第23話 Answer

 ――その日は、普段住んでいる一郎さんの家に皆で帰り、各々、自分の部屋で休んだ。

 昼下がりに戻ったはずなのに、外の景色は瞬く間に夜になり、世界は刻刻と俺から時間を奪う。


『人の悪心が悲劇を生むならば、その心を変えるしかない。――――全ての人間が、私と同じ正義の心を持てばいい。悪心すらも誕生しない、純粋なる善だけが存在する世界を創生すればいい。これが――――優しい世界の作り方だ』


 …………先生の言葉が頭の中で繰り返される。

 優しい世界って、何だ。悲劇のない世界? 悪のいない世界? 誰もが優しい心を持った世界? …………考えればそれなりに答えは出て来る。そして、それはきっと全部正しく“優しい世界”だ。


 でも今の世界は、そうやって俺が思うほど優しいものじゃない。だから、俺はもっと世界に優しさを望んだ。俺だけじゃない。一郎さんも、先生も。

 先生は望んだ末に、優しい世界を作る方法を編み出した。…………それ自体は、本当にすごい事だと思う。だけど、その方法は全人類の強制心変わりというとんでもないものだった。先の団長やルキウスのような、綺麗な人間だけが生きる世界。悪の染み一つ作らせない、世界の洗濯。不可能と思われた優しい世界の創生、その方法を見つけ出したアルトリウス先生を否定出来る者なんていないように思える。だって、先生はその方法が手荒だと分かって尚、信念のために行動しているのだから。


 …………だけど、やっぱり駄目だ。なんて俺はこんなにも先生に賛同したくないんだろう。先生の気持ちが痛い程分かるのに、身体が先生を拒否し続けている。自分の中の矛盾に息苦しくなって、思わず胸を抑えた。深呼吸をして落ち着く。


「――いったい、どうすれば優しい世界が作れるんだ」


 ベッドの上に仰向けになり、異世界の天井を見つめながら、今一度、自分に問いかけた。

 先生の答えは理解した。…………それじゃあ、俺はどうだ。今こそ、俺は俺自身の答えを見つけなければならない。先生の答えに賛同するだけじゃない。俺が自分で考えて出した答えが、今の俺に必要だ。


「…………外の空気でも吸ってみるかぁ」


 考え事をする時は、少し身体を動かした方が頭が回っていいと聞いた事がある。

 ここで寝転がっていても答えが出ないと思った俺は少し支度をして、部屋を開いて家を出た。見上げれば、相変わらず二つの月が天に輝いている。


「…………全く、あれだけは慣れないだろうなぁ」


 今日も呆れるほど眩しく輝いている双子のお月様に苦笑をして、俺は誰もが寝静まった夜の帝都を歩き出した。



 時刻は深夜三時。草木も眠る……のは、地球あっちの話か。

 不夜城と呼んでも差し支えない程の賑わいを見せる帝都も、流石にこの時刻になれば、一部の飲み屋街以外は灯りを消してどこも寝息を立てている。俺はそんな静まった住宅街を通り、足の赴くままに、ゆっくりと練り歩く。


 ――そして、足が止まった。…………【夜明けの星】騎士団本部の前で。ふっ、俺は自分の思っている以上にこの騎士団を心に留めていたらしい。思わず身体が中に入ってしまうくらいには。


 両手でギィ、と入り口の扉を軋ませながら開く。すると、いつも通りの見慣れた景色が目に入る。

 入り口の左手には、現在依頼されているクエスト一覧が確認出来るボードと、クエスト受付の机がある。そこはマヤちゃんのお仕事場であり、レオさんの口説き場でもある。

 入り口の右手には、騎士団本部の食堂スペースがある。女神の厨房から香る料理のにおいは、俺達にとっての幸せの香りだ。スメラギさん、アンジュさんの戦場であり、食堂テーブルの一角ではドクがいつも怪しげな薬を調合していて、アンドレは仕事をさぼっている。

 そして、入り口から真っすぐ行けば、我らが団長がいつも偉そうに座っている仕事机がある。団長があそこに座ってふんぞり返っているからこそ、団員の俺達は安心して毎日を過ごせているんだ。


 今の時間はもう皆帰って、誰もいないこの騎士団本部だけれど、ふと瞼を閉じればいつもの光景がすぐに思い浮かんでくる。愛おしくて、温かくて、大好きだと言える、第二の家族である皆の姿が。


『申し上げた筈。私は全人類・・・を浄化する、と』

「っ――!?」


 その瞬間、再び頭の中でアルトリウス先生の言葉が繰り返された。その寒々しい声音に、俺の見えていたみんなの面影が霞んで消える。


 …………代わりに現れたのは、心根が浄化された皆。

 横柄さの一切が消え去り、笑顔を絶やさずに皆を穏やかにまとめるドレイク団長。

 被虐趣味が消え、外も中も完璧に理想の王子様と化したレオさん。

 金への執念を捨て、あざとさも消え去り、淑女のように大人しくなったマヤちゃん。

 他人の不幸で自分の幸運を感じる悪癖を恥じ、みんなのために日々魔法薬を作り続ける勤勉なドク。

 サボり癖を改善し、日々料理の修行に励むシェフ・アンドレ。


 …………、困った。控えめに言っていい事づくめだ。いよいよ“頭ゴブリン”という看板も下ろす時が来たか。優秀だけど頭がおかしいと言われていた【夜明けの星】が浄化されたら、本当にただの最高最強騎士団が出来上がってしまう。

 ……しまうって何だ。いい事なはずなのに…………どうして俺は嫌がっているんだ……?


『フン! 勘違いするでないぞ! ワシは貴様を助けた訳ではない! あの小憎らしいスターライトのせがれをぶん殴った、その痛快な蛮勇に免じて肩代わりしてやっただけだ!』

『子供から受ける心無い罵倒というものには常々興味がありましてね』


 …………いい、事ではあるんだろうな。間違いなく…………。


『魔性ってなぁに~? マヤ、難しい事分かんな~い♡』

『マッチポンプのような真似をして作る不幸は実につまらん。自身は善行を積み、徳を高め、その時に突発的に起きる他人の不幸を味わう。これが本当の美酒というものだ』

『いやぁ褒めるなよ。俺が総料理長なんだから当然だろぉ?』


 ………………………。あぁ、でも……………………。


「やっぱ……嫌だなぁ……」


 思わず声に出るほどには、そんな未来は嫌だった。綺麗な皆なんて、そんなの【夜明けの星】じゃない……! あの少しクズなみんなの、あのままの姿が俺は大好きだ。……優しい世界を作るためなら、仕方ないのかな…………。そうだとしても、皆が変わってしまうのは、あまりにも嫌だ……!


 優しい世界よりも優先すべき事なんて無いと思っていた。だけど、このありのままの【夜明けの星】を守りたいって気持ちに、深く俺の心が納得している。先生の語る理想よりも遙かに大きく。俺は…………俺が本当に守りたい世界は……!


「…………トーマ」


 騎士団本部に佇んで考えていたその時、再び入り口が開いて声が聞こえた。

 ふり見れば、グラシャにアイリス、そして一郎さんの三人がいた。…………グラシャ、アイリス、気が付いたのか。よかった。


「どうして、ここに…………」

「君の部屋の扉が開く音が聞こえてね。…………もしかしたら、一人、大司教の元へ行ってしまうのではないかと慌てて後をつけさせてもらったよ」

「…………でも、よかった。ここにいて」


 一郎さんとアイリスがふっと柔らかく微笑んで答える。…………心配かけたみたいだな。みんなだってそんなに余裕無いだろうに。これは申し訳無い事をしたな。

 俺はまた、騎士団本部中を見渡すように視線を見やって言った。


「……アルトリウス先生のところへは、行きたくない。それが何でだろうって考えたくて、思わずここに入ったんだ。…………それで、少しだけ分かった。俺は先生の世界にいる【夜明けの星】の皆は見たくない。例え、優しい世界を否定する事になってでも…………」

「十真くん……」

「分かってます一郎さん。それでもまだ、先生の気持ちを否定出来ません。優しい世界は、やっぱりどうしても欲しい」


 この葛藤すらも、きっと一郎さんならもう分かっているはず。その上で、どちらを選ぶかを俺達は迷っている。


 心を捨てて、優しい世界を守るか。

 優しい世界を捨てて、心を守るか。


 果たして、俺はどちらを選ぶべきだ――?





「――――――――嫌だよ」



 静寂が訪れた場に、再びグラシャが声を発した。……嫌?


「……確かに、帝国にはいっぱい悪い人はいるよ? 私も嫌な思いをたくさんした。それで、たぶん、トーマの世界にも、悪い人はいっぱいいる……んだよね? だから、トーマはそんなに悩んでるんだよね?」


 グラシャはそう言いながら、縋るような、訴えかけるような表情で俺の前に歩いてきた。…………その今にも泣きそうな表情を見ると、俺も泣きそうになる。お前が悲しいと俺も悲しいよ。


「私だって、悪い人や優しく無い人はみんないなくなっちゃえばいいのにって思ったわ。でも、でもね……先生の言う事は違うって分かるよ」

「それは、どうして?」

「だって! 先生はトーマたちまで否定してるもの!!」


 もう我慢ならないとばかりにグラシャは声を張った。その姿に俺も衝撃を受けた。――俺を、否定している? 先生が? そんな馬鹿な、だって俺と先生は全く同じなはず――。


「全人類を先生みたいな人にするなんて、それじゃあ、世界からトーマがいなくなっちゃう! 魔法が効かないとか、そう言う事じゃないの! 洗脳なんてそんなの、元々優しい人・・・・・・まで否定しちゃってるじゃない! トーマみたいな人まで、みんな先生と同じになっちゃってるなんて嫌……、私はそんなの絶対に嫌っ!」

「グラシャ――!」

「先生とトーマは違うよ……。だって私を助けてくれたのは、先生じゃなくてトーマだもん。トーマが私のために怒ってくれたの、本当に嬉しかった。嬉しかったんだよぉ、トーマ……!」


 グラシャがこつんと俺の胸に額を当ててきた。俺も腕を開いて抱きしめると、グラシャは肩を震わせてぐすぐすと泣き出してしまう。グラシャ――お前、そんなにも俺を想ってくれて……!


「私が好きなのはトーマなの……! 先生じゃない、トーマがいいの……! だから…………トーマは先生にならないで……お願い……!」


 そう言って、グラシャはわんわん泣き出してしまう。…………俺が先生を否定しなかったのが、本当に怖かったみたいだ。グラシャ……!


「…………私、も」


 そしてアイリスもまた、俺にすがりつくように迫ってきた。


「私の優しい世界も、あなたです……。私たちは、先生に一度意識を書き換えられてしまいました。今思い返せば、本当に、怖かったです……。私の今までの何もかもを、他人に奪われるなんて、嫌です……」


 …………自分が、他人に奪われる……。そう、か。心を操るという事は、その人のすべてを奪うにも同義なのだ。

 アイリスはそれに恐怖し、肩を震わせて、俺の左腕に体重を預けてきた。


「…………ぁ……だよぉ…………! トーマさんが駆けつけて助けてくれた思い出も……この騎士団で居場所を作ってくれた思い出も……私の幸せを、忘れたくない……! もう誰かに取られたくないよぉ……!」


 その恐怖をアイリスは思い出し、俺にしがみついて、助けを願うように泣き出してしまった。……そうだ。グラシャとアイリスは一度洗脳にかかった。我に返ったからこそ、こんなに恐ろしい事はないと言うんだ。………馬鹿だ、俺は。そんなの、怖いに決まってるじゃねぇか…………! なのに、何で俺は先生を否定しなかったんだよ……!


「グラシャ、アイリス――!」


 自分で自分が悔しくなる。責任持って二人を安心させるように優しく抱きしめた。

 心が温かい。この二人の為なら何でも出来る気がする。ここが俺の居場所だと確信できる。そうだ、俺は二人と出会った時、何と思った? ――俺が守護まもらねばならぬと、そう誓ったんじゃないか。

 二人だけじゃない。見ず知らずの俺を受け入れ、仲間と呼び、家族として迎え入れてくれた騎士団の皆が大事じゃない訳が無い。ここにいるだけで、皆に囲まれているだけで、俺はただ安心した。本当に毎日の酒宴が楽しかった。皆がいつも通り元気なら、どんなに悪い人間と出会っても、どんなに厳しいクエストをこなしても、嫌な気分が吹っ飛んで、馬鹿みたいに幸せになって、『明日も頑張ろう』って、そう思えた。訳も分からない異世界で、本当に安心出来た居場所がここだった。そうだろ、俺……!



「――――――嫌だ」



 ――あぁ、そうか。そうだったんだ。



「俺は、この場所を奪われたくない――!」



 ――見つけた。今、やっと分かった。俺の答えが。

 俺は優しい世界を諦めない。だけど洗脳なんて手段にも逃げない。どうすれば優しい世界を作れるかを俺は考え続ける。世界の悪意を戦い続ける。より良い世界を、より優しい世界を求める心を絶やしてはならない。俺だけではなく、これから生まれてくる世代にこの心を伝えていかなければならない。

 優しい世界、それは平和で戦争の無い世界の事じゃない……洗脳で善人ごと悪人を否定し作る理想郷でもない……! 本来人が持つ善なる心によって生まれた、世界の悪意さえも穏やかに癒して心を温める、帰る事の出来る場所……これが、優しい世界……。そう、絆というものだ。それさえあれば、例えどんなに世界が悪意に歪もうと、闇が行く手を遮ろうと、心を輝かせて乗り越えて行ける。そうだ、そう言う事なのである!


 俺の願いの根本的な解決にはなっていない。俺の答えは悪が完全に取り除かれる訳じゃない。だけど、悪を取り除くために、今あるこの優しい世界を捨てたくない! これは兄貴の言っていた“妥協”なのかもしれない。俺の嫌っていたそれなのかもしれない。しかし、でも、アルトリウス先生の言う方法よりは、この妥協の方がずっと納得できる!

 兄貴はもうこの答えを分かっていたんだ。兄貴にとっての優しい世界は、俺達家族の事だったんだ。俺を連れてドライブに行くのがたまらなく嬉しくて、それさえあればどんなに仕事が大変でも頑張れたんだ。…………あぁ、そうか、だからまだ兄貴の優しい世界が見えてなかった俺を兄貴は言ったんだ。『ガキ』だって。それは、まさしくその通りで、とてつもなく悔しい。全く、ここまで二人に言われないと気が付かないなんて、俺はやっぱり王子様なんかじゃない。鈍感でガキな、どうしようもない童帝だ。


「…………グラシャ、アイリス。ありがとう。もう大丈夫だ」

「ひゃっ!」

「……!?」


 俺は抱きしめている二人の頬に軽くキスをして答える。すると、二人はとてもつもなく恥ずかしそうに顔を真っ赤にし、泣いていたのも忘れてひゅんと俺の腕から逃げてしまった。…………ふふ、全く、お前らは何でそんなに可愛いんだ。心の中のスケベ大魔王も思わずニッコリ。


「先生の理想は……やっぱり、否定は出来ない。先生は優しい世界をどうしても作りたかっただけだと思う。その気持ちは、間違っていないと思う。…………でも、やり方がおかしいって、今ははっきり言える。だから、俺は先生を止めに行く。…………俺は、【夜明けの星】を守る。ここが、俺の優しい世界だから!」


 ようやく全身に力がみなぎってきた。心に魂の火が灯り、熱が体中を駆け巡る。これが、優しい世界を得た俺の景色……! 今までの人生の何倍も色が輝いてみえる。勇気が湧き上がって、何でも出来そうだ。


「一郎さん!」

「…………そうだな。見ず知らずの私を受け入れ、生き方を教えてくれた【夜明けの星】は、私にとっても優しい世界に違いない。ここには、私たちの温かな思い出がある。それを勝手に奪われるのは……全く面白くないな。……うむ、こここそが、私たちが尊ぶべき世界だったのだ。…………あぁ、灯台下暗しとはよく言ったものだ。私の望んでいた世界は、こんなにも目の前にあったのだな」


 一郎さんもまた、今のグラシャとアイリスの言葉で自身の答えを見つけ出したようだ。今の一郎さんの表情は、今までで一番最高に逞しく輝いている。人としての魅力が溢れ出ている感じだ。俺もあんな顔になっているんだろうか。


「トーマ……!」

「トーマさん……いいお顔をしています」

「グラシャ、アイリス、心配をかけてごめんな。一緒に行こう、先生を止めに!」


 答えは得た。準備をしてから行こう。アルトリウス先生が待つ、霊峰セクリトに!







 ――そして、次の日。

 俺と一郎さんは団長にお願いして、団員全員を場に集めてもらった。


「父上、これはどんな催しですかな?」

「うむ、トーマとイチローが、『団員たちを集めてほしい』というでな。それも、これが最初で最後の願いとほざきおる。その尋常ならざる気迫にワガハイも興が乗ったという訳よ」


 レオさんと団長が、皆の前に出た俺と一郎さんをじっと見やる。ウチはあまりこういった物々しい感じにならないので、何事かと皆が囁いていた。だけど、聞いて欲しい。何せ、世界の命運を分けるクエストなのだから。


「皆! 今日はいきなり呼びたててすまない! だが、私たちにはどうしても皆に頼みたい事があるのだ! だから少し聞いてほしい!」

「俺と一郎さんは、【夜明けの星】にクエストを依頼します!」


 皆の前で、一郎さんと俺は声を張って伝える。…………これこそは、文字通り一生に一度のお願いだ。もう二度と起きるまい。何せ、俺と一郎さんの全ての決着をつける依頼なのだから。


「ふむ、我が騎士団で最もまともな二人が揃って私たちに依頼とは、ただならぬ事のようだな。これは極上の不幸の香りがする。フフ……」

「え~、何だろぉ~? マヤ、戦うのは苦手なのにぃ~」


 ドクとマヤちゃんは今日も通常運転。いとも通りドクはクズで、マヤちゃんは惚けてあざとく笑っている。マヤちゃんは戦争そこそこ出来るでしょ。何でまだ俺の前で誤魔化してるんですか。いいだろう、その笑顔を引きはがしてやる。今回ばかりはあの本気マヤちゃんさんで取り掛かってもらいたい。


「頼むみんな! 俺と一緒に、世界を救って欲しい!」

「…………ほぇ?」


 マヤちゃんが頭に疑問符を浮かべた。またレア顔を収めてしまった。脳内フォルダにロックかけて保存しておこう。

 …………って、こんな事してる場合じゃない。



 そして俺と一郎さんは、アルトリウス先生と俺達に対する事を全て話した。俺達が日本いせかいから来たことも全て。

 説明も理解も、すごく難しい時間だった。でも、俺達はなんとかお互いに理解し合い、その結果、皆で同じ結論に至った。


「ふざけんなあの大司教! ぶっ殺してやんよ!!」

「洗脳だと!? 馬鹿にすんなや! 俺達ァ頭ゴブリンの【夜明けの星】様だぜ!」


 そのイキリ方はどうなんだ。……まぁとにかく、末端の騎士団員に至るまで、全員が『アルトリウス大司教倒すべし』との結論に至ったのだった。


「ぬおおおおおおお!! ワガハイを支配しようなどとふざけた真似を! 許さん! その魔本と聖杖を取り上げてワガハイのものにしてくれるわ!!」


 グワッと団長がまず一番激怒していた。団長は先生の最初の被害者だしな……アイリス同様、悔しくて仕方ないのだろう。うん、でも、先生の計画を止めるために魔本と聖杖は破壊しなくてはいけない。取り上げなければならないのはあながち間違いでもない。


「洗脳ですか……怖いですね…………私、もうこれ以上働いたら死んじゃうわ……」

「スメラギさんは洗脳されてまず、もっと働かされるって思っちゃうんですね……」


 スメラギさんとアンジュさんがそんなコントみたいな事を言い合っていた。それは絶対に許さん。俺達の女神はこの俺が守護まもるのだから。それはそれとして、あの光のアーチの向こう側から食洗機くらいは持って来れないだろうか……。


「ええい腹立たしい! ワガハイたちの人生はワガハイたちのものである! 大司教如きにとやかく口出されるものではないわ! 行くぞ者共! 霊峰セクリトへ、ふざけた男を叩きのめしに!」

「「おおおおおおおおおおおおおお!!」」


 団長が拳を突き上げて言うと、他の団員たちも皆気炎を上げる。…………これが、世界の答え……! そうだ、この世界の運命は、この世界の人間が決めるのだ。アルトリウス先生にすらもその権利は奪えない! ここからは、信念と信念のぶつかり合いだ!



「――――残念ですわ。トーマくん」



 ――――その時、燃えるような殺気を本部の入り口から感じた。

 皆が出入り口の扉を振り見たその瞬間、爆炎と共に扉が吹き飛び、本部に凄まじい爆風が吹き荒れる!


「うわああああ!!」


 出入り口に最も近くにいたアンドレがその勢いに転がり吹き飛んだ。…………お前その筋肉は飾りなのか。もう救いようがないな。


「アルトリウス様はあなたに期待なされておりました。あなたならばきっと分かってくれるだろう、と。…………しかし、それをあなたはこうも見事に裏切るとは……。人とは、本当に分かり合えないものですね」

「フレイヤさん…………!」


 そして、扉を吹き飛ばしてくれた張本人がいよいよ本部に侵入してくる。…………燃え盛る炎のように赤く癖のある長い髪。手に持つ魔術師のワンド。そして身に纏うドスケベシスター服。確定しました。一番、フレイヤさんです。


「…………トーマなら、こうすると思っていた。アイリス……昨日はごめんね。それから、今日も……ごめん」

「フラム……」


 そして姉に続くように、次女フラムさんも姿を現す。……あなたの最後のあの言葉、忘れていませんよ。貴方はきっと、俺と同じ気持ちなんだと思う。…………でも、先生に助けられたフラムさんであればこそ、先生を止めたくても裏切れない、のかな。だけど、だったら……先生の味方だってなら、尚更止めるべきだった……!


「よう、グラシャ。答えは出せたか?」

「……えぇ。はっきりと」


 そして、三女スカーレットさんも続く。…………あなたのケモ耳をモフれる日は、もしかしたら来ないのかもしれない。手を伸ばせば届く距離にいるのに、立場がそれを阻んでいる。残念だ。とても。


「ふん! 大司教の尖兵か! ワガハイたちを止められると思うな! 道を開けねば、貴様ら諸共張り倒して進んでやるぞ!」

「やってごらんなさい、ドレイク団長。ご存知ですか? 星にも寿命があるらしいですよ?」


 フレイヤさんはあくまで先生の味方、か。でも当然だ。…………人間じゃないような扱いを受けて来た彼女たちを人間にしてあげたのは先生だ。俺がそんな恩を貰ったら、何が合っても先生の味方になる。フレイヤさんたちの気持ちだって、俺は痛い程に分かる。

 それでも、今先生の味方をするのは、全く認められない! 本当に先生を止められるのは俺達じゃない、先生と長く付き合ってきたフレイヤさんたちこそ止めるべきなのだから!


「アルトリウス様は既に霊峰セクリトに向かわれました。そして、私たちは……トーマくん、あなたたちをお迎えするように言われてここに参りました。…………しかし、その必要はないようですね。アルトリウス様の障害となる前に、ここで消させてもらいます」

「聞いて下さいフレイヤさん! フラムさんとスカーレットさんも! あなたたちがここですべきは俺を倒す事じゃない! 理想に囚われすぎて優しさを忘れてしまった先生を救う事です!」

「言い訳不要ッ!! 【ラプス】!」


 説得しようと前に出た俺に、フレイヤさんは問答無用とばかりにワンドから火炎弾を放つ! ほぼ無詠唱で速射なんて!


「ぬぅぅん!」


 不意を突かれて反応が遅れた俺の前に、突如として土の壁が出現! フレイヤさんの火炎弾の盾となり、俺を守って砕け散った! 今の地属性魔法は、団長の……! 俺も怯んでいられない!

 

「先生は優しい世界を作るのに、善も悪も超越したって言ってました……。信念を果たすのに、そんな価値観など必要ないって……! でも、それは違う! 違いますよフレイヤさん! 俺達が大好きになったのは、温かくて優しいアルトリウス先生でしょう! でも今、先生は優しい世界を作るために、先生自身が優しさを忘れて、望みのために邪悪に堕ちようとしている! そんなのおかしいじゃないですか!」

「うるせぇなァ! だったらどうすりゃいいんだよ!」


 砕け散った土煙を払いながら、俺はまだ言葉を続ける。すると、今度はスカーレットさんが怒りとやりきれなさに表情を歪めて俺に吼える。


「アルトリウス様はあたしたちを人間・・にしてくれた人だ! あの人のためならあたしたちは何だってする! 何だってだ! そのアルトリウス様が優しい世界を作りたいって言ってんだ、あたしたちがそれを否定出来るわきゃねぇだろうが!」

「スカーレットが否定しないで誰が否定出来るの!! 先生のやり方に優しさなんてないって、あなただって気づいているでしょう!」


 グラシャも黙っていられず、俺の隣にまで前に出て言い返した。お互いの耳と尻尾がピンと立って、毛が逆立っている。お互い、完全に火が付いている状態だ。


「じゃあ否定してどうするんだ! お前らが優しい世界を作ってくれんのか! アァ!? こんな世界で満足してんのかお前らは! こうしている今もクズ共が理不尽に誰かを泣かせてる! 人が今のままでいる限り、世界から悪は無くならねぇ! あたしは嫌だ! 本当にいい奴が泣いて、それを見て馬鹿共が笑ってる世界なんか!」


 スカーレットさんの心の叫びが俺達の胸を貫いた。……っ、彼女の目元が少し輝いている。スカーレットさん……本当にそこまで……!


「グラシャ、あたしにはもう分かんねぇんだよ……。どうすりゃこの耳と尻尾を恨まずに生きられる? いつになったらあたしたちは普通・・に生きられるんだ……?」

「スカーレット……駄目っ、駄目よ! 考える事を諦めないで!」

魔獣変化こんなの、あたしは一度だって欲しいなんて思った事無い……。それなのに、魔獣変化これのせいで世界はあたしを差別し続ける……! もう嫌だ……! こんな世界なんて…………ぶっ壊れちまえばいいんだよ!! GARUAAAAAA!!」


 スカーレットさんが泣きながら、獣のような雄叫びをあげてグラシャに突っ込んできた! 彼女の空気を感じ取ったフラムさんもまた、スカーレットさんと同時に俺に突っ込んで来る!


「そうは!」

「させないな!」


 だが次の瞬間、スカーレットさんにレオさんが、フラムさんにマヤちゃんが立ちふさがり、俺達を守るように攻撃を受け止めてくれた! 二人とも!


「自分で自分を愛せないとしても、君を愛してくれた誰かがいたはずだ。そして、それは君も愛するあの大司教だ。その彼が、今まさに、君が嫌う馬鹿になろうとしている。それなのに、どうして君はここにいる!」

「加護持ち、レオンハルト=フォン=タイラント! 世界から愛されてるテメェになんざに分かるかよ! あたしの気持ちが!!」


 スカーレットはその身体能力を生かした格闘でレオさんに攻撃を仕掛ける! あぁ、駄目だ、もう止まらない。スカーレットたちの心に、もう言葉は届かない…………!


「そうか……。君の胸の内にある怒り、それはもう君自身すらもう止められないのだね……!」

「レオさん!」

「グラシャくん! 先にセクリトに行くがいい! 私も後で向かう! …………ていうより、こんな凄まじい暴力女、誰にも渡したくない! いい、とてもいいッ♡ 好意を抱くよッ♡ シスターに虐められるなんて、何という新境地か!」


 …………そしてレオさんは本部の中で、スカーレットさんと凄まじい白兵戦闘を繰り広げ始めた。スカーレットさんの拳が唸り、レオさんの刺突剣レイピアが躍る。……おい、もう少し正体隠せや。今すごい真剣な場面だっただろうが。


「フラム、お願い、止めて……! 一緒に行こう……? 先生を止めに……!」

「…………ごめんねアイリス。スカーレットが言ったでしょ。フラムたちは、アルトリウス様を、裏切る事は、出来ない……!」


 フラムさんもまた、その双剣でマヤちゃんと切り結んで攻撃を止めない。でも、フラムさんは他の二人に比べてとても辛そうな表情をしている。アイリスの声音すら、必死に受け入れないように我慢しているみたいにも思える。


「アイリスちゃん、先に行きな? この子はマヤがシメとくから♪」

「マヤさん……」

「心配しなくても大丈夫☆ この子、アイリスちゃんのお友達なんでしょ? てきとーに手加減しておくからね♡」

「…………っ、なめないで……!」

 

 余裕たっぷりで言うマヤちゃんに少しイラついた様子のフラムさんは、双剣を鮮やかに振り回し、掻き切り裂くように斬撃を放つ!


「やーん、怖~い☆」

「なっ! くっ!」


 しかしマヤちゃんも、普段は投擲する短剣を両手に、攻撃を自然にいなし、更にはフラムさんに一撃蹴りのカウンターまで食らわした! ……先に冷静さを失って攻撃をしかけたフラムさんの負けだ。マヤちゃんに一度主導権を取られて敵う筈も無い。


「……あのさぁ、恩人のために何でもするんでしょ? ならさ、その人が間違ってるって思ったら、止めてあげんのが筋ってもんでしょ。あんた何やってんの? 何でもやってないじゃん。それでトーマくんに仕事押しつけてるんだ?」

「っ…………、……私、は……!」

「マジ、ナメんのも大概にしろよ♪ つか洗脳って何様のつもりだよ♡ マヤねぇ、人を操るのは大好きだけど、人に言いようにされるのは大嫌いなんだよね☆ でもね、それ以上に………………マヤの大事な仲間に勝手に手ェ出されんのが、一番許せない。――かかって来いヘタレ。気合入れてやる」

「この人……強い……!」


 …………あぁ、強いよフラムさん。マヤちゃんはこの騎士団で一番頼りになる人だからな!

 マヤちゃんは一瞬俺に視線を向けて、一つウインクをしてくれた。『先に行け』って事か、了解、ありがとうマヤちゃん!


「一郎さん! 俺達は先に!」

「うむ! 皆、すまない!」


 俺と一郎さん、そしてグラシャ、アイリスは三姉妹を無視し、そのまま出口に走る。皆の気持ち、無駄には出来ない! 俺達はアルトリウス先生の元へ急ぐのだ!


「行かせはしませんわ!」


 フレイヤさんが俺達にワンドを向ける。

 だがその時、フレイヤさんに一つの小瓶が投げられた。――あれは、もしかして!


「頭上注意だ、お嬢さん」

「なにを――!? ひゃあ!?」


 小瓶はフレイヤさんの頭上でけたたましく音を立てて炸裂した! やっぱりエリクサー集めの時にドクが使っていた炸裂魔法薬だ!


「失礼、薬が手から滑ってしまってね」

「サンキュードク!」


 フォーエバードク! フレイヤさんが吹っ飛ばされてダウンしている隙をついて、俺達は本部の外に出た!


「待ちなさい! アルトリウス様の邪魔は――!」

「皆の者! かかれぃ!」

「了解ィ! うおお! こっちだってトーマの邪魔はさせねぇぜ!」

「俺達ァ【夜明けの星】騎士団! 頭は悪いが仕事は完璧が俺達の流儀! イチローとトーマの依頼ってなら、受けねぇ訳にはいかねぇぜ!」

「俺達が食い止めてみせる! だからイチローたちは行け!」


 団長の指示で、他の皆がフレイヤさんに一斉に突撃をかける! 皆…………! ありがとう…………!


「邪魔をするなッ! 【ジラプス】!」

「ぐわああああああ!!」

 

 フレイヤさんが向かってくる団員の皆を大きな火炎弾でふきとばす! みんな! ……いいや、あれくらいの攻撃なら大丈夫だ! 皆いつもアンドレのマズ飯で身体だけは鍛えられてるからな!


「なっ! なんで平然としていられるの!?」

「ヒャアアア! ドスケベシスターめ! 今にも泣きそうな顔してるぜ!」

「なんて面してやがる! こいつは放っておけねぇ! スメラギさんの温かいご飯食わせてやれ!」

「団長の高級レモサーも用意してやれ! アンドレには出しゃばらせるな!」

「温かいベッドも用意しろ! 満腹になったらゆっくり寝かせて、張り詰めた表情をほぐしてやるぜぇ!」

「馬鹿野郎! アンジュさんの甘いデザートも忘れんな!」

「いやああああ! 近寄らないで下さいまし! 【ラプス】! 【ジラプス】!」


 …………うん、大丈夫だろう。多分。


 俺達四人はその一大戦闘場となった本部を後にして、外に止めておいた馬車に乗り込む。御者は一郎さん、そして馬車を引いてくれるのは勿論ズイカクだ。久しぶりだな!


「ズイカク、超特急で頼む!」

「ブルル!」


 ズイカクはけたたましく嘶いて、俺の顔を舐めて挨拶した。…………だから臭いってお前。


「よし乗り込めトーマくん! 行くぞ!」


 一郎さんがズイカクに鞭を打ち、俺達は出発した。――――いざ、この世界を守るために!



 ――――クエスト発動。

 アルトリウス大司教を倒し、優しい世界を守り抜け!











 霊峰セクリト。

 アスラ教の中で、かつて神が降臨し、天地を作り上げたとされる始まりの山。…………その真偽はともかく、その霊峰は事実、大地の魔力が集まるスポットであった。


「我が構築せし究極の魔法、二つの尋常ならざる魔道具、そして――この霊峰に眠る大地の魔力。三つを束ね、ここに優しい世界の創造を始める――!」


 アルトリウスはその霊峰の頂上にたどり着いた。霊峰の魔力を用い、この世界の全人類および地球の全人類に向けて、自身の洗脳魔法を行きわたらせる。この儀式が完了した瞬間に、彼の望む優しい世界が創生されるのだ。


 故にアルトリウスは天地創造の地を、奇しくも神と同じ霊峰セクリトに選んだ。アルトリウスはこれを運命と感じ歓喜した。そうして今、二度目の世界創生が行われようとし――――――



「ふむ…………あの小僧につけられた傷もようやく癒えてきたというものか。ククク……偶然にもかような魔力の集まる大地を見つけられた事、まさに運命よな! 聞こえる。聞こえるぞ大地ガイアよ! もっと『我に輝け』と囁いている声が! フフ…………フハハハハハ!!」

「―――――――――――――――。」


 …………アルトリウスが到着した霊峰の頂上には、何と先客がいた。

 青白い肌を持ち、耳は長く、貴族のような恰好をし、背中には悪魔の翼が映えている。――この世界で、吸血鬼と呼ばれている魔物のそれであった。

 アルトリウスは一瞬呆気に取られたものの、次の瞬間には『下らん障害物』と認識した。そして吸血鬼の方も、近づいてくるアルトリウスに気が付き、ばっと身構える。…………十真が『いつもの厨二ムーヴ』と称するポーズをして。


「誰かと思えば、アスラ教の人間か。その小奇麗な身なり、ただの神父ではないか。まぁ貴様が誰であろうとよい。クク、運が悪かったな貴様。今の我は喉が乾いておる。貴様の血を以て潤してくれよう」

「…………魔物。この世界の歴史を見るに、人同士が争う戦争は驚くほどに少ない。それは貴様たちが仮にも絶対悪となり、結果的に人々を団結させているからであろうな。…………しかし、悪は悪。人を何ともなしに害し、殺し、命を奪う貴様たちは、我が世界に必要ない」

「……何だ、貴様。生意気であるな。我と貴様の違いが分からぬと見える。よかろう、ならば身体で分からせてくれよう!」


 吸血鬼が牙を向き、爪を立て、翼を広げてアルトリウスに襲い掛かる! その一撃は、並の魔物よりも遙かに早く、一撃も重い!

 しかし、アルトリウスは全く動じずに、呆れたように肩を落とし、一つ杖で大地を突いた。


「…………、格が違いすぎて貴様には理解出来ぬようだ。消えるがいい」

「っ!?」


 その瞬間、どんよりと曇った空から、突如として白い稲妻が吸血鬼に降りかかる! 降りかかる雷撃に気が付いた吸血鬼は、ほんの一瞬早く翼を動かし、雷撃の直撃を免れた!


「ッぬおおおおおおお!?」


 ――がしかし、雷撃の余波だけで吸血鬼は全身を焼かれ、衝撃に吹き飛び地面をきりもみ回転しながら転がった!


「な――なん、だと……!?」

「…………俺の属性は雷と光。その名も【神聖魔法】。魔物に対する攻撃力ならば、俺に比肩する者は誰もいない。次は避けるな。一瞬で消し飛ばしてやる」

「くぅっ……! ふざけるな貴様……! 我はハルゲルト=ハーゲン三世! 高貴なる闇の住人にして、常闇の支配者支配者! そう何度も人間にやられてたまるものか! 出でよ眷属たちよ!」


 体制を整え直した吸血鬼――ハルゲルトは、大地に魔力を送る。すると、アルトリウスを囲むように大量の骸骨兵とゴーストが地面より湧き出してきた!


「何……?」


 吸血鬼にしては芸のある行動にアルトリウスも少し驚く。対照的にハルゲルトは落ち着きを取り戻し、再び機嫌よさそうにクク、と笑みを浮かべた。


「さて、始めようか人間。貴様の光と我の闇、どちらが上かな?」

「…………小賢しい真似を」


 ハルゲルトの手に闇の魔弾が現れ、アルトリウスの杖に白き雷撃が弾ける。

 十真たちの進む先、そこでほんの少し早い前哨戦が始まった――! 

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