第10話 二人の対決
帰り道、しのぶと大輝、そしてはるかは、黙っていた。あすかの存在は、3人にとって、大事な存在だった。
大輝の家に着いた。お茶でも、飲むか?」2人に大輝が声をかけた。
はるかは、やんわり断り、しのぶは「そうするわ」と言って中へ、入った。
「あれ、お父さん、お母さんたちは?」しのぶが言った。
「今日、法事でいないんだ。」
「えっ2人きり?」
「大丈夫だよね。大輝、そんなことは、しないもの」と心の中でつぶやいた。
大輝は、インスタントコーヒーを、2つ入れて、持ってきた。
しのぶは、「ありがとう。」と言って、はやばや飲んだ。つまり、緊張で、胸が、はち切れんばかりだ。
トックン、トックンと心臓の鼓動が、高まる。
気がついたら、大輝が、こちらの方を、じわじわ、見ていた。
「どうしたら、いいのかしら?」と考えた。
大輝が、椅子をたち、寄ってきた。その顔は、優しい。
「だ、大輝」それ以上、しのぶは、声が出なかった。「大輝のことが、ずっと前から、好きだった。」「でも、あすかがいたから」心の中が、混乱していた。
そっと、しのぶは、あごをあげ、目を閉じた。
まさに、大輝としのぶが、キスしようとした時、ドアが開いた。
2人は、振り返った。「あすか」
あすかは、目にいっぱいの涙をため、2人をにらめつけていた。
あすか「どういうこと、わたしがいない時に、2人がキスするなんて」
大輝「未遂だ。」
あすか「同じよ!だって、大輝、わたしに卒業式の時、第2ボタンくれなかった。しのぶにやったじゃない?」やはり、あすかは、根に持っていた。
あすかは、しのぶの前に立つと、右手でしのぶのほおを、バチーンと叩いた。
「何するの?」しのぶも、あすかのほおを叩いた。お互いの両手で、つかみ合いになった。
「やる気ー」とあすか
「そっちこそ」としのぶ。
そこで、大輝
「お姫様ごっこは、よせ!」とたしなめた。
「はあ、なにそれ、馬鹿じゃない」とあすか
「ほんとう」としのぶ。
少しの沈黙があったので
あすかが、「帰ろう、しのぶ」と言い、2人は、出て行った。
帰り道、あすかが「しのぶとケンカするの、何年ぶりだろう?」
「幼稚園以来かな、お人形をめぐってね」としのぶが笑った。つられて、あすかも笑った。
「ところで、なんで、帰ってきたの?」としのぶが尋ねた。
「1人暮らしを、こっちですることに決めた!」とあすか。
「あすからしいね」としのぶ。
しのぶは、この時まだ、知らなかった。トライアングルの恋にスイッチが入ったことに。
今回は、作者としても、つらかった。仲良し二人をケンカさせることに。でも、お互いの本音をぶつけ合ったことで、絆が強くなることもあるかな。大人になれば、我慢することが多くなるので。
次回、あすかが、大輝の家に寄宿する?しのぶの気持ちは、揺らぐのか。はるかは、動くのか?
今後の展開に目が離せない?
君は、ネバーランドの夢を見る。
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