第18話「戦いの終わり――そして――」
Side 佐久間 レイカ
形成は逆転された。
その事に最初は実感は湧かなかったがどんどんと嬉しさがこみ上げた。
同時に悟った。
新たな時代の幕開けを――
「ならこの戦いで私は引退だな――」
と、決意を固めて最後の大舞台に挑んだ。
☆
Side 銀条院 ユカリ
ユカリは進む。
危険な道程を仲間達と一緒に。
立ち塞がる敵は薙ぎ倒し、出来ないなら仲間達と一緒に粉砕する。
「ゲドゥの兵器まであるな」
「プラントの兵士や改造人間までいます」
敵を薙ぎ倒しながらデューネがそう言い、綾香も自分達の世界の宿敵であるプラントの存在を感じ取った。
恐らく悪党同士でなにか取引でもしたのだろうとユカリは思った。
『ぶっ殺す!! 今度こそぶっ殺す!!』
そして10m級の巨大怪人となったキラーエッジが行く手を遮る。
以前の巨大化の時は複数の怪人の融合体だったが今回は単純に巨大化しただけのようだ。
さらに背後からデザイアメダルの巨大ドラゴンが二体ほどやってくる。
敵の本拠地である居城は目前だというのに――いや、だからこそこれだけの戦力を注ぎ込んで来ているのだろう。
流石にアスカ達、生徒組は怯んだが――
「退きなさい!! 今はアナタ達の相手をしている場合じゃないわ」
そう言ってユカリは先陣を切り、
「猛君!!」
「うん達也君!!」
天野 猛、楠木 達也が
「いくぞ綾香!!」
「はいデューネさん!!」
綾香とデューネも銀条院 ユカリの後に続く。
それぞれの必殺技が眼前のキラーエッジ。
そして迫り来るデザイアメダルの巨大ドラゴンに攻撃する。
☆
Side ダレス
『ええい!! 時間稼ぎも出来んのか!?』
城の大広間でダレスは毒付く。
この状況はダレスにとって誤算だった。
この世界のヒーローの力を解放するだけでなく、まさか他の世界からヒーローを呼び出すなど――
ユーディアだけの力ではない。
恐らく他の世界の神か何か超常的な存在が力を貸しているに違いない。
ろくに時間稼ぎも出来ないまま、とうとう奥深くまでの侵入を許してしまった。
「辿りついた!!」
銀条院 ユカリを筆頭に――
天野 猛、楠木 達也、水樹 綾香、デューネ・マリセイドがダレスがいる大広間に辿り着いた。
☆
Side 銀条院 ユカリ
藤堂 アスカ達は命懸けでこの大広間に敵が雪崩れ込むのをシャットアウトしている。
後はダレス。
彼を倒せばいいだけだが、ユカリを含めて皆この場に辿り着くための強行軍で消耗している。
だが成し遂げねばならない―ー
『完全に力を取り戻してはいないとはいえ、貴様達を葬ることなど造作も無いわ!!』
そう言ってダレスは両手を翳す。
それだけで赤い波動が広範囲に放出され、ユカリ達は壁に貼り付けにされた。
「このパワー・・・・・・神とは一度戦った事はあるけど流石にキツイね・・・・・・」
と、猛がどうにか振り切ろうとしていた。
他の皆も同じだ。
壁にドンドン押し込まれていく。
それでもユカリは前に、前にと進もうと足掻く。
「以前の私はただ認められたかった――だけど今は違います――」
前に。
より前に。
「私は自分がやりたいと思ったことのためにここにいます!! 変身ヒロインとか、女神とかは関係ありません!!」
『幾ら吠えようが無力だ!!』
ユカリの叫びをダレスは一蹴するために赤い波動の濁流を強める。
このままでは壁を突き破って部屋の外まで吹き飛ばされるか、その前に潰されるかのどちらかだが――
『バニシングフォーム!!』
天野 猛が銀色のレヴァイザー、バニシングフォームになり――
『このまま諦めてたまるか!!』
楠木 達也、サイバーレッド――ウイングアーマーにサイバーガントレットを身に纏い、赤いオーラーを放出している。
『そうです!! まだ諦めていません!!』
楠木 達也に応えるようにナイトチェイサーこと水樹 綾香も赤い光を放出。
「この手は使いたくなかったがな!!」
そして宇宙刑事デューネことデューネ・マリセイドも青い閃光となった。
最後にユカリも金色の光を身に纏って――スーツの形状が代わり、カラーも白一色に変わり、白い羽が生えていた。
『なんだと!?』
それぞれが自らの力から逃れたことに驚愕するダレス。
先手はデューネ・マリセイドと天野 猛。
デューネの青い閃光と猛の赤い閃光が何度も全方位からダレスに衝突する。
『はあああああああああああ!!』
そして――水樹 綾香が赤いエネルギーを身に纏ってドリルのような形状になり激突。
『次は――僕だあああああああああああああああああ!!』
『!?』
続いて楠木 達也のゴーサイバー。
サイバーガントレットの豪腕が――謎のエネルギーの力が上乗せされてダレスに激突する。
一度ではない、二度、三度と強烈な一撃が見舞われ、ダレスは吹き飛ばされる。
☆
天井を突き破り、上空まで吹き飛ばされたダレスに追撃したのは銀条院 ユカリだ。
『おのれええええええええええええええええ!!』
「これで終わらせますダレス!!」
ダレスは赤いエネルギーの剣を形成し――銀条院 ユカリと上空を激しく飛び回りながら激しく剣を合わせる。
一見すると互角の勝負。
だが――
☆
Side ダレス
『力が消耗して――こんな――こんなはずでは――』
先程のダメージもあるし、超広範囲に戦力を展開させたツケもあるが。
それを差し引いても想像以上にエネルギーを消耗していっている。
『また・・・・・・また滅びるというのか!?』
「ええ!! ここで終わらせます!!」
ユカリは地下強く宣言した。
「例えまた蘇ったとしてもその時はその時代最強のヒーローが相手です!!」
そして確信した。
この世界の未来を。
未来にある希望を。
『私は――私は――』
ダレスは何かを求めるように手を伸ばす。
胸にはユカリの剣が突き刺さっていた。
☆
Side ???
「終わったか・・・・・・」
遠くから状況を眺めつつ、人名共助活動に勤しんでいた白髪白肌、赤目のアルビノ系の男の娘であり美少年。
黒いフードの人物として活動を続けていた"とある世界の"闇乃 影司は全ての終わりを悟った。
ダレスを倒した事により、各地に出現していた怪人は元の世界に帰っていくだろう。
プラントやゲドゥ、リユニオンは神様――マスタージャスティスがなんとかしてくれるだろうし。
(そう言えばこの世界の自分はどんなのか気になるが・・・・・・まあいいか)
そう思いつつ帰路につくことにした。
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