第3話 勇者と英雄


「ドンッ!」




誰かが何かを思いっきり蹴ったような音がした。


そしていつの間にか、騎士団の剣を取り上げ香織の手を掴み、後ろにいた騎士団をさらに蹴り飛ばした。




「誰だコイツらは?それに香織が!」




それは、人間の目では見える事が出来ない早さであっという間の事に、騎士団達を無力化していた事に驚いていた。



僕は目の前の♂に叫ぶ。

「香織から手を離せ!」



太郎は、香織を助けるため動いた。しかし自分でも驚く程の早さで、騎士団の予備の剣を奪い、香織の腕を掴んでいる男に剣を向けた。香織を奪い返したいがために。





クラスのみんなが驚いてこちらを見る。


しかし、クラスメイトが見た光景は、太郎が黒い剣を握り相手に切りかる勢いだった。




もう1人、後から入ってきた綺麗な女性が驚いた事を言う。




「今のスゴいね。勇者より早かったんじない?それより早く帰ろうよう、勇者。」


(な、何?こいつが勇者だと。)


「勇者?お前が?」


太郎は驚いた。

日本人顔で黒髪に黒目。………あきらかに日本人だ。だだ、少しマッチョだが……


しかしそんな強そうな相手に太郎は剣を構えたまま、問いかけた。


「香織を放せ!」


もう一人の人物像は、10代後半から20代前半で、金髪のセミロング、端正な顔立ちで、有名雑誌に出てくるモデルも敵わないだろう。しかもスタイルが恐ろしいほどいい。グラビアモデル以上で、多分ほとんどの男達は一目惚れするだろう。

装備もビキニアーマーとは目のやり場に困る。

しかし、この場にいる太郎には関係ない。今は香織を取り返す事だけを考えて………




そして太郎は剣を構えたまま、侵入してきた二人に物凄い殺気を飛ばす!


クラスメイト達は、この殺気に巻き込まれガタガタと震えだし、女子は怖くなりヘタりこんで泣き出したりしていた。




勇者の後ろに隠れるように香織がいる。そして少し怯えている。




勇者?が驚きながら

「驚いたな。かなり動きが早いな。ちょっとビックリして対応ができなかったよ。」




太郎が剣を構えながら、




「香織に何の用だ!そして香織に気安く。触るな!」




クラスメイト達がビックリしてる。普段の太郎からは想像出来ないような声と話し方。


それから、太郎の信じられないスピード。




自称勇者が言う。




「今日は挨拶がてらに顔見せに来ただけなんだが、これはなんなのかな?オットーいや、お前本当にオットーか?」




「オットー?勇者と先生は知り合い?」




「勇者よ、久しぶりだね。近衛師団が頑張っても、英雄しか止められないとはね。」




(((((勇者?英雄?)))))




クラスメイト全員が思った。 ぬ


しかし太郎は変わらず勇者を警戒しつつ続ける。




「早く帰ろうよ、勇者。」


「わかった。ちょっと待ってくれ。そこの黒い剣で香織を奪い返しにくるヤツ、お前名前は?今日は久々だったからな。今日のところは香織を返してやる。しかし今度はちゃんと迎えに来るからな。」




太郎は、(なぜこいつは香織の事知っている。いや、なぜか知り合い以上な感じで話しをしている。それにこの状況からして間違いなく香織を拐いに来た感じだ。)




「お前の名前を聞いてるんだけどなぁ、名前はまぁいいかぁ。俺は勇者、でアイツが英雄だ。今日は顔見せだけの予定だったが……まっいっか。」




「私は先に帰るわね。どのみちそこの魔術師達がはってる結界から先には行けないし。」




英雄と呼ばれる女の人が先に帰っていく。そして勇者が


素直に香織を返し、用が済んだとばかりに帰ろうとする二人。


「俺もとりあえず帰るか。またな香織。」




(やっぱりおかしい。アイツは香織の事知ってるどころじゃない。)




勇者は英雄の後を追うように去っていった。




二人がいなくなった事を確認した太郎は、黒い剣を下ろし香織に今の勇者の事を聞く。






怯えている香織に話を聞いた。


「香織、大丈夫か?」


それから、


「今の勇者の話し方からして、香織の事知ってる以上な感じで話をしてたけど、香織の知り合いか?」




(僕の記憶の中では、あんなヤツは知らない。香織にとは幼なじみで、今は恋人関係を飛び越えて親公認の婚約者だ。(まだ童貞だけど)


その事は、クラスメイトや学校中、教師まで知っている。だから……香織の事で久しぶりにキレた。いつ以来だ?)




(それに、僕に信じられない事が……)




「太郎、実は私勇者の事知ってるの。」


「なンッ」


「隠してるつもりはなかったけど、ごめんなさい。」




太郎含めたクラスメート全員が




「えっ?うそ?」




「どういう事なんだ。なぜ香織はアイツの事知ってるだ?いや、あの勇者って誰なんだ。」




(香織は黙ったまま、杉本先生が突然)




「近衛騎士師団のみなさん、ご苦労様です。多分もう大丈夫なので魔術師の方達も結界はといて結構です。」




近衛騎士団と言えば精鋭中の精鋭はず。宮廷魔導師の魔法は城や王達を守るための精鋭だから、結界を張るくらい出来るのは当たり前か。






結界を張るのをやめた瞬間、宮廷魔導師達全員が、床に崩れ落ちた。


結界を維持する為かなりの魔力や体力を使ったようだ。




床に倒れ起き上がれない魔導師達をすぐに別の騎士団が来て倒れいた魔導師達を抱き抱え連れていく。




そして違う騎士団が来て警備にあたる。


一緒に職人っぽい人達とメイド達が来て、勇者や英雄が壊した場所と思われる穴をすぐに直し始め、メイド達が瓦礫を片付けている。




そして杉本先生がいきなり話だす。




「みなさん、説明の前にこんな事になるとは思いませんでした。が、ついでなので説明をします。」




みんなが一斉に先生の方を見る。みんなはもなにが何が何だかで思考がストップしているようだ。みんなポカーンと口が開いたままだ。




「今、現れた二人が我々の敵なのです。1人が勇者、もう1人は英雄です。勇者はどう見ても日本人ですね。英雄はこちらの世界のどころかの国の人ですが、あの二人がいる限り世界は必ず滅亡するでしょう。」




(えっ?勇者と英雄が敵?何それおいしいの?)




クラスメイト全員ビックリ。






「先生、さっきの話では僕達は勇者として召喚されて、魔族や魔王を倒す話はどこに?それに、勇者と英雄は何で敵なんですか?先生、何か隠してませんか?」




「その話も含めて、後で説明をします。」




太郎は渋々先生の話を聞く事にしさた。
















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