16 暫定婚約!いや、まだ逃げれ…無いか…
「いや~悪かったわね?うちの旦那が勝手な事をしてさ…子離れ出来ないダメな人でね…」
取り敢えず落ち着いた所で二人が立って話をしてくる。
何度見てもドワーフに見えない親父さん…ガオンは直立不動のままこっちを見ている。
「いや、だってルカ…可愛いルルが変な男に誑かされているかも知れないだろ?此処は親としてだな…」
ガオンが何やら言い訳を始めたがルカとルルが睨むと黙ってしまった、何時の世も父親は奥さんや娘には弱いらしい。
「大体、貴方がそんな事だからルルが何時まで経っても彼氏の一人も作れないでいるのよ?このまま行き遅れになったらどうするの?」
「お父さんは何時もそうや…ウチが男友達を連れてくるだけで暴れて…大体、イズルはんはウチを助けてくれた恩人や!ポーションも作れる立派な人や!これ以上良い人は居ないやん!」
二人が口々に詰め寄り文句を言っているがルルよ、それは前提として俺と付き合ってる話にもなるぞ?
んぅ?周りから熱い…いや、寒い殺気が…お客さん、気のせいですよ?ルルの気の迷いだから殺気を抑えて…って此処でもか!
ルル!お前モテ過ぎだろ!
「ちょっと、ルル!今のは聞き捨てなら無いよ?イズルさんはボクと一緒になるんだから!」
ルルの言葉に反応する様にルナも慌てる様に会話に参加してきた。
うん!ルナ…君も何か勘違いしてないかい?
そして、周り!殺気を放つな!
モテるなルナよ!
お前ら本当に嫌われてるのか?比率を間違えてないだろうな?
「あらあら、イズルさんはモテモテね…二人共にそうなら、二人一緒になれば良いんじゃないの?」
んぅ?ルカが何かおかしな事を言い出したぞ?
「あっ!そうや!そうやね…それが良いわっ!ウチもルナなら問題あらへんよ?」
おいおい、ルルまでおかしな…いや、怪しい事を言い出したぞ?
まさか、異世界定番の…
「あぁ、成る程…頭の中がイズルさんの事で一杯だったから忘れてた…ボクもルルならOKだよ!良かったね、イズルさん♪」
ルナも何やら納得した感じらしい…んぅ!ヤバい感じだ!
「あぁ、えぇ~っと…何の話しかな?俺には…さっぱり話が見えないが?」
俺はさっきから冷や汗をかきっぱなしだ…誰か助けてくれ!
「何やイズルはんは…照れ屋やな…ウチらじゃ不満なん?」
「ボク、一杯頑張るよ…それともボクの事キライなの?」
うわ!ヤバい…逃げ場が…後ろ…には他の冒険者の殺気が!
前からはルナ達が!
横っ!には親がって父親!睨むな!殺気を出すな!斧を構えるな!
お母さん!笑ってないで助けて!
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四面楚歌と言う言葉を知ってるだろうか?
この世界には無い言葉だが俺の元いた世界にはある言葉だが覚えておくと良い、今の俺の状態がそれだ。
「つまり、男でも女でも相手が全員納得なら一夫多妻だろうが一妻多夫だろうが問題は無いと?」
どうやら、この世界は一夫多妻や一妻多夫が貴族以外でも多いらしい。
勿論、条件はあるが大まかに分けてこうだ…
① 男又は女一人に対して異性は複数。男も女も複数は不可。
② 男又は女が娶る相手の人数分まで養える経済力がある事。
③ 多妻又は多夫が互いに認めあっている事。
④ 男又は女は娶る相手を平等に愛する事。
等らしい、まぁ、まだ色々と細かい事は有るみたいだが、大まかに此だけ守れば問題は無いらしい。
「ウチもルナが相手なら問題んよ?ウチはずっと一緒やって約束してたし…ルナの事なら心身とも知ってんや…問題あらへんよ?」
ルルよ、18禁ギリギリの発言をしてませんか?
ルナが顔を真っ赤にしてるぞ。
「ル、ルル…は、恥ずかしいから…今は…言わなくても…」
うん!今のルナの表情だけでも今夜のオカズになります!合掌!
…じゃなくて!ヤバい…外堀が埋められていく…
俺は周りを見るが周りの冒険者達も血の涙を流しそうな勢いの表情で手には剣を持ちながらも二人を見守っているのが分かる。
お前ら…好きなら告れよ…って言うか、この親父さんのせいか?いや、ルルもルナも今までに此処まで人を好きになった事が無いのか…参ったな…。
「なぁ、二人共…この際だからはっきり言うけど、俺は二人の事を可愛いとは思っているが結婚相手には見ていない…二人だって、たまたま俺が助けたから今は引かれているだけなんだ…もう少し時間が経てば冷静にもなる。
ましてや俺はこの街に来たばかりだ…俺の事をまだ良く知らないだろうし、経済力も無い…結論を急がず、今はお付き合いから始めないか?」
俺は必死のルルと目に涙を溜めながら俺を見るルナを見て肩を落とす…この世界に来てまだ二日だぞ…なのに何故、俺は恋人どころか婚約者が…前の世界じゃ年齢=彼女居ない歴だったのに…
取り敢えず、周りと二人を納得させる為の落とし所を提案する。
実際、俺の生活基盤は全くできてない為に経済力何て無いに等しい。
此は二人も分かっている筈だ。
「確かにイズルさんは旅ばかりで貯蓄もなく、この街に来たばかりだから経済力は難しいわね…此では教会が納得しないかも?」
おぉ!ようやく俺にも味方が!ルカよ、ありがとう!
「うん!確かにルカの言う通りだ!まだルルには結婚は早い!この話は無かっ…………ギャーーー!」
ガオンよ…味方になってくれそうだったのに…余計な一言を言ったが為にルカとルルの二人から同時に斧の横で顔面を叩かれ壁まで飛ばされ壁に頭をめり込ませた。
ギャグか?って言うか死んでないよな?
「さぁ、余計なゴミは居なくなったので話を続けましょうか?」
二人共に何事も無かった様に斧を仕舞うと椅子に座り直し話を続ける。
俺は思わず心の中でイエッサーと叫んでしまった。
「実際の話、今のままでは結婚届が受理されないわね?イズルさんのお店はいつ頃から開店するのかしら?」
テーブルに肘を付き真面目な顔をしながら問い掛けるルカに俺も困った。
何せ俺も二週間位としか聞いてないから、それ以上掛かるかも知れないしな。
店作りに関しては丸投げだ…はははっ…良いのか?
「其については後から確認しておきますが一ヶ月は掛からないと思いますよ?」
取り敢えずは無難目に答えておこう。
…って言うか、俺!何だかんだって結婚する彷徨に話が進んでないかい?
ヤバい!何とかしなくては…ど、どうに…か…出来そうに無いな…潤んだ目で見るルナとルルを相手にはどうにか出来る自信は無いな…。
「…っと、取り敢えずですね…さっきも言ったように、お付き合いから初めましょ…お互いまだ、良く知らない事だし…な?」
俺は恐る恐る言ってみる…此処まで来たら普通の回避は不可能だ…なら問題を先伸ばしにしてでも今を脱するしかない。
「イズルはんはウチらの事がそんなにキライやの?何でそんな事言うねん?」
「ボク、イズルさんの事が好きだよ…普通の人が、幾ら困っていたからって見ず知らず女の子を助けたりはしないよ…あんな危険なドラゴンにだって立ち向かったり何て…それだけで十分、イズルさんの事が分かるよ?」
困った物だ…二人の美少女から潤目で見られながら真剣に言われて誤魔化すのはやはり男らしくも無いか?
皐月ちゃんの事を忘れた訳じゃ無いけど、次に会えるのはまた死んだときな気もするしな…今を大切する方が良いかもな。
「全く…どう言っても俺に拒否権は無いって感じだな?ったく、知らないからな…そんな事で俺の本性を知って騙されたって言っても文句は受け付けないし、その間に体は傷物になってるからな?」
俺は溜め息を付きながら苦笑混じりに言う、諦めた訳じゃないが受け入れるのも男だと思う。
「あっ!エッチな事はちゃんと籍を入れてからね?」
俺の言葉に返す様に言うルカの一言に俺もルル達もテーブルに顔を打ち付け倒れた。
イズル(神田川 出流)
ステータス
種族:人間
性別:男
職業:新米薬師(ポーション特化)
冒険者ランク:G
名前:イズル
年齢:19才
Lv. 15(77/3500)
HP 12/1230(1242/1845)
MP 1200/3400 (2200/5100)
ATK 820(1230)
DEF 420(630)
AGI 1210 (1815)
DEX 825 (1238)
MIND 22243(33365)
LUK 1852(2778)
〈スキル〉
鑑定Lv.MAX(能力限定/鉱物及び植物)
異世界言語翻訳
アカシック・ライブラリー(鉱物及び植物のみ)
詠唱破棄
魔力付与Lv.1
魔法付与Lv.1
魔法効果短縮Lv.3
魔力消費軽減Lv4
並列思考Lv.3
スキャンLv.2
アイテム・ボックスLv.2
〈魔法〉
風魔法Lv.3(ウィンド・カッター)
(ウィンド・ウォール)
(ウィンド・スパイラル)
火魔法Lv.2(ファイヤー・ボール)
(ファイヤー・ウォール)
水魔法Lv.2(ウォーター・ボール)
(ウォーター・ウォール)
土魔法Lv.1(クリエイト・シェイプ)
光魔法Lv.1(ライトアップ)
〈称号〉
願望者
黄泉姫の加護
皐月の加護
〈エクストラ・スキル〉
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