最終話「別れ」

 Side 銀条院 ユカリ


 世界全体が幻想的な白い輝きに包まれていく。


 怪人が消えていく。


 リユニオンも。


 プラントも。


 ゲドゥも等しく消えていく。


 そしてそれは天野 猛達も――


「皆さんとはお別れなんですね」


 ユカリは悲しそうに謂った。


「みたいだね。もう少しだけ居たかったかな?」


 天野 猛が


「別れぐらいゆっくりやって欲しかったな」


 楠木 達也が。


「それは同感ですね」


 水樹 綾香が。


「まあ仕方あるまい――」


 デューネ・マリセイドが。


 誰もが名残惜しそうではあるがこの結末を受け入れた。


「色々と言いたい事はあるけどユカリさん。また来るね」


「僕も、きっとまた来てみせる」


 猛と達也がそう告げる。


「私も、もっと見て回りたかったですね――」


「・・・・・・そうだな。もっと居ても良かったかな」


 綾香とデューネもそう言った。


 ユカリは泣いていて――


 デューネが「最後なんだ。こう言う時は笑顔で見送るものなんだろう?」と優しく諭すように言った。


 そしてユカリは精一杯の作り笑いを浮かべて、涙を流しながら


「はい!! 皆さん、お世話になりました!!」


 と答えた。



「別れは済ませたのか?」


 佐久間 レイカはその場に立ち尽くす銀条院 ユカリを見つけてそう言った。


「ええ」


「そうか――」


 レイカはそれ以上何も言わなかった。


 ユカリの顔はまだ悲しみの余韻で一杯だったからだ。


「ユカリ!!」


 そして藤堂 アスカもやって来た。

 後ろにはクラスメイト達もいる。


 藤堂 アスカも今の現状とユカリの表情を見て全てを悟った。


「帰ったのね?」


「ええ」


「そう――」


 アスカは寂しそうに言う。

 もっと色々と会話したかった。

 お別れの挨拶ぐらいしたかった。


 そんな気持ちで一杯になる。

 

「さて、これから忙しくなりますわよ――」


 銀条院 ユカリは――涙を流しながらも前に進むことを決意した。


☆ 

 

 =銀条院 ユカリの記録=


 あれから少しばかりの時間が経過した。


 事件の後処理で大忙し。


 黒幕の一人であったDrアスク――時和博士はその罪は有耶無耶の状態になって、ホロスコープに組み込まれていた少女――青葉博士の娘と仲良くやっている。


 最初は全ての罪を償うために時和博士は自首しようとしたが佐久間さんの説得で協会に協力すると言う形で収まった。


 浦方 伴治も時和博士の弁護のために色々と骨を折ってくれたと言う。


 最近分かったことだが浦方 伴治は純粋に変身ヒロイン、ヒーローが大好きであり、どうにかしようと尽力していて周囲からなんかイヤな役人的な誤解を受けていたらしいことが分かった。


 そして聖ヒメノ学園の生徒達は銀条院 ユカリを含めて教師ともども無償奉仕活動と言う名の罰則が与えられた。


 勝手に戦いに割り込んで大暴れしたことを考えればこれでもかなり大目に見てくれたらしい。


 ここまで書けば良いことだらけのように聞こえるが悪いこともある。


 まず犯罪に走るヒロインの出現。


 そして怪人は以前よりも強くなったり、また異世界の技術がそのまま残って悪用しようと言う物も出てきた。


 悲しいことであるが、この選択肢を、未来を選んだのは自分なのだ。


 目を背けず、真っ直ぐ歩いて行こう。


 そしてまたあの四人に会った時に、立派な自分を見てもらうためにも頑張ろうと思う。


 END

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