第13話「黒幕の黒幕」

 Side 銀条院 ユカリ


「この感覚!? ブレンの時にも感じた!? まさかギャラクスのような存在が!?」 


 天野 猛は少しばかり敵の正体に心当たりがあるようだ。

 

 それよりもユカリは恐怖を感じていた。

 突然現れた謎の声。 

 体を駆け巡る底冷えする感覚。


 一体何者なのだろうか?


『私の名はダレス――時和よ。何時までそんな無駄話をしているのだ。せっかく女神の欠片が来たというのに』


 そしてその姿を現した。

 漆黒の二本角のヘルム。

 赤い双眼。

 禍々しい鎧。

 紅のマント。


 ただ存在するだけで広大な空間を支配している。


「女神の欠片?」


 そんな仲で綾香が尋ねた。


『それをわざわざ答えるつもりはない!!』


 そして天野 猛、楠木 達也、水樹 綾香、デューネ・マリセイドは四人の怪人と一緒に消えた。


 同時に空中に四つの場面が現れ、一人づつ飛ばされた場所で猛達と怪人達が戦闘を開始した。


『これで邪魔者は消えた!!』


「ダレス――」


『その様子だと最初から離反するつもりのようだったな』 


「一体何がどうなって――」


 突然の事態にユカリは困惑した。


「――それは俺から説明しよう」


「あなたはフードの――」


 黒いフードの人物が現れた。


「安心しろ。協会も無事だし佐久間さんも大丈夫だ」


 その言葉を聞いて幾分かホッとしたが状況はかわらない。


『キサマ何者――』


「この事件の真相を知る物だ。もしくは女神の遣いとでも言おうか? 邪神ダレス」


「じゃ、邪神?」


 突然の単語に何がなんだか分からなかった。


『キサマ、何処まで知っている?』


「Drアスク――いや、時和博士。アナタは感づいている筈だ。この施設の本当の意味を、そして銀条院 ユカリの正体を――」


「一体何がなんだか――それに時和博士って――」


 時和博士。

 聞いた事がある名前だ。

 

 確か変身ヒロインを研究している科学者で、記憶が正しければ――


「事故で家族一同亡くなったと聞いて――」


 そこまで考えてハッとなった。


「そうか。この施設の陰謀に巻き込まれて――事故はそのためのカモフラージュに!!」


 その続きを言ったのはDrアスクこと時和博士だ。


「そうだ。この施設の責任者と黒幕は佐久間さんの御蔭で倒したと思ったがそいつらも下っ端に過ぎなかった! この邪神ダレスこそが真の黒幕だ!」


「その邪神ダレスとは一体――」


 ユカリの疑問を遮るようにフードの人物は言った。


「話は後にしてこの場は逃げろ!! 大丈夫、猛達はこの程度の苦境乗り越えて見せるさ!! 時和博士も娘の事は任せろ!!」


 そして両者は激突した。


「話したいことは山々だが今は彼を信じよう――私を信じてくれとは言わんが、今は信じてほしい!」


「は、はい!」

 

 その隙にDrアスクとユカリはこの場を脱出する。

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