23 取り敢えずは一件落着…此れからが大変!

取り敢えず考えても仕方が無い、今後はなる様にしかなならないから、後回しだ…問題を先送りにしたみたいで嫌だけど仕方無いよな。


俺があれこれ考えていると爆風で転がされたらしいルナ達がホコリも落とさず駆け寄ってきた。


「イズルさん、大丈夫!」


「イズルはん、大丈夫やったか!」


二人して半泣き顔だ…全く、折角の可愛い顔が泥と涙で台無しだぞ?


「あぁ、心配を掛けたな…けど、大丈夫だ」


俺は地面に座り込みながらヘトヘトの顔で言葉を返す。

全く、自分達だって危なかった筈なのに人の心配ばかりして…可愛いな…。

俺は何も言わず二人を抱き締める。

突然の事で二人は固まるが、そのまま力が抜けていくのが腕の中で分かる。

ヘニャヘニャになった二人を抱き締めていると目の前にいるガダリオンが気色悪い程のニヤ付き顔をしていやがる、どうせ俺も素直になれないんだよ、悪かったな。

そうこうしていると、呆れ顔で同じ様にホコリまみれのバランがやってくる。


「お疲れさん、まぁ、大した被害が無くて良かったが…さっきのは一体?あの魔力は異常だ…そっちの男が殴り飛ばしてくれなかったら大変な事になってたぜ…感謝する」


バランも疲れた顔をしながら幾つかの傷を負いつつもガダリオンに向き頭を下げている。


「バラン、彼が北のスラムボスのガダリオンだ…見ての通りスラムボスの癖に何かにつけて律儀な変な奴だ」


俺はニヤケ顔のガダリオンに仕返しの様に言えば、ガダリオンも困った様な顔をしながら俺を見る。

バランは頭を上げると驚いた顔をしながら俺とガダリオンを見ている。


「か、彼が北のスラムボスのガダリオンか…し、死んだと聞いて…いたが…」


あぁ、そう言えばバラン達にも話して無かったか…俺は掻い摘んで話をする。


「そう言う事か…確かに居もしない人物が別行動で動き回れば相手の裏も掛けるか…今回は特に功を奏したしな…」


バランが納得した様に腕を組ながら鷹揚に頷いている。

因みに、俺に抱かれているルナ達だがヘニャヘニャから立ち直った後にはそのまま俺に抱き付き返して二人して膝の上に座っている。

小柄とは言え女の子二人が座るから狭い!って言うか二人とも此処は道の真ん中で人前!恥ずかしく無いのか?


「さて、バグド達にももう一度会って話をしないといけないし…二人とも降りてくれるか?」


俺は猫の様にスリ付きながら抱き付いている二人に呆れた口調で退くように頼むが聞く耳を持ってくれそうに無い、困った物だと考えていると後ろから、この世の全てを凍らせるかの様な殺気を感じ後ろを見る…二人も気付いたのか顔を上げて後ろを見ると二人して青褪め始めた。


「貴女…節度を守りなさいって言わなかった?こんな往来で…」


地の底から響く口調のルカ…見るまでも無く顔は怒っているだろうな。

横にいるのはガオンだな…此方はまぁ…どうせ娘ラブの怒りだからほかっておこう。

二人とも異常な魔力を感じて飛び出し来たらしい。

ルナ達は二人を(主にルカを)見た途端に飛び退く様に俺から離れる。


二人が退いた所で俺は立ち上り、鬼の形相の二人に説明を始める。

今回はバランもいたから助かったが、いなかったら俺の命は無かったかもな…クワバラ、クワバラ…


二人もと今回の騒動に付いては納得してくれたみたいだ…良かった…さて、では俺はバグド達の所に…っと思ったがやはり逃げれなかった。


「それはそれで仕方無いとして往来で抱き合っている意味は無いんじゃ無いかしら?その辺りはどう説明するのかしら?」


笑顔が引き攣りながらも優しい口調のルカ…いや~可愛い顔が台無しですよ?等と言える筈も無く、俺は素直に頭を下げる。


「すみません、俺が助けに来るのが遅れて二人を危険な目に合わせてしまい…落ち着かせる為に急いだもので…二人は仕方無い事ですから、責任は俺にあります…申し訳ありません…」


二人が危険な目に会ったのは事実だし怖かったのも事実だ…まぁ、その後は甘えたいだけだったのだろうが、そうしたのも俺だ…二人に罪は無いのだから、素直に謝り何かあるなら俺だけで罰を受けようと、ゆっくり体を移動しルカ達からルル達が隠れる様に移動する。


「はぁ…全く…清い交際をって言ってる矢先に…二人とも…今回はトラブルとイズルさんの態度に免じて許して上げるけど、イズルさんの好意に甘えてばかりだったら今後は許さないからね?それと…イズルさんも二人をあまり甘やかさない事!良い?」


ルカにはお見通しか…まぁ、当たり前だな。


「はい、すみません…今後は気を付けます…」


俺は恐縮しながら再び頭を下げる。

ルナ達二人もしょんぼりしながらは~い等と気の抜けた返事をしている、二人とも分かってるのかな?


そうなやり取りをしているとバランが近付いてきた。


「一段落したみたいだが…あっちから歩いて来る奴等は知り合いか?」


バランが一区切り付いたのを見計らい話し掛けながら通りを指差す方向にはバグド達がいた、どうやら一騒動が終わったのを見計らいやって来たみたいだ…まぁ、元々、表沙汰が嫌いな連中だから仕方無いか。


「あぁ、彼等が他のエリアのボス達だ…」


俺はバランの質問に答えながら歩き近づく。

横ではバランが警戒しながら三人を見ている。


「どうした?向こうで待っていれば良かっただろ?」


俺は三人に声を掛けながら一瞥する、三人とも何故か浮かない顔をしている。


「なぁ、イズルさん…さっきの男…あれが…俺達の上に立っていた奴か?」


バグドが爆発し四散した男を見ながら話す。

どうやら遠目から見ていた様だ…っで自分達のボスが目の前で死んだのを見て次は自分の番かと思ったらしい。


「残念だが彼は違う…彼は、だだ操られていただけの被害者だ…本物は何処か別の場所から人を操り嘲笑っていると思うぜ」


俺の話に三人は驚く、どうやら三人を従えていた時にはそれなりに優遇されていた様だが、いざと為れば捨て駒扱いされるのを見て、自分のもしからしたらあったかも知れない未来に青褪めている。


「あぁ~イズル、ちょっと良いか?その三人を紹介して貰っても良いか?」


青褪めている三人を余所にバランが話し掛けてくる。

今まで謎と言われてきたスラムボスが全員揃ったのだから、この機会を逃すつもりが無いのだろう。


「あぁ、彼等がガダリオン以外の残りのボス、南のローザ、西のヒリアス、東のバグドだ…此で、ようやく全員が揃った訳だが…その前に色々と片付けないと駄目なんじゃ無いのか?」


俺はバランの考えや気持ちが分からないでも無いが流石にね…後ろではアニヤが走り回って事故処理してたり、ルル達はまだ親達に怒られていたり…あっ 頭に拳骨を貰って痛そうだ…。


そんな状態を見ている俺の目線を同じ様に見るバランが軽く溜め息を付く。


「確かに…このままじゃ話は進まないか…今の爆風で何軒かの家も崩れ掛けているしな…」


そんな俺とバランのやり取りを見て気になったのかバグドがソワソワしている。

俺は何だと思いながらバグドを見ると、隣のヒリアスやローザもソワソワしている。


「何だ、お前達?どうかしたのか?」


挙動不審な三人に話し掛ける…三人は見るからに動揺しながら何かを言いたそうにしているが、ようやく意を決したのかバグドが代表で口を開く。


「イズルさん、此処に来る前に三人で話をしたんだ…さっきの…操っていた俺達のボスがあんたを襲えと言ったから俺達はあんたに敵対した…だが、簡単に返り討ちあった俺達をあんたは何も無かったかの様に振る舞い、更にスラムの連中を何とかしようと考えている…甘い汁を吸い、俺達を使うことしか考えていなかった奴とは違う…」


神妙な顔をしながら話を途切れ指すバグドに代わりローザが話を続ける。


「私達だってスラムの連中の事を気にしてなかった訳じゃないの…けどね…この大きな街の四つに分かれたスラムの連中よ?仕事だって簡単には見つからない…長続きしない連中だっているし、体が悪い奴等だっているの…けど、あんたは北にいた病気の母親に手を差し出したんだってガダリオンから聞いたわ…その上で私達のスラムにも…」


どうやらガダリオンからアル達の事を聞いたみたいだ、ローザが俺を真っ直ぐな目で見てくる。


「だから、私達も貴方に付いて行こうって決めたの…貴方に私達のスラムを預けるわ…だから…」


「「「俺達(私達)のスラムを宜しくお願いします!!!」」」


ヒリアスがローザの話を簡単に纏めると三人が声を合わせて言いながら頭を下げる。

どうやら俺やバランが何か言う前に話は決まっていた様だ。

少し離れた所から此方を見ているガダリオンも同じ様に頭を下げている。


どうやら話と展開が急に進んだが何とかなりそうだ…最も、此れからが大変何だが…。



イズル(神田川 出流)

ステータス


種族:人間

性別:男

職業:新米薬師(ポーション特化)

冒険者ランク:G

名前:イズル

年齢:19才

Lv.  15(177/3500)

HP  1030/1230(1845/1845)

MP  3250/3400 (5100/5100)

ATK 820(1230)

DEF 420(630)

AGI  1210 (1815)

DEX 825 (1238)

MIND 22243(33365)

LUK 1852(2778)


〈スキル〉

鑑定Lv.MAX(能力限定/鉱物及び植物)

異世界言語翻訳

アカシック・ライブラリー(鉱物及び植物のみ)

詠唱破棄


魔力付与Lv.1

魔法付与Lv.1

魔法効果短縮Lv.3

魔力消費軽減Lv4

並列思考Lv.3

スキャンLv.2

アイテム・ボックスLv.2


〈魔法〉

風魔法Lv.3(ウィンド・カッター)

(ウィンド・ウォール)

(ウィンド・スパイラル)

火魔法Lv.2(ファイヤー・ボール)

(ファイヤー・ウォール)

水魔法Lv.2(ウォーター・ボール)

(ウォーター・ウォール)

土魔法Lv.1(クリエイト・シェイプ)

光魔法Lv.1(ライトアップ)


〈称号〉

願望者

黄泉姫の加護

皐月の加護


〈エクストラ・スキル〉

※※※※※※※※※※

※※※※※※※※※※

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る