14 肉食女子?

ゴルドンと色々話をして取り敢えず大金貨は貰って貰った。

言っては悪いが見るからに不健康そうな顔色だったからな…俺のリカバリーポーションを飲んで傷は治ったがライフポーションは止めておいた。

しかし、昨日の夜中に追加で幾つか作っておいて良かった。

まぁ、今日は街の外に出る予定だったから必要になると思ってはいたが、こんな所で使うことになるとは思いもよらなかったと、ゴルドンの所から出てから考えいた。

何時の間にか日も沈み始めていた。

残念だが今日はもう、外に行くのは止めよう。

いくら街の側とは言え城壁の向こう側は危ない。

今からじゃ夜になるから魔物の活動も活発になるだろう。

俺は仕方無しにギルドが借りてくれた宿屋に向かう。

今日から俺は本格的に異世界を満喫する個とになりそうだ。

昨日は踏んだり蹴ったりで、ボロボロのままギルドの治療室に厄介になったからな。

”宿屋・小春日和”

何となくだが嫌な予感がするのは俺の気のせいか?


「いらっしゃいませ~お泊まりですか?ってアンちゃんか?話しは聞いてるぜ、二階の一番奥だ。此が鍵な!」


俺は宿屋の入口で崩れ落ちた、なぜ、此処に日向亭のハゲ親父がいる。


「アンちゃん、そんな所に入られると外から来る客の迷惑になるから早く入ってきなって…あぁ、店の食事代の支払いなら十分足りたから安心しな…って言うか、うちのカミさんが他の奴等をどやしつけて払わせてたは…ハハハッ」


崩れ落ちていた俺もゆっくり立ちあがり中に入っていけば親父が飯屋の方の支払いの事を教えてくれ。

女将さん曰く、嫉妬で絡んで初心者からタカるなだそうだ。

お釣りも貰った。金貨一枚が帰ってきた。

因みに、ここの支払いはギルド持ちだそうだ、助かる。

俺はふと階段を見ると誰かが降りてくる…。


「あっ イズルさん、もう帰ってきたの?お帰りなさい!」


俺は再び崩れ落ちる、何故に此処にルナがいる。

待てよ、此処にルナがいると言うのとは…


「あれ?イズルはん、もう帰ってきやんしたか…お帰り!」


ルルまでいるよ…バ~ラ~ン~!謀ったな!


「えぇっ…二人とも…この宿に泊まってるの?」


俺は肩を落としながら立ち上がれば気だるそうに聞く。

色々と大変だが悪い子達じゃないから…ただ、吊り橋効果の愛情表現が過剰なだけで…。


「んぅ?違うよ…普段は別の所にルルと二人で借りてる部屋があるよ?ただ…イズルさんが宿に泊まるって聞いたから、ルルと二人でたまには泊まろうかって話になったの。」


ハイ!アウト!最早ストーカーのレベルです!

そう言いながらルナがルルに話し掛け首を傾げればルルも同じ様に首を傾げる。

可愛い女の子が二人で可愛い仕草を見せれば男として堕ち…いやいや、そんな訳にはいかない!

此処は一つ、冷たくあしらわないと今後の為にも良くない!

頑張れ俺!


「あぁ、二人とも…そのな…俺としては…」


「あっ!イズルさんが剣と小楯持ってる!買ってきたの?」


俺が二人に忠告の意味を込めて話をしようと思った矢先に目敏く見付けたルナ、どうやらゴルドンの所から買ってきた剣と小楯が気になったらしい。


「へぇ~シンプルな剣と小楯だね?素材はあまり良くないみたいだよ?ひょっとしてイズルさんってポーション以外の目利きはダメなの?」


階段から降りてきて俺の側まで来ると持っていた剣や小楯をジロジロと見ながら再び首を傾げて見せるルナ。

いや、もう可愛いのは分かったから…はい、今回は俺の敗北です…文句を言うのは諦めました。


「いや、一応は出来るよ?此は分かっていて買ってきたんだ。次の時にはもう少しましなのを貰えるると思うよ。」


取り敢えずの言い訳と本当の話。

帰り際に多目の鉄鉱石を渡しておいた。

勿論、新しい剣を作って貰うためだ。

幾らゴルドンの腕か良くても屑鉄の剣と小楯では切れ味が良いのは最初の方だけだろう…後には直ぐに悪くなり最悪折れる。

そうなる前に変える、勿論、ゴルドンも分かっているし鉄鉱石を渡したのだから是非も無いみたいだ。

最初と違い良い笑顔だ。次が期待できる。


「ふぅ~ん、そうなんだ…けど変な剣だね?素材は悪そうなのに良い物に見えるよ?」


おや?ルナも随時と分かってるじゃないか…ってルル?さっきから後ろで睨む様に剣と小楯を見ているが何か?


「なぁ、イズルはん…この剣と小楯やけど…町外れの裏道にある、あばら家鍛冶屋ゴルドンの所のとちゃうやろか?」


んぅ?何だ、ゴルドンの奴、有名か何かか??


「あぁ、ルルさんは知ってたのか…今日、たまたま見つけてね。話をしたら売ってくれたよ…確かに良い物だけど悪い物だよ…可笑しな物さ。」


俺は笑いながらルルに答えると二人の表情は真逆と言うより何故に驚く?


「ゴ、ゴルドン!ゴルドンさんの所で買ってきたの!どうやって?」


おや?ルナが何やら焦りながら聞いてくる?どうやってって普通にだが。

俺はゴルドンのプライベートな話や俺がスポンサーになった所は誤魔化し辻褄を会わせながら、この剣と小楯だけで1ゼクス大金貨した事を話せば二人とも呆れ顔と驚きで一杯の様だ。


「イズルさんは知らないだろうけど、ゴルドンって言ったら偏屈頑固のゴルドンって言って何時も顰めっ面で無愛想、滅多なことじゃ売らないし、お金を出しても首を縦に振るような人じゃ無いんだよ?流石に大金貨を出した人はいないけど…今までの経緯から考えたら普通は縦に振ってないよ?どんな交渉したの?」


成る程な、確かにあの経緯があったら簡単には売れんか…何より素材の悪い粗悪品の武器を売るのはゴルドンのプライドが許さないだろうしな。


「いや、別に…何もしてないぞ?声を掛けて、世間話をして…交渉して…気に入ったから買っただけだ。」


俺は掻い摘んで話をする、嘘は無いけど要所々々に内緒にしている事もある。

詳しく話す必要の無いこともある。


「そんな事あらへん!あの頑固親父が、話をするだけで売るわけあらへんのや!なぁ、イズルはん…どうやってって交渉したか教えてぇな…あの親父は間違いなく良い腕してるんや…うちも作って欲しいねぇ…」


ルルや、そんな潤んだ目で見るな、すり寄るな、腕に絡み付くな、無い胸とは言っても女の子何だぞ!柔らかい!ダメ!ヤバイ!

あっ!こら…ルナ…逆から同じ事するな…胸が…胸が~~


はい、イズルです…二人の女の子に言い寄られて廊下で放心しております…二人とも可愛いです…俺の自制心が何時まで持つか分かりません…合掌!


「…じゃなくて!二人とも離れなさい!女の子が二人してハシタナイ!簡単には男に体をすり寄らせない!」


緊急自動復帰しました。

危なかったです…危うく本能のまま野獣に…嫌々。


「チッ!もう少しやったのに…」

「チェッ!後少しで…押しで行けば大丈夫?」


二人とも…さっきまでケンカしてませんでしたか?何、共同戦線を張ってるのかな?



俺はギリギリの所で理性を保って振り解く、それはもう魔物に襲われた時以上に…いや、もしからしたら目の前の相手はサッキュバス!…な訳無い…ハハハッ…無いよな?


しかしゴルドン、見ている奴は見てるぜ。

あんたの腕が確かだってな…自信持って良いぜ。


「兎に角、交渉も何も普通に話をしただけだ。それに、本人ももうすぐ普通に作って売り始めるって言ってたから焦らなくても大丈夫だと思うぞ?」


俺は帰り間際にゴルドンに鉄鉱石を渡しておいた。

アイテムボックスの中に入っていた物全部だ。

重さにして約800kg位かな?

それにランス・ラビットとブレード・ディアーの角と魔石、皮も一緒に。

あれだけあれば、そこそこ普通の物は作れるだろう。

明日の朝イチに来てくれと言われた。

渡した素材で何か作っておいてくれるらしい、楽しみだ。

帰り際のゴルドンの笑顔とやる気に満ちた顔が見れただけでも今日の収穫は十分だ。

さて、明日からは本格的に頑張らないとな。


「なぁ、イズルはん…本当に何したん?あのゴルドンが普通に仕事をするやなんて?」


ルルはかなり怪しんでいるが気にしない、まぁ、二人に絡まれるのは大変だが悪くは無い。

美少女に思われて悪い気を起こす奴は馬鹿か変態のどちらかだ…少なくとも俺は違う。


「さぁな?何もしてないから分からないな…さぁ、二人とも…お腹は減ってないか?俺は今から晩飯を食べに行くんだが良かったら一緒に食べに行かないか?」


取り敢えず、俺は誤魔化す次いでに二人を食事に誘う。

何故か同じ様に扱わないとまた、トラブルの元になりそうな気がしたからだ。

案の定、二人とも笑顔になり二人して嬉しそうに再び腕に絡み付いてくる。


「こ、こら…そんな風にくっついたら歩き辛いだろ?離れるんだ…」


俺は胸の感触を名残惜しそうにしながら言う、何もなくだが二人の積極的な態度とは裏腹に大切に扱わないとダメな気がしていたからだ。

まぁ、何だかんだ言って俺も二人の事を嫌いじゃないし満更でも無いから尚に達が悪いが、此処はまだ内に秘めておこう。


「イズルはんはイケズやな…まぁ、楽しみは後に取っときやろか…」


「残念…けど、後で一杯相手をしてね?ぼく…何時でも良いよ?」


二人が素直に離れるのは良いが意味深な言い方をするな!

股間が…あ、歩き辛い…。


「…っと、兎に角…何処か食べに行こうか…お、お勧めはあるか?」


俺はさっさも話題を変えて移動しようと聞いてみる。

所詮、今日も1日ゴルドンの所に居ただけで終わってしまったから街中の事が分からない、なら、此処は素直に二人に聞いた方が良いだろう。


「それなら、やっぱり街の名物〈串焼き亭〉やな!」

「それなら、街の名物〈丸焼き亭〉だよ!」


二人して別々の店を言う…あっ!睨み合ってる…。


「串焼き亭はタレやら塩やら色々楽しめるやん!」


「丸焼き亭は豪快に焼いた鶏肉丸ごとを切り分ける時の肉汁が美味しいんだよ!」


「「イズルさん(はん)はどっちが良い(んや)!」」


おっ!矛先がこっちに向いた…串焼きなら色々な肉をタレや塩か…鶏肉丸ごとも向こうの世界じゃ食べた事無いから興味を引かれるよな?って、二人の目付きが怖い…。

二人とも肉食女子なんだね…。


「いや、俺はどっちも良いとは思うんだが…そうだな…きょ、今日は…ま、丸焼き亭にしようか…」


やはりあの此処は前の世界でも食べた事の無い物から食べてみようかと思い謂えば、目の前では二つの世界が出来ていた。

片方は満面の笑みで勝利と栄光を勝ち取ったかの様に、もう片方はまるでこの世の終わりの様に落ち込んだ表情で…君達、さっきまでの仲の良さは何処に行った?





イズル(神田川 出流)

ステータス


種族:人間

性別:男

職業:新米薬師(ポーション特化)

冒険者ランク:G

名前:イズル

年齢:19才

Lv.  15(77/3500)

HP  12/1230(1242/1845)

MP  1200/3400 (2200/5100)

ATK 820(1230)

DEF 420(630)

AGI  1210 (1815)

DEX 825 (1238)

MIND 22243(33365)

LUK 1852(2778)


〈スキル〉

鑑定Lv.MAX(能力限定/鉱物及び植物)

異世界言語翻訳

アカシック・ライブラリー(鉱物及び植物のみ)

詠唱破棄


魔力付与Lv.1

魔法付与Lv.1

魔法効果短縮Lv.3

魔力消費軽減Lv4

並列思考Lv.3

スキャンLv.2

アイテム・ボックスLv.2


〈魔法〉

風魔法Lv.3(ウィンド・カッター)

(ウィンド・ウォール)

(ウィンド・スパイラル)

火魔法Lv.2(ファイヤー・ボール)

(ファイヤー・ウォール)

水魔法Lv.2(ウォーター・ボール)

(ウォーター・ウォール)

土魔法Lv.1(クリエイト・シェイプ)

光魔法Lv.1(ライトアップ)


〈称号〉

願望者

黄泉姫の加護

皐月の加護


〈エクストラ・スキル〉

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