第76話「四季ノ唄」

 季節が巡る。

 お姉ちゃんと二度目の別れを経験して数ヶ月。

 冬が終わって俺とさとみは三年生に上がり、真美は高校生になった。姉貴は大学に入学して家から出て行き、お姉ちゃんと俺はたまに会っている。村瀬達は変わらず、親父と母さんも相変わらず新婚夫婦のように楽しそうだ。

 季節が巡る。

 春になり、姉妹達との二度目の桜を体験し、梅雨を越して夏になる。

 そうして、夏休みが訪れる直前の事だ。

 唐突に。

 巡る季節は唐突に。

 俺の眼前で色彩を失った。

 七月二十二日。

 さとみが亡くなった。

 事故だった。

 享年、十七歳。

 俺の義理の妹で、俺を支えてくれた女の子は、この世界から唐突に姿を消したのだ。

 永遠に。

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