第14話「真相とタイムリミット」
Side 銀条院 ユカリ
激しい戦闘音が地震と言う形で聞こえる。
ともかく今は時和博士と一緒にこの施設を脱出するのが先だ。
同時に己の無力さを痛感する。
「こんなところにも怪人が――」
逃げていく途中も戦闘員的な存在はどうにかなるが怪人的な存在は流石に相手は出来なかった。
それに守りながらとなると――
「ここは私に――」
「博士!?」
「この衣装は平行世界の技術を転用した一種の強化スーツだ。大抵の敵ならどうにかなる」
そう言って博士が前に出て、素人的な動きながら敵を圧倒していく。
「す、すごい――」
「あの邪神が出張ってくるのが想定外だった」
「あの邪神――ダレスのことですか」
「ああ。変身ヒロインとこの世界に現れる怪人――無関係ではなかったのさ――長い話になるので説明は後にしよう。まずは脱出だ」
「は、はい」
そうして後に続く。
☆
施設を脱出し、佐久間たちと合流した。
「久しぶりだね、佐久間くん」
「時和博士!? その姿は一体――」
どうにかユカリたちも合流する。
そして――
「どうにかだな――」
そして黒いフードの人物。
少女が入ったカプセルを抱えて現れた。
同時に天野 猛、楠木 達也、水樹 綾香、デューネ・マリセイドが現れる。
「皆さんご無事で!?」
「再会を喜ぶ気持ちは分かるがもっと離れた方がいい!!」
そう黒いフードの人物が警告すると立っていられない程の地響きが発生する。
施設が崩壊し、地面が割れて新たに現れたのは禍々しい漆黒の城だった。
☆
一旦協会本部に私達は戻る。
あの漆黒の城は様々な怪人を吐き出し続けている。
天野 猛、楠木 達也、水樹 綾香、デューネ・マリセイドの世界の怪人軍団。
もしかすると自分達が知らない他の世界も混じっているかもしれない。
現在は待ってましたと言わんばかりに、変身ヒロインに出番を奪われた国防軍が対応しているが状況はよろしくないようだ。
その合間に協会本部の会議室を借り、時和博士の事を尋ねる。
「時和博士――あの事件で死んだかと――」
と、申し訳なさそうな顔で佐久間は時和博士に謝罪した。
「いいんだ。それに今回の事件をここまで悪化させたのは私だ――それよりも伝えなければならないことがある」
そうして時和博士は語り出す。
「まずこの事件の全容を知るには変身ヒロインと怪人の成り立ちから教えなければならない」
「変身ヒロインと怪人の成り立ち? やはりあの邪神と何か関わりがあるんですか?」
ユカリはそう質問した。
「うむ。あの黒いフードの少年の話やダレス本人の話をよればだが――」
そして長い話がはじまった。
☆
かつて地球の近辺――日本の上空で変身ヒロインと怪人が発生する原因となった、女神ユーディアと邪神ダレスの戦いがあったらしい。
結果は同士討ち。
だが両者の肉体を構成する物質などが拡散した。
その物質こそが変身ヒロインと怪人を産み出したと言う。
ユーディアは変身ヒロインを。
ダレスを怪人をと言う風に。
それが今の変身ヒロイン社会に繋がった。
しかしダレスは完全に消滅しておらず、暗躍を続けた。
その一つが佐久間さんや時和博士の人生を狂わせた変身ヒロインの極秘実験などであり、そして今回の事件だ。
☆
「私は――元々はとある世界の住民が持ち込まれたホロスコープとそれを持ち込んだ連中との接触がキッカケだった。私は復讐を目論んでいたが・・・・・・奴達と接しているウチに間違いに気づいたよ。だが気づいた時には引き返せないところまで来ていた。だが誤算もあった」
と、なにもかも観念したかのように語る。
それを責め立てる者はおらず、変わりに佐久間はこう尋ねた。
「その誤算とは?」
「銀条院 ユカリさんらしい。どう言う事かは分からないが、この世界に四人のヒーローを呼び出したのは彼女の力による物らしい」
それぞれが驚いた。
特にユカリは信じられなかった。
自分にそんな力が?
「あの黒いフードの人物は?」
デューネが尋ねた。
「彼はホロスコープを所持していた組織を追ってこの世界に来たそうだ。彼の調べと私の推測が正しければ既にその人物達は消されたと見て間違いない」
「とんだ置き土産をしてくれたものだ」
と、デューネは毒づく。
彼女の立場を考えれば仕方のない態度だ。
「事態は複雑だ。平行世界から呼び寄せたそれぞれの組織がこの世界の侵略を目論み、それを利用して邪神ダレスは本来の力を取り戻そうとしている」
フードの人物がそう言う。
「本来の力を取り戻すとどうなるんですか?」
と、ユカリは聞いた。
「この星を破壊できるレベルまで強くなる。そうなる前に奴を倒さなければ世界は滅びる」
一瞬耳を疑った。
星を破壊できるレベルまで強くなる?
「言っておくが今のダレスはこのペースだと一週間後には力を取り戻すぞ」
「そんなに猶予がないのか!?」
佐久間さんが叫び声をあげる。
それはそうだ。
一週間後には世界が滅ぶと宣告されているようなものだ。
佐久間さんの反応はまだ冷静な方だ。
「これでもマシだ。俺が去り際に大分ダメージを与えたからな。もっとも俺も次までにどこまで戦えるか分からん」
「そんな――」
もうなにがなんだか分からなかった。
衝撃情報が多すぎて分からない。
一旦解散となった。
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