第4話 次々と

旅に出てから4ヶ月が経っていた。

浜松、名古屋、大阪、京都、奈良と安宿に泊りながらの旅だった。


次から次へと物件を見て回った。


買わないから面白いのか、買ったらもっと面白いのか、とにかく面白くて仕方なかった。


特に観光地の物件は面白かった。

少しの立地の違いが大きな差を生むことが誰の目からも明らかだった。


しかし、どれも新鮮で1つ1つの情報が大切な物になっていった。

しかし、4ヶ月も旅をつ続けた結果、俺の財布は薄くなり、帰りの電車賃だけになってしまった。


この生活をまだ続けたかった俺は、1度母の家に戻ることにした。

俺が帰ると母は喜んだ。4ヶ月旅をした俺に沢山の御馳走を用意してくれた。まるで夢の世界をあじわった。

空腹は最高の調味料

この言葉が1番ピッタリであった。

御馳走を食べ終わり、俺は母にこう言った。

また直ぐに旅に出る。もっと色々観てみたいんだ、見たことのない物を見てみたいんだ、吸ったことのない空気を吸ってみたいんだ。


そうして俺はニューヨークへ行く為にとっておいた金を銀行から下ろした。


チケット、当面の生活費用として70万円


それが今手元にある金だ。貧乏旅行をした俺にはかなりの大金に思えた。

しかしこの金を使ってしまうと言うことは、ニューヨーク行きのチケットを手放すことを意味する。


俺にとってどちらが大切なのか、意味があるのか、価値観あるのか考えてはみたものの、答えは出なかった。俺にはその答えが出せなかった。

ニューヨークを目指し旅に出た俺と、日本を旅し更にその旅を続ける為にこの現金を手にしている2人の俺がここに居た。


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