第8話 真実はどこに?
杉本先生は驚愕した顔をしてすかさず香織の紙も見に行った。
嫌な予感でも働いたのだろうか。
そして、太郎の紙を見た時より驚愕していた。
「一体どうして?」
ボソッ、と杉本先生が呟いた。
先生は慌て二人の紙を取り上げ、そして太郎と香織に、
「二人とも私についてきてください。」
俺と香織は、紙に出た内容が他のみんなと違う事がやはり普通では無いことだと思い、取りあえず先生の後についていった。
当然、クラスメイト達は何だろう?と思う。
しかし、俺と香織は無言で先生の後についていき、別の部屋の案内された部屋の中に入ってた。
入った部屋の中には、小さなテーブルとイスが4つあり、先生にイスに座るように絆された。
俺と香織は、そのまま素直にイスに座り、先生は反対側のイスに座りさっき先生が取り上げた二枚の紙をテーブルに置いた。
そしてテーブルの上に置かれた紙は、先程と一緒でテーブルから少し浮いた状態だった。
少しの間のあと先生から信じられない話を聞かされた。
その話とは、この世界での話であって、俺達にはイマイチよく理解出来ない話だった。
その話とは…………
「椿くん、三ヶ日さん、この事について話したいことと聞きたいことがあります。」
「まず、始めに私からの話になります。これから話す内容は、地球での常識とは違いますのでそこを踏まえて話をします。」
(さっきの紙を見たら、常識も何もないだろう。これがファンタジーってやつか?)
「まず、異世界から召喚された人は必ず特別な力……ギフトやスキル等が与えられます。ただ、普通は1~2、多い人は3、4個のギフトやスキルがある時もありますが………椿君と三ヶ日さんには、信じられない程のギフトやスキルを持ってこちらの世界にこられたみたいです。しかし、これだけの数のギフトやスキルが今だに表示されず、伏せられた状態になっている事が物凄く異常なのです。私は今回初めて召喚儀式をしたので詳しくは調べてみないと分かりませんが、過去の例から照らし合わせてもおかしいと思います。」
「先生、僕達にそんな事言われても分からないし、それより……あ、やっと声が出せる。」
「体調が元に戻ってきたようですね。それではまず椿君ですがこのギフトとスキルの多さはありえません。なぜなら、ギフトやスキルは一種の才能や個人の資質なので、椿君の普段学校で成績や身体能力など考えると、椿君は何か色々と隠し事をしていたみたいですね。この数には驚きです。椿君、あなたは一体………」
(やべ、バレたか?)
「あと、二人に共通して表示されていない部分があります。これも過去の例からすれば、多分初めての事でしょう。」
「私が考えるには、二人には共通した事があります。…………今日現れた勇者の事です。」
「三ヶ日さん、確か勇者の事を知ってるような事を言ってましたね?」
「…………は、はい。」
「大事な事です。ちゃんと話しをしてもらえますか?」
「…………そ、それはできません。」
「三ヶ日さん、この事はまだ、先生しか知らない事なので話してくれませんか?この事は、国王をはじめ他の人には知られたくないのです。」
「先生、どう言う事ですか?」
「信じてもらえるかわかりませんが、私は 少しの間でしたがみなさんのクラスの担任をして良かったな。と思ってるのです。そしてまで担任としての気持ちがあるので、生徒達をなるべく危険な目に合わせたくないのです。勝手に召喚して今さらの話ですけどね……。
それと三ヶ日さん、今ギフトやスキルが一つも表示されていませんが、それはその内に顕現するでしょう。ただ、いつになるかは分かりませんが。」
「先生、僕達これからどうなるのですか?」
「勇者や英雄、魔王と戦う為に、色々な国の軍を率いて勇者や英雄、魔族や魔王を討伐してもらう事になってます。」
「さ、さっき危険な目に合わせたくない事を言ってたじゃないですか?討伐って、要は勇者や英雄、魔王を殺せって事ですよね?そして、討伐する側の僕達も殺される事もあるって事ですよね?」
「………………その通りです。」
「先生は俺や香織達に人殺しをヤレって言うのですか?」
「……………椿君。」
「香織、ここは先生を信用すさて勇者の事を話してみないか?」
香織は体を縮みこませて、少し泣きながら震えている。
「………うん。」
体を小いさく丸めている香織。
「先生、実は………」
香織が話始めた瞬間にいきなり扉を破壊する音が響いた。
「ガシャーーーーン!タッン!ダンダンダン、ガシャガシャ!」
扉をぶち壊して強引に騎士団が入ってきた。
そして例の魔導師がゆっくりと部屋に入ってきた。
「スーギー、これはどう言う事ですか?場合によっては拘束させていただきますが。」
突然の事で、3人とも言葉もでない。
突然、反対側のガラス窓から
「ガッシャァーーン!」
(うわっ、次から次に……コイツら静かに部屋に入ってくることができないのかよ!)
変な所で憤慨していた。
今度は窓からガラスを割りながら人が入ってきた。
(あ、勇者だ!)
勇者が香織に語りかける。
「香織、だいぶ困ってるみたいだな。」
まるで子犬を拾い上げるように軽々と香織を抱え。
「香織はこんな所にいたくないってさ。」
そう言いながら香織を抱き抱える勇者。
「じゃあ、香織行こうか。」
(え?何処に?)
勇者がそう言うと、入ってきた窓から一瞬のうちに消えていた。
今起きている事全てが信じられなく、一瞬にして勇者が香織をあっさり持ち去った、いや誘拐してしまったのだ。
太郎も先生も騎士団も驚愕する。まさか、勇者が香織を誘拐するなんて微塵も思ってなかったからだ。
太郎が一番に我にかえり、窓に駆け寄る。そして慌てて外を見ると、そこは黒い闇夜が広がっていた。
「な、香織は?……今のは……」
勇者も香織もいなかった。
太郎の後ろににいる、先生や魔導師と騎士団も唖然としていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます