12 修羅場再び…

あの後、再び、ギルドマスター・バラン登場で人波乱あった後に収拾が付いて現在はギルドから少し離れた場所にある“日向亭”と呼ばれる食堂に来ている。

勿論丸い四人テーブルに座って両サイドにはルナとルルだ、目の前にはアニヤとなっているが、まぁ、大体は想定内だ…っが問題は周りだ。

日向亭と広くは無いが狭くも無い、昼も少し前でまだ人も少ない…本来なら…なのに何故に人一杯だ?

って言うか、ギルドにいた奴ら全員来てるじゃないか!

いや、ギルドに居なかった奴らも続々集まって来ている…お前ら暇か?暇何だろう?仕事しろ?金有るのか?働け?

俺の考えを他所に両サイドからはキツイ視線が…いや、俺…何も悪くないよな?


「大体、イズルさんが僕との約束を忘れてアニヤさんと食事に行こうとするから悪いんだよ?」


いやはや、ごもっともです…返す言葉も有りません。


「そうやで、ウチとの約束を忘れるからダメなんや?」


いや、約束しましたけど…けど二人供?今度って言って、今日とは言ってませんよね?


「あら、二人供?嫉妬ですか?ダメですね…子供みたいな事を言ってるからイズルさんに忘れられるのですよ?私なんて大人の余裕がありますからね?」


確かに大人の色気はありますが、言動は子供と同じで二人を煽らないで貰えると嬉しいですね。

上からルナ、ルル、アニヤの順である。


「いや、ほら、ねぇ?まぁ、今日は皆で食べましょ…ほら…今日は俺が奢りますから…ねぇ?」


何故に俺がこんなことを…いや、三人から放たれる一種異様な雰囲気と言うか気配からは背中が冷や汗が流れ続けて止まらないのだ。

そして周りの野郎共よ?無意味な殺気と嫉妬の目を向けるな!

ジェイド!落ち着け!剣に…剣に手を持っていくな!


「えぇっと…皆さん?取り敢えず奢るから一杯飲まない?店主…皆に一杯出して上げて…」


俺は説得だけでなく額からも流れる冷や汗を拭いながら日向亭のマスターに声を掛けるもと店主は奥の厨房からニヤニヤしながら俺を見ていたがグッジョブっと言わんばかりに親指を立てて返事を返した。


「エール入るぞ!準備して持っていけ!」


日向亭のマスターの掛け声と共に中からオォー!と声が聞こえると店内にいた野郎共からは一瞬にして歓喜に変わった…現金な奴らだ…お前ら…女より酒か?

そうこうしている内に店の奥からは40代中頃の恰幅の良い赤茶色の髪を頭の上で団子状にした女性が両手に一杯のエールジョッキを持って来た、その後ろには二十歳前かな?金髪ロングの細身の女性が同じ様にジョッキを持って来ると、更に後ろには小さな7~8歳位の女の子が、ピンクのツインテールを揺らしながら両手に一つずつのジョッキを持って歩いてくる。

それを見た冒険者達は歓喜に湧いた。


「女将さん!待ってました!」

「リーリアちゃん、こっちこっち!」

「エリアルちゃん、気を付けて!」


君達?其処ら中にアイドルを持ってないかい?って言うか田舎の為に其れ位しか楽しみがないか?

後、そこのお前!エリアルを見る目がヤバい!子供!幼女!おまりさ~ん!


女将さん達が世話しなくエールを運んでいれば全員に行き渡るとそこからは宴会だ…昼間っから大丈夫何かね?

トホホ…昨日の稼ぎが早々と無くなったよ…。


まぁ、気を取り直して目の前の問題だ…


「あぁ~まぁ、何だ…二人とも、次の時にはちゃんと誘うからさ…その…どうせなら二人きりの方が良いんじゃ無いかな?それにほら…もう少し時間に余裕がある夕方の方が晩御飯を食べながらさ…」


何故に俺はしどろもどろに言い訳はをしないとダメ何だ?

二人とは少し間を置こうとも思っていたのに…目の前ではアニヤがニヤニヤした顔で俺を見ている。

己アニヤ…この状況を楽しんでいやがる…。


「そりゃ、二人きりの方が僕は嬉しいけどさ…イズルさん、こんなお金とか使って大丈夫なの?」


ルナが心配そうに見てくる、そりゃ、そうだわな…昨日の時点で無一文だった俺なんだから、しかし、ルナ達には分からないだろう!

俺のアイテムボックスの中にある小金持ちの元を!


「あぁ、それなら大丈夫だよ。魔物肉がまだまだあるからね…素材も有るし後からまたギルドに換金しに行くよ」


俺が気楽に話すと今までニヤついた顔で見ていたアニヤがギョッとした顔でこっちを見た。


「ちょ…イ、イズルさん…まさか…あの量の肉をまだ持ってるんですか?」


どうやら昨日の魔物肉の量に驚いているみたいだが、手持ちにまだあるのだから事にも驚いてるみたいだ。

フフフッ 驚け驚け…俺は出来る男なのだ。

どや顔しながらアニヤを見ているとアニヤが深いため息を付きながら口を開く。


「イズルさん…幾らなんでも1日に持ち込むには量が多すぎです…ましてや一晩明けて次の朝なんて…はっきり言って買取り金額は下がりますよ?」


どや顔の俺にキッパリ言い放つアニヤ…対称的にガーン!顔を崩す俺…当たり前か…渡したのが昨日の夕方で、次が朝では無理もない…うん、此はミスった…って言うか、一晩で3ゼクス金貨使うなんて豪遊し過ぎだな…反省反省。


「んぅ!そうか…まぁ、そうだな…なら今日は骨と皮、角にしておこうか?」


アニヤの言う事は最もな話だから反論する必要は無い、ならどうするか?

簡単な事だ…昨日、売っていない骨や皮、角を売れば良いだけだ。


「あぁ、そうですね…あれだけの肉が有るなら他の素材も沢山有るんですよね?」


アニヤは天井を見ながら額に手を当て唸る様に言う。

あぁ、これはやっちゃった感があるみたいだ。

当たり前か…肉で多すぎと言うなら素材でも多いだろうからな…。

此は早急に別の素材を取りに行かないと意外と金欠になるのが早いかも?


「あははははっ いや、まぁ、ね?その辺りはまぁ…成り行きだから仕方無いな?」


俺も引き攣った笑いをしながら誤魔化す様に言う。

当然ながら俺を見直すアニヤの目は怖い。


「今回だけにして下さいよ?肉や素材の持ち込みはイズルさんだけじゃないんですから?若い子達の収入源が無くなるのでは本末転倒ですからね?」


いやはや面目無い…俺は誤魔化す様にエールを受け取り一気に飲む?

うん!冷えてないから美味しくない!此はやはり冷蔵庫が無い異世界ならではだな。


「仕方有りませんね…私もこれ以上、サボっているとギルドマスターが怒るでしょうし、先に帰って買取りの準備をしておきますね…三人ともごゆっくり~♪」


ため息と共にはっきりサボりだと言いながら立ち上がるアニヤが如何にもこの後、修羅場だとでも言いたげに満面の笑みを浮かべながら意味ありげ言いながら立ち去っていく。

見送る冒険者達からはカムバックの声が多いのは仕方無いが俺としては塩を振って立ち去らせたかったぞ。


「さてと…問題児は帰ったから此れからの事なんだけど…」


何時の間にか来ていた唐揚げの様な物をモシャモシャと食べている二人に話し掛ける。

纏めるとこうだ。


何時までも手持ちの肉や素材ばかり売ってると値崩れを起こすから、そうなる前に新しい素材とかを取りに行く。

店を開店するにもポーションの素材もいる。

店が出来るまでの間、手持無沙汰も何だし素材集めと資金集めをする。

結果、暫くは宿に泊まり素材を集めながら資金調達をすると言うことに決まった。

…っが、何故にこうなる?


「だから!僕はイズルさんと一緒に行くんだってば!」


俺を挟んで、何やら不穏な会話…もとい、おかしな話をしているか二人がいる。


「何言ってるっスか!二人で抜けたらパーティーの活動に影響がでるっスよ?ウチが行くから良いっていうス!」


ルルさんや?何の話だ?俺が何時、君達を連れて行くと言った?


「ルルだって何言ってるの?ルルが行ったら誰が守ったり回復したりするの?僕が行った方が問題無いだろ?」


ルナさんや?君も自分のパーティーを大事にしないと…ほら二人とも、向こうでグランとガイルが涙目になってるぞ?

パーティー解散の危機だ!俺は悪くないぞ?だからグラン、ガイル!俺を睨むな!


「あぁ~二人とも?何の話をしているかは分かるけど、俺は一人で行くよ?別に森の奥に行く訳じゃ無いし、二人は別のパーティーメンバー何だから、そっちのメンバーとの依頼もあるだろ?俺には君達メンバーを雇うほどのお金も無いから地道に近場を散策するよ。」


取り敢えず街の貴重なB級パーティーの解散の危機を防ぐ為に、そして俺の平穏な生活を手に入れる為にもやんわりと断りを入れる。


二人とも?何故に絶望的な顔をする?可愛い顔が台無しだぞ?

そしてグランとガイル…満面の笑みを見せるな!ゴツい男の笑みは怖いだけだ!


「ほらほら、二人とも…グランとガイルが待ってるぞ?俺もギルドに行って買取りして貰うから、そろそろ此処で解散だ…また、後からなっ」


俺は二人の返事を聞く間も無くに立上がり女将さんの方に歩くと金貨を渡して足りなかったらまた持ってくるからと告げて食堂を後にした。

まぁ、慕われるのは悪い気はしないが吊り橋効果は嬉しくない。

俺は溜息を付きながらギルドに向かった。





「えぇっと、素材の買取りは此処で良いかな?」


ギルドに来た俺はアニヤ達がいるカウンターに行くと買取り場所を確認し、現在、ギルド一階奥にある買取り専用の個室カウンターの前に来ている。

カウンターにはベルがあり、チリンチリンと鳴らすと奥から男の子が…リャクト君だ。


「おや?貴方は確か昨日の…フザけた量の肉を持ち込んだ憎…いえ、ポーション屋の…確かイズルさん…でしたか?本日も買取りを?」


リャクト君?何故に睨む?そして今、憎いと言いそうになったよね?大丈夫だぞ…俺には、そっちの趣味は無いからな?


「あ、あぁ…昨日出せなかった分の素材の買取りをお願いしたくてね…」


買取りをお願いしに来ただけなのに何故に俺は冷や汗をかいているのだろうか?

俺はドキドキしながらアイテム・ボックスからランス・ラビットとブレード・ディアーの骨や皮、角を三十体分くらいを出して見せる。

リャクトは大体予想していたのか溜息を付きながら確認を始めた。


「そうですね…昨日の肉の量を考えれば此が予想できましたから…ランス・ラビットの皮は一羽1ゼクス銀貨、骨は50ゼクス大銅貨、角は1ゼクス大銀貨、ブレード・ディアーは一匹皮が5ゼクス銀貨、骨が1ゼクス銀貨、角が4ゼクス大銀貨、合計で1ゼクス大金貨、ゼクス8金貨、6ゼクス大銀貨になりますね。」


リャクトは淡々と説明を始める。

意外とお金になったのは助かる。

あのままだと間違いなく追加で払う勢いだったからな…実に助かる。


「食べられる魔物は骨まで出汁に使いますから需要はあるので買取りますけど、あまり一辺に持ち込まれると値崩れを起こすから買取り価格が下がりますので気を付けて下さいね?まぁ、今回は品質も良いので適正で買い取らせて頂きましたけど…」


はははっ アニヤと同じ事を言われた…仕方無いよな?当たり前な話だ。

しかしリャクトよ?納得している割には何故に睨む?ここの住人は俺を睨む事しかしないのか?っじゃなくて、リャクトよ?どうした?


「何か言いたげだが…やっぱり持ち込む量は減らした方が良いか?」


少しドキドキしながら確認をする…まさかバランから要らん横槍が入ってなるべく高値で買い取れとか言われて不服に思ってるとか…有りそうで怖いのだが?


「いえ、別に…その…あ、貴方は…その…マ、マスターの事を…その…どう思ってますか?」


そっちかーーー!リャクトよ?顔を横向け耳を真っ赤にしながら言わなくても良いぞ?ウサギ耳全体が真っ赤何てある意味ホラーだ!

頬も赤らめるな!潤目になるな!大丈夫だ!俺にそっちの気は無い!


「あ、あぁ…そうだな…頼りになる人だとは思う…人的には…まぁ、男として…頼れる兄貴分だろ?困った時には助けて貰えそうだが…実際の俺と彼の関係はギブアンドテイク…ギルドがポーションを欲しがり、俺はポーションを買ってくれる人を求める…ただ、それだけだ…うん!お金も手に入ったし、ルナさん達にはプレゼントを買いに行こう!口説くなら今のうちだよな?」


俺はポーション口早に説明しながら誤魔化す様に言う、こうなれば俺が女の子好きだとアピールしておかないと何時までも誤解が続きそうだ。

しかし、この街はカオスだな…


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イズル(神田川 出流)

ステータス


種族:人間

性別:男

職業:新米薬師(ポーション特化)

冒険者ランク:G

名前:イズル

年齢:19才

Lv.  15(77/3500)

HP  12/1230(1242/1845)

MP  1200/3400 (2200/5100)

ATK 820(1230)

DEF 420(630)

AGI  1210 (1815)

DEX 825 (1238)

MIND 22243(33365)

LUK 1852(2778)


〈スキル〉

鑑定Lv.MAX(能力限定/鉱物及び植物)

異世界言語翻訳

アカシック・ライブラリー(鉱物及び植物のみ)

詠唱破棄


魔力付与Lv.1

魔法付与Lv.1

魔法効果短縮Lv.3

魔力消費軽減Lv4

並列思考Lv.3

スキャンLv.2

アイテム・ボックスLv.2


〈魔法〉

風魔法Lv.3(ウィンド・カッター)

(ウィンド・ウォール)

(ウィンド・スパイラル)

火魔法Lv.2(ファイヤー・ボール)

(ファイヤー・ウォール)

水魔法Lv.2(ウォーター・ボール)

(ウォーター・ウォール)

土魔法Lv.1(クリエイト・シェイプ)

光魔法Lv.1(ライトアップ)


〈称号〉

願望者

黄泉姫の加護

皐月の加護


〈エクストラ・スキル〉

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