緒に行く事にしたんだ!
「うん? 中級者向けの遺跡方面? シシリーが知ってるだろう?」
「もう! 何も調べてないの?」
シシリーが文句を言う。
彼女に丸投げなのね。
「あのなぁ。調べようないだろう! 多分、俺達が初! 大体俺の
「え? そんなな所に行くの!?」
私は、本当に依頼の内容が凄い事に驚いた。
いや、何となく、凄いところだろうなぁとは思ったけど……。
ミチルが知らない場所だったなんて!
だって私、ランク3だよ? ミチルは4でしょう?
「ねえ、何で、私の方が凄い事になってるの?」
理解出来なくて、ふわふわと横を飛ぶシシリーに聞いた。
周りに私達しかいないので、隠れている必要が無い為、シシリーは私の横を飛んでいる。
「ランク4にするより、スキルをMAXにする方が、断然大変だからでしょう? ぶちゃけちゃうと、普通はランク6以上じゃないと、バシップはMAXにならないからねぇ。使って上げるって行為が出来ないから。アイテムを集めて、神官に支払うお金も集めてだからねぇ~」
どや顔で、こっそりとシシリーは教えてくれた。
私は、とんでもないことをしてしまった!
それってつまり、仕事はそういうレベルのしか受けられなくなっているって事じゃない!
村では、神官が出来る仕事がない事がわかったんだから、クエストをこなすしかない。でも、五つ葉の採取だけじゃやっていけないし……。
自分のレベルを上げないと、ランクを上げられない。レベルを上げる為には、戦闘をするか仕事を受けるしかないわけで。
これって、シシリーもわかっていたよね?
もしかして、嵌められた!?
「ちょっとシシリー! 私を騙してない? こうなるってわかっていてMAXにさせたんじゃないの?」
「……仕事の件は問題ないわよ。問題なのは、それをこなせる人が少ないって事! ちょうどよく目の前に現れたんだから協力しあいましょう!」
「いやいや。私は、冒険をしたくないから生活系の神官を選んだのよ!」
「あら、そうだったの? でも、私をこうしたのは、あなたよ? 冒険をしないのに、私は必要かしら?」
「え……。それは……」
確かに、冒険をしないのならシシリーは必要ないかもしれない。
けど、超初心者の私を高レベルな冒険にって!
「それにね! 手に入れたユニークは、冒険にこそ役立つ物よ! そして、生活系の仕事は、本来副業的な物よ。例えば、仕事をキャンセルして出来なくなったので、生活系でやり過ごすとか。ちょっと骨休みにとか」
「……それは、そうかもしれないけど」
シシリーは、『ランクアップ』スキルとは言わずに、『ユニーク』と言った。たぶん、ミチル達に聞こえた時の為だと思う。
そういう配慮は出来るのに、私のヨワヨワのカバーはしてくれないの?
まあ生活系は、副業だと言われればそうかもしれない。
戦闘は無理だから生活系の仕事をと思ったけど、よく考えれば退屈かもしれない。
例えば、パン屋に勤めたとして、一日中パンを作っては売るだけだと飽きそう。
だからと言って、中級者向けのクエストを受けさせる事ないじゃない?
はぁ……。もう、愚痴っても仕方ないかもしれないけど。
「あ、そうそう。ここら辺の敵、槍投げてくるから気を付けて」
「それ、もうちょっと早く言え!」
カキン!
シシリーに、そう答えたミチルは、飛んできた槍を弾き飛ばした!
「って、お前も避けろよな! 当たったら死ぬだろうが!」
「そう言われてもね。あなたみたいに敏速に動けないし」
ミチルが後ろを振り返って、こはるさんに文句を言うもこはるさんは、ケロッとして返す。
何か返そうとミチルが口を開きかけた時、こはるさんが前を指差した。
「変なの出て来た!」
「あれが、さっき言っていた槍を投げたモンスターね。槍トカゲ」
私が驚いて言うと、シシリーが人差し指を立てて説明してくれるけど、嬉しくない!
「あれに魔法は効くかしら?」
「効くわよ。さあ、二人共頑張って!」
こはるさんの質問に答えると、シシリーは声援を送る。
私は、静観していますので、頑張れ二人共!!
って、走って来たと思ったらまた槍を投げたわ!
まさか投げると思ってみなかったみたいで、ミチルの腕に刺さった!
「きゃー!!」
「痛……。って、なんで、おたくが悲鳴を上げているんだよ……」
「いや、だって……驚いて」
でもみれば、HPバーは、減ってません。どれだけ守備力あるんだろう。
「あら、さすがね」
「お前にあたらないように盾になってやったんだからな! HP減らなくたって痛いんだからな!」
「あら、ありがと」
こはるさんがお礼を言うと、ミチルは腕から槍を抜いた。
これ本当だったら凄い血、ドバドバだろうけど……。グロクなくてよかった。
カララン。
抜いた槍をミチルは放り投げた。
すると、何故かモンスターはそれを拾いに向かう。
「おらぁ!!」
つかさず、ミチルがモンスターを斬りつけた!
「ぐわぁ」
っと、凄い声を発したけどモンスターは消えなかった!
槍を拾い上げるとミチルを見るも、彼は容赦なくモンスターを斬りつける。モンスターは、消え去った!
「スピリット!」
声の方を見るとこはるさんだ。彼女は、杖を横に向けていた。その先を見るとモンスターが消滅したところだった!
あのモンスターは、最初にミチルが槍を弾き飛ばしたモンスターだ。忘れていたけど、もう一体いたんだった!
《プレイヤーレベルが12になりました》
あ、レベルが上がった!
「だー!! だからMP温存って言ってるだろうが! なんでそれ使うんだよ! お前、バカか!」
「何よ。これじゃないと一回で倒せないでしょう?」
「倒せてもMP枯渇させたら意味ないだろう!」
あぁ……なんだかLVアップしたって報告できなさそう。まあ、しなくても別にいいだろうけど。
「MP回復してあげたら?」
「そうね……」
私は、MP回復の歌を歌った。
私達は、光に包まれる。
「うん? 今度は何したんだ?」
歌を歌ったんだとわかったミチルが聞いた。
「MP回復をした。4回歌えば全回復するけど、1分間は同じ歌を歌っても効果ないの」
「わぁ! 凄いわね! やったわ! これで使い放題よ」
「あのなぁ。次々出て来たら回復する前にやられるって! でも、凄いなそれ。あれか、シシリーは、ジョブもよくご存じ?」
「ふふん。勿論よ。なつめの役に立ちそうならアドバイスあげるわよ!」
「私も! お役に立ちますからアドバイス下さいな!」
元気にこはるさんも手をあげてシシリーにお願いしている。
むむむ。シシリーは、私のサポートなのに!
いや、いいんだけどさぁ。
「ふふふん。やきもち焼きね。なつめは」
「な! そんなのやくわけないでしょ!」
「心配しなくて大丈夫よ。直接教えられるのは、なつめにだけだから」
「そうなの?」
「そうよ。だからミチルに言った時のようなアドバイスの仕方しかできないのよ」
「なるほどな」
「え? もう既にアドバイスもらったの?」
「うん? なつめを助ける為のジョブのアドバイスだけどな」
「まあ、私が言えるのは、なつめ、一分経ったわよ。ってぐらいかしら?」
「あ、歌ね」
私は、MP回復の歌を歌った。
あれね、やっぱ二人の前で歌うのは、恥ずかしいよね。
こはるさんは、アドバイスもらえないのかと、残念そうにしていた。
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