━☆ 》5話~それはランクアップ出来ません。罰が当たりますよ!
私はまた、寝袋の中です。
どうやらこのゲームは、レベルアップしてもランクアップしてもHPやMPは最大値まで回復しないらしい。こうやって寝ないとダメみたいです。
そしてシシリーも寝袋の中に居て、色々説明してくれています……本当に寝てしまいそうです。
「暇でしょうから色々教えておきますね。まずおさらいからよ。魔法とスキルは武器装備マークがある時は、指定する装備を装備していないと使用出来ません。ですので新しく覚えた魔法使いの魔法は、杖を装備していないと発動しませんからね」
「あ、そういえば、武器ってサブジョブを獲得しても手に入らないの? って、神官の杖で魔法使いの魔法使えるの?」
ちょうど話した掛けた時、プレイヤーが通り過ぎチラッとこっちを見下ろした。慌てて寝たふりをすると、寝言かと通り過ぎて行った。
もっと声のトーン落とそう……。
「
「神官から買えないの?」
「神官は商人じゃないから。売り買いを個人でするのには、商人系のジョブを獲得しないと、資格を得られないのよ」
そういう世界なんですか。
「あとは放浪しているNPCの商人を見つけて買うしかないわね。だからジョブを選ぶ時は気を付けてね。ステータスは加算されていくからスキルと魔法は、杖以外のマークがあるか確認が必要よ」
そうですか。でもそれって、メインジョブを選ぶ時に教えて欲しかったです! まあ戦闘を積極的するつもりないからいいけど。
武器や防具の職人になったら儲かりそうね。
私は回復したようなので、寝袋から這い出た。そしてステータスを確認する。
「ステータスオープン」
【名前:なつめ | レベル:5 | 経験値:104 | メインジョブ:神官ランク2】
【HP:14/14 | MP:10/10 | SP:10/10】
【メインジョブ:神官 | ランク:2 | サブジョブ:魔法使い(火系)】
神官【MP+10/SP+10/HP回復+2/MP回復+1/SP回復+1/
サブ補正 魔法使い(火系)【魔法攻撃力+1/
【HP:14|MP:10|SP:10|物攻:1+1|魔攻:0+1|物防:0+1|魔防:0|物クリ:0|魔クリ:0|腕力:1】
回復【HP:2+1|MP:1+1|SP:1+1】
見た目そこまで強くなってないような。そうだ! 覚えた魔法も確認しておこう!
ダメージ2って杖で物理攻撃するのと変わらなくない?
「ねえ、魔法攻撃ってこのダメージ分なんだよね? 杖で叩くのとかわらなくない?」
「それに魔法攻撃力がプラスされますよ。なつめの場合は1増えます。あ、そうだ。魔法もランクアップさせたらどうですか? ダメージ上がりますよ」
なるほど。それもありかな。でもMP10しかないんだよね。強くしても回数が使えなくない? MP増やす方法ないかな。
「このままスキルアップしてもすぐにMPが枯渇すると思うんだけど……。MPの最大値を増やす方法ないかな?」
「そうね。レベル6からは、プレイヤーのステータスがHP以外もレベルが上がれば増えるようになるの。メインジョブによって違うけど、神官はSPが1ずつ増える。レベル11からはMPも1ずつ増える。後は神官の服をランクアップさせるとランク2でSPが20、ランク3でMPが20増えるわよ。神官の靴は、今MPが回復が1だけど、次はMPとSPが1ずつ回復する様になるわよ」
そっか。装備でも底上げできるのね。
「お薦めは、靴をランクアップしてから服ね。でないと、SPを回復させるのが大変よ」
そうだった! そういうのもあるんだった。MPはいいとしてSPはあまり最大値を上げない方がランクアップスキルを使いやすいのか。
ちょっと計算してみるかな。靴をランクアップさせるとSP回復が3になって4分寝れば全回復ね。それから服をランクアップさせるとSP最大値が30になって、10分寝ないとダメになる。
SPが増えると簡単にランクアップスキルが使えなくなるのか。
だったらまず、靴をランクアップして、次に魔法をランクアップさせた方がいいわね。
「あ、そうだ! 服も靴もランクアップさせても装備出来るわよね?」
「一つだけなら大丈夫よ。基本的にメインジョブのランクと一緒だと思って」
「やっぱりそうだんだ。因みに普通は装備品ってどうやってランクアップさせるの?」
「あ……」
あって。また何か伝え忘れていたのかな? ちょっとどこか抜けてるのよねシシリーって。
「別に怒らないから教えて」
「実は……神官にメインジョブをランクアップしてもらうと、清めの水っていうのが一つ貰えるの。装備品はその清めの水と寄付で神官にランクアップしてもらえるのよ。でもこれは、メインジョブが最初から装備していた物に限るわ」
なるほど。普通にランクアップすると装備品一つはランクアップ出来るようになっていたんだ。でも後の二つはどうするんだろう?
「清めの水って他では手に入らないの?」
「材料を集めて神官に渡すと、作ってくれるわ。勿論、寄付は必要よ」
金さえあればって事ね……。
じゃお金の稼ぎ方って? 神官からの仕事しかないのかな?
「ねえ、神官から仕事を受ける以外のお金を稼ぐ方法ってどんなの?」
「そうですね。モンスターからドロップする物を引き取ってもらう。これは、神官ではダメなので、どこかの村の商人に持って行く事になります。後は遺跡にある宝物をゲットでしょうか。この遺跡は、材料集めからレベル上げなどにも重宝します」
やっぱりそういう所にいかいないと稼げないのか……。
「あとは、珍しい職業を獲得してそれを活用するとかですかね。神官もランクを3まで上げると、村などで神官として働けます」
「え? そうなの?」
「はい。歩合制でお金と経験値を稼げます。戦闘が苦手な方にお勧めです」
「それを目指すわ!」
「でも一つ問題が……」
「問題って?」
「まだ村などが少ないので働ける場所が少ないんです。村にならないと募集しないので。あとジョブや信仰ランクによって優遇があって……」
なんですかそのリアルな仕様は……。うん? 信仰ランク?
「信仰ランクって?」
「要は、寄付の総額によってランクが上がっていくんです。あ、この寄付は、ランクアップ時の寄付なども含まれますので、神官を活用すると勝手にランクは上がっていく仕組みです」
いやそれ、私上がらないから。ランクアップ自分でしちゃってるし。
あ、でもそれもランクならスキルで上がるのかな?
「ねえ。その信仰ランクにもランクアップスキル使えるかな?」
「バチが当たりますよ! それにランクはリングで確認はできますが、触れられる物ではないので無理だと思います。ですからランクアップなどで寄付しないと、上げづらいですね。他で上げる方法となると、奉仕でしょうか。つまり仕事をこなす事でも上げられます」
結局そうなるのね。このランクアップスキルって確か一点物だったはず。基本皆、そうやって上がって行くのだから仕方がないよね。
信仰ランクを上げるのはあきらめよう。
「信仰ランクを上げるのは無理っぽいからあきらめるわ。取りあえず靴を上げて、魔法をあげて、最後に服を上げるわ」
「そうですね。今はそれがいいと思います」
シシリーの賛成も得て、私はそうする事にした。
早速木の陰に移動し、靴に触れながらスキルを唱える。
「ランクアップ!」
《神官の靴がランク2になりました》
無事に靴をランクアップできた。
しかし、いちいち神殿に戻るのが面倒だな……。モンスターも出ないみたいだしここで寝ようかな……。
「ねえ、ここで寝てもいいんだよね?」
「まあ、ここならモンスターも出ないと思いますが……。初めの内ですよ。こんな所で寝れるのは」
「はーい。うんじゃ、おやすみ」
私は寝袋を腰から外し、その中に入った。
SPが全回復すると寝袋はそのままに立ち上がり、手を胸に当て……
「あ、そうでした!」
唱えようとしていた私はビックと肩を震わせて、シシリーを見た。
「驚かさないでよ。どうしたの?」
「スキルなどの時は、何々をと付けて下さいね」
「そうなんだ。OK」
私は一度深呼吸してから唱えた。
「ファイヤーをランクアップ!」
《ファイヤーがランク2になりました》
私は寝袋の中に入り、回復を待つ。
いちいち戻らなくていいから楽だわ。
と、まったりしていると……
「おい、あんた……」
突然声が掛かった!
目の前に足が見え顔を上げるとそこには――剣士が立っていた!
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