超短編集というタイトル通り、それぞれ独立した短いお話が集まっています。文章や展開に冗長さがなくピリッと引き締まっていて、気楽に楽しく読めました。どの一編も、日常の中の印象的なワンシーンを巧みにくり抜いてきたかのようです。登場人物たちは特殊な能力を持たない平凡な人間であり、そうであるが故にどこか私たちに似ている気がしました。
何気ない日常の中にもドラマはあった。やはり遠くばかり見ていては見えるべきモノは見えないのですね?架空の物語の登場人物にだって、現実の世界の人間と同じ様に朝起きれば、朝食を作って食べなければイカンし、自宅を出て誰かと会ったら必ず何らかの会話もしているのですし、夜は必ず寝るときだって寝るための支度もしますよね?そういうのを考えているとしたら、これは大いに評価されるべきです。