考えるな、感じろ。おっぱいを。④
「――あ、あの! 少しよろしいでしょうか!」
口火を切ったのはプルルです。
プルルの大声に、盛り上がっていた四人のルーク(偽)は黙ると一斉に振り返りました。やはりその顔はルークなのですが纏う雰囲気は大違いです。正体がわかった今、嫌悪感しか浮かんできません。
それを堪えつつ、プルルは言います。
「その……縛られて寄せられてますので……おっぱいが蒸れてきてしまいまして……」
床にうつ伏せになっておっぱいを潰したまま、顔を上げてプルルは訴えます。
もちろん、ルーク(偽)を
「だから……あの……拭いて、頂けませんか……?」
プルル、迫真の演技。
恥ずかしそうに声を詰まらせ、瞳を潤わせ、頬を上気させ、軽くえびぞりになっておっぱいをアピールします。
そのルーク(偽)へ、残りのルーク(偽)三人が口々に何か言葉を掛けますが、それを気にした素振りもなく、プルルへと近付いてきます。
今、プルルは他の三人とは離れた、柱の陰にいました。
ルーク(偽)たちの姿を見ることができますが、他の三人の姿は見えません。
しかしそれでも、プルルは心細くありませんでした。見えなくても、仲間たちがそこにいるからです。
作戦の要となるこの大役を任せてくれた、自分を信じてくれた仲間たちがそこにいるからです。
プルルは、聖剣が奪われてしまったのは誰が何と言おうと、自分のせいだと思っていました。
だから、それを奪い返すのは自分が果たすべき責任だと皆に頼んだのです。
自分の決意を快く受け入れてくれた皆のためにも、プルルは失敗するわけにはいかないのでした。
「――どれどれ? 僕に見せてよ?」
うつ伏せになっているプルルの近くにしゃがみ込んだルーク(偽)は、息を荒くそう言いました。
色仕掛けの効果は抜群だったようです。目は血走り、鼻は膨らみ、頬は上気し、口は半開きでした。あのいつも爽やかで端正なルークの顔が台無しです。
プルルはルーク(偽)の必死な様子に若干引きつつも、おっぱいを見せるためにごろんと寝返りを打って、仰向けになりました。
腕と足を縛られてはいますが、これまで無数にベッドの上でごろごろを繰り返してきたプルルにとって、それは何の障害にもなりませんでした。
ちなみに、仲間たちから離れたこの場所にもごろごろと転がってきました。
這って進んでいくしかないと思っていた仲間たちはそれを見て、プルルに任せてよかったと思ったのですがそれはさておき。
「んー……見ただけじゃわからないなぁ……触るね?」
「――ひっ……ぅ……」
どんどんとルーク(真)の顔からかけ離れた表情をするルーク(偽)はそう言うと、プルルの二割増しになっているおっぱいの谷間に指を突っ込みました。
あまりの気持ち悪さにプルルは思わず悲鳴をあげそうになりますが、どうにか我慢しました。ここで悲鳴をあげてしまえば、作戦が失敗してしまうかもしれません。
谷間に指を出したり入れたり出したり入れたり。
その感触を十分に楽しんだ後、ルーク(偽)は興奮を隠さずに震える声でプルルへと告げます。
「確かに汗を掻いてるね。……拭くためにはおっぱいを出さないといけないよね?」
「……っ……そう、ですわね……」
もはや見るに堪えない表情のルーク(偽)が縄に手を掛けます。服の上から縛られているため、縄を解かないとおっぱいが出せないのです。
解くことすらもどかしいのか、ルーク(偽)は懐から短剣を取り出すと、プルルのおっぱいと腕を縛る縄を切りました。
戒めから解放されたおっぱいがぷるるんと揺れて元のサイズに戻りました。仰向けになっているため、そのまま重力に従って少し広がります。
(や、やりましたわ……!)
縄から解放され腕が自由になったことを密かに喜ぶプルルですが、まだ気は抜けません。
宿屋では、ルーク(偽)の目を見ただけで眠らされてしまいました。その二の轍を踏まないようにしなければなりません。
プルルはチャンスを
短剣を床に放り捨てたルーク(偽)は生唾を呑み込みながら、プルルの服、その開いた胸元部分へと手を掛けると、ゆっくりとずらしました。
ちなみにプルルは寝る時に何も着けない派です。
宿屋で捕まったため、今も何も着けておりませんでした。
つまり、服をずらすだけで、その真の姿が顕わになってしまうのです。
ついには無言になってしまったルーク(偽)は、その極上柔肌おっぱいを拝むと、手を伸ばしました――。
――――――――――――
――一方、その頃。
(そろそろいいかな……?)
(いんじゃね?)
(そうですね、そろそろ自分たちも仕掛けましょう)
プルルが離れた場所で声をあげてからしばらくして。
待機していたポインとフワワとモチチは動き出すことにしました。
こちらからプルルの様子は見えません。
ですが、きっとうまくやってくれるはず――三人はそう信じていました。
だから、自分たちは自分たちの役割をこなせばいいのです。
「ね、ねぇ! ちょっと!」
ポインが声をあげると、残っていた三人のルーク(偽)が一斉にこちらに視線を向けてきました。
「私も……その……蒸れてきちゃって……」
うつ伏せになっているポインは、恥ずかしげな表情をして、そう訴えます。
「だから……拭いてほしいんだけど……」
ポインが、蒸れ蒸れなおっぱいをアピールして誘うように言うと、
「あ、あたしもなんだけど!」
「自分もです! お願いします!」
便乗するようにフワワとモチチも声をあげました。
三人の懇願に、残りのルーク(偽)たちはそれぞれ下品な表情を浮かべて立ち上がりました。
聖剣を置いたまま、こちらへと歩いてくるルーク(偽)たちを見て、三人は内心でほくそ笑みます。
目論見通り、聖剣の周りには誰もいなくなりました。
あとはプルルがうまくやってくれることを信じるだけです。
ここからは我慢するのみ――そう決意する三人のもとへそれぞれルーク(偽)がしゃがみ込み、欲望のままにおっぱいへと手を伸ばしかけたその時。
ゴンッ!
という鈍い音が聞こえたような気がしました――。
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