第21話 晴れ舞台
A「いやしかし暮れやねー」
B「ほんまやねー暮れやねー」
A「めっちゃ冷えてきたなー」
B「ほんまほんま冷えてきたわ」
A「あのな、昼間、道歩いとったら突風がぶわってきて」
B「そうやそうや。突風がぶわってきて」
A「……すうって引っ込んでったなあ」
B「ああそうやった引っ込んでったわ」
A「かと思ったら角のところでクワドラプル」
B「そうそうクワドラプルクワドラプル」
A「ほねほねマンがそれを見てバケツをペンギンさんの行列にどーん!」
B「ああバケツをペンギンさんの行列にどーんってな」
A「……」
B「……」
A「……知ってるか? 今日なんかあれですで。一年で一番!」
B「ああそうそう一年で一番!」
A「なんや」
B「そうそうなんやなんや。……ん? なんやてなんや?」
A「言うてみ」
B「なにを?」
A「一年で一番なんや。言うてみ」
B「なんやのん。君、言うてえな」
A「君、言うたりいな」
B「なんでやねん。そこは君が言うとこやろ」
A「いやいや、ここは君に譲ったるから」
B「いらんわ。知らん人からもの貰たらあかんてオカンに言われとんねん、子どものころから」
A「知らん人やないやろ、君とぼくで」
B「いいや。おれ、知らんで君のこと」
A「知らんことないやろ15年もやってきて」
B「何を?」
A「何をって漫才やがな。コンビやがな」
B「何やそれ。してへんで、そんなこと」
A「何を言い出すんや君は。小学校以来のつき合いやないか」
B「あ。やめてください、そういう無理難題をおっしゃるのは」
A「何で敬語やねん!」
B「大声出しますよ」
A「あほか。ぼくが伯爵で、君が下々の者、二人合わせて」
B「いやもう何のことかさっぱり」
A「ていうか、ほんなら今ここで何しとんねん!」
B「通りすがりの人と会話してるだけやのに」
A「通りすがりて! ぼくをつかまえて通りすがりの人かい!」
B「もうカンベンしてもらえます? ぼく急いでるんです」
A「ぼくって! ぼくって言うか、自分?」
B「そういう宗教とかアンケートとかはほんま母に止められているんです」
A「誰が宗教やねん。それも母って。初めて聞いたわ君の口から」
B「アイドルになる気もありませんし」
A「言うてへんて」
B「ほな行きますんで」
A「待ちいな」
B「もう、ほんまあきまへんねん」
A「何が」
B「行かなあきまへんねん」
A「どこへやねん」
B「十数えたら、もう行きますんで」
A「せやからどこへ行くねん」
B「10、9」
A「あのなあ。困んねんって」
B「8、7」
A「マジで、なあ。お前おらんようなったら」
B「6、5」
A「他に仕事ないし。待てやこら」
B「4、3」
A「おれ一人でどないすればええねん」
B「2、1」
A「だからどこ行くねん!」
B「来年へ! ゼロ」
二人「あけましておめでとうございまーす!」
A「いやあ、これでまた年末まで仕事ないなあ」
B「そろそろコンビ名、変えよか」
A「それ、去年も言うとったわ」
B「ほな行きまひょか」
A「ぼくが伯爵で、君が」
B「下々。二人合わせて」
二人「ども、カウントダウンでしたー」
(「カウントダウン」ordered by 花おり-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)
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