第2話 異世界の星、テラ


(体が全く動かない!いや、首から上は動ける。現に周りを見渡せるし、香織の無事も確認できる。ただ……)




「皆さん落ち着いて私の話を聞いて下さい。」




(教室は?どこかの大広間?)


クラスメイト達が叫んだり、泣き出した。




「杉本先生、ここはどこですか?」


「先生、なんの冗談ですか?」


「なにここ、ワケわかんない!」




(クラスメイトの半分はパニックだ!いや、半パニだ。)




「皆さん、静かにお願いします。今からちゃんと説明をします。」




(30分くらいしてから、クラスメイト達が少し落ち着きをとりもどしたが、女子の中には今だにシクシク泣いている人もいる。)




(ここで突然、このクラスの委員長の立花遼太郎が先生?にいきなり質問をした。冷静すぎるだろう。)






「杉本先生、これは何の冗談ですか?それと、なぜ俺達の体が動かないのですか?ここはどこですか!」




(立花、なぜそこまで冷静にいられる。こんな状態で普通になぜ質問が出来るのだろう?)




「今から全てを説明します。質問はそのあとでお願いします。」




(先生とは思えない程、やたら丁寧な口調だ。人が変わったみたいだ。)




「まず、自己紹介から……」




(え?今さら杉本先生が自己紹介?)




「私の名前は、スーギー・モットーと言います。」






(((((え?)))))


(((((そのまま?)))))




「そして、ここは「テラ」と呼ばれる星で地球とは別世界にあり、このクラスの約半分をこの世界に強制的に転移してきました。」








「そして、この2年5組の35人がいたと思いますが、このクラスの約半分の方々はそのまま地球に残っています。」






(どういう事だろ?あっ、また立花が質問しだした。)




「他の生徒は地球に残って、ここにいるクラスメートはなぜ……それより早く元に戻してください。」




「先生早く元に……って言うか早くして」








「質問は、説明の後で、と言いました。」




「話を続けます。あなた方は、私達に選ばれた勇者として私達を助けて戴きたくこの「テラ」へ強引な形ですが、来ていただきました。」






「そんな勝手なこと許せられなだろ、第一これって誘拐とか拉致監禁とか……杉本先生、先生!」




(イケメンでスポーツ万能でモテモテ、クラスカートの上位にいる立花が先生に食い下がる。)




「立花くん、静かにして下さい。それと私の名前はスーギー・モットーです。間違わないように。」




(えっ~~~~!今そこ大事~~?)




「これから、大事な……皆さんにとってとても大事な話しをします。先ほど話したここに居ない生徒は、私の希望に添えなかった人達です。」






太郎が見渡せる範囲で確認した所、ここに居ない生徒の共通点を見つけた。




(僕をイジメたりバカにしてた人達が居ない。)




(それより、香織が心配だ。なんとかこの状態から抜け出せないかな。)






「今、ここにいる生徒に……いや勇者様にわが国「アーゼスト国」を勇者として、他の国々と協力して、魔族や魔物と戦ってもらいたいのです。このままでは人類や、エルフ、獣人、ドワーフなどが滅びかねません……」






「ドッカーーーーン!」


「ガラガラガラ」




「敵襲!!騎士団戦闘準備」


横に並んでた騎士団達が一斉に警戒する。




(なに?なに?なに?何事?)




「勇者様達を守れ~っ!今はまだ体がマヒしてるから直ぐに治すので、それまで勇者様達を守って欲しい。今魔法で……」








「全近衛師団集合!死んでも勇者様達を……私達の救世主を守って!私達の最後の希望を!」




(うん?救世主?いやそれより体が段々動くようになってきた。)






爆発音がした場所の壁に大きな穴があいていて、ホコリが舞う中から二人の人影がこちらに近づいてくる。




「前衛、盾を構え!」




(まだ、体が……あと少しで)




剣をかまえた背の高い、いかにもな体型でどんどん近づく。




(あの二人、香織に近づいている。体は?あと少しで動ける。)




1人の背の高い方(どっちも高いけど)が香織の腕を掴もうとする。




それを見ていた太郎は、(騎士団はなぜなにもしないのか?)




そしてとうとう、その一人の人物が香織の腕を掴んだ。




ホコリが舞うのが徐々に収まり、侵入者?2人をハッキリと確認する。




男一人に、女一人。何者だ?




そして




普段の太郎とは思えない程、声は低く殺気が込められた太い声で、いい放つ!」




「香織から手をはなせ!」




その瞬間にもの凄い音がした。


バシッ!


太郎から物凄い殺気が放たれた音だった。


しかし、香織からとんでも発言が飛び出た。


「太郎……………こめんね。」



え?なにが?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る