第77話 耳をすまそう
耳をすまそう雨の日に
瞳に映るは壁の染み
いつもと違う鍋の位置
動かしたのは誰と聞き
鼻先くすぐる揚げ餅に
誘われ来たる蠅五匹
壁の地図の佐世保市に
止まる姿が羽根小粋
たかが地理だがされど地理
くだまきながら酒を知り
飲んだ拍子に彼トチり
耳をすまさず負け越しに
まあそう言わず待てといい
すぐ差し出した金も効き
都合がつくのが賭の義理
差し出す酒もダメ押しに
不意に何もが影法師に
電気が絶える荒れ時に
聞こえてきたる甕のひび
漏れ伝う酒の垂れを知り
降りしきる音、風と木に
遠くに住める姉恋し
壁に浮かぶはマネと塵
逆巻く波に鮫の死に
頼りなき世の果ての霧
指からませて我と君
ようやく悟る晴れの意味
耳のみで知る雨の日に
(「雨の日に」ordered by aisha-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)
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