第17話 うけつけじょうのおしごと!

 ダリオ=フォン=スターライト。

 アイリスの叔父にあたる貴族公爵。帝国では財務大臣の任についている男。性格は粗暴かつ狡猾。愚かしいほどに自分勝手な振舞いをする一方、他人に隙をみせない小狡さも持ち合わせたやっかいな男。好物は金と肉と若い女の子。このひどい性格が災いして、兄である【ノブレス・オブリージュ】騎士団長ヴィンセントとは犬猿の仲になっている。それが、今回の俺達の敵。


「孤児院を守るためには、ダリオが権力を振りかざして勝手出来ないほどの地位にまで失墜させるしかないね。つまり、ダリオを失脚させる事が私とトーマくんがやるべき事だよ」


 そう言ってマヤちゃんは計画を練った。グラシャとアイリスはしばらく孤児院につき、子供たちの護衛をしてもらう事になっている。またヤクザが来ても困るからね。


「財務大臣の失脚って……粗探しでもするんですか?」

「その通り☆ 公爵様となれば、探られて痛い腹の二つや三つあると思うんだぁ。そこを私たちが抉って殺す♪」


 マヤちゃんはいい笑顔をして、親指で首をかっ斬るジェスチャーをした。……なるほど、任務了解だ。ダリオ公爵、お前を殺す。マヤちゃんを敵にしたんだ、ただではすまないと思ってもらおう。そのくたばり様、死ぬほど痛いぞ。

 それに、この手の仕事は現代人の得意分野だぞ。レスバトルに粗探し、いちゃもん付けにアンチ活動。電子の上で醜い争いが耐えず繰り広げられている世界で生きて来たのが俺だ。まぁ俺は掲示板に書き込みもTwitterもした事ないけれど。

 だが勝手は知っている。相手のTwitterにFF外から失礼してレスバをしかけ、ブラックコーヒー見せつけて凍結まで追い込めばいいって事だろう? そして鍵つけられる前にツイートは魚拓しといて晒すべきところに晒すのだ。タイムリミットは立ち退きまでの一か月。異世界悪徳貴族か現代イキリキッズか、勝ち残るのはただ一人。…………うわぁ、ほんと醜い争いだなぁ。ごめんなルリちゃん、俺みたいなのしか味方いなくて。では始めようか。対局よろしくお願いします。







「本日付けでお屋敷の使用人となります。ヤマと申します。どうぞ、よろしくお願いします」

「コジロウです。よろしくお願いします」


 そういう事で、任務開始だ。俺とマヤちゃんは今、そのダリオの屋敷に使用人として雇われていた。マヤちゃんは麗しの新人メイド『ヤマ』として、俺は無冠の剣客執事『コジロウ』として、この敵本拠地に足を踏み入れた。髪の色を変えたり、お化粧したりして、本当に別人のように変装している。俺はともかく、マヤちゃんは【夜明けの星】の看板娘として少し有名だからね。


「ぐはは、ヤマか。良き名だ。それに、美しい顔立ちをしておる」


 俺達が挨拶したダリオ公爵はメイド姿のマヤちゃんを気に入ったようで、じっとりと舐め回すように見つめる。…………俺、ちょっとむかむか。別にマヤちゃんは誰のものでもないけれど、少なくともダリオなんぞに渡せるほど安い女じゃない。そんなマヤちゃんが良いようにされているのがむかつく。

 くっ、落ち着け俺。ここでの俺は『無口で便利な護衛剣客コジロウ』だ。『期待の新人ヤマ』とは一切の関係が無い男だ。そう、今の俺は何をされようと心動かされる事は無いドライアイスの剣。わが心は明鏡止水、無念無想の境地なり……。


「ふっふっふ……なかなかよい女ではないか。胸が小さいのが少々残念だがな」


 よぉしブッ殺す! ダリオが下賤な笑みを浮かべながらマヤちゃんの腕や肩にするりと指を這わせているのを見て、俺は内心キレた。マヤちゃんにはお触り禁止だってのが【夜明けの星】暗黙のルールなのにダリオお前なにしてくれんじゃ! なんて羨まし……じゃない、なんて不埒なやつだ! この変態! ド変態!! 変態大人たーれんっ!!! 噂に違わぬスケベ大魔王みたいだな! だが彼女の胸については同意でござる。グラシャのふかふかがもう恋しい……。またケモ耳が正義である事が証明されてしまった……。


「っ……、か、閣下、お許しください……」


 ……このようなセクハラを受けているマヤちゃんだが、何とびっくりな事に、まるで初心な町娘のように恥じらい、むしろ本当に照れているような表情でダリオに応えていた。……うわぁ、なんて自然な演技なんだ。だが騙されてはいけない。彼女の瞳が全く笑ってない事に俺は気が付いている。……ダリオの実に美しい死亡フラグの積み重ねに、俺は戦慄を隠しきれないのだった。


 さて挨拶も終わり、かくしてダリオ邸の使用人になった俺達だが……。あいつの探られたくないヒミツを見つけるにはどうすればいいのだろうか。


「マヤちゃん、まず何から始めましょうか」

「そりゃ決まってるよぉ。まず私はダリオたちのお気に入りの女になるね」

「……さっきの演技も、そのために?」

「そそ♪ ここにいるメイドさんたちってさぁ、みーんな素朴で大人しめな子が多いでしょぉ?」


 マヤちゃんに言われ、ふと考える。……確かに、雰囲気的にはスメラギさんに似ているような、真面目でちょっと若い人が多いかと思われた。そしてその全員の表情が死んでいる。言わずもがな、セクハラパワハラの被害者になっているのだろう。マヤちゃんも心配だ。


「メイドさんたちは、あのクズ公爵の趣味なんだろうねぇ。女の子は大好きだけど、は大嫌いって感じかなー。器の小さい男は嫌だねぇ」

「……だから、マヤちゃんもあえて初心な女の子っぽく振る舞った?」

「んふふ、マヤは察しのいい人すきだよぉ♪」


 それはどうも。……あれか、ダリオは亭主関白気質ってやつか。だがそれは男の方に十分な魅力があって初めてかっこいいと思える男女のカタチだ。ダリオには百年早いな。


「ダリオのお気に入りなんかになって、本当に大丈夫ですか?」

「んふふ、心配してくれてるんだ? それとも嫉妬かなぁ?」

「どっちもです。マヤちゃんは【夜明けの星】の大切な仲間なんですから、こんなところで傷ついて欲しくありません」


 俺を茶化してる場合ですか。孤児院を救うのは使命だが、だからってマヤちゃんが犠牲になるのもそれは違う。そんな事を許したらルリちゃんに顔向け出来ない。ついでにレオさんが泣いて悲しむ。それはあまり心が痛まない。

 俺が真剣な表情で答えると、マヤちゃんは少しきょとん、とした顔になった。しかしすぐに何か納得したような表情で頷く。


「……こういうところかぁ。グラシャちゃんとアイリスちゃんがやられちゃったのは」

「何の話ですか……」

「んーん。何でも。心配してくれてありがとね。けど、任せてちょうだい☆ いざとなればとっておきもあるし!」

「とっておき、ですか?」

「うん♪ ドクからもらった、超強力睡眠魔法薬! ちょっと嗅がせるだけで前後の記憶を消し飛ばすぐらいの眠気をプレゼントするマジでヤバイ方のお薬♡」


 マヤちゃんは懐から怪しげな小瓶を取り出して笑顔でそう言ってくれた。……記憶失うぐらいヤバイ薬って、それもう犯罪なんじゃないか? ドク、お前はお前でえぐいもの作り出すな……。


「と、いう訳で、マヤはダリオの女になって情報探るね。その間に、トーマくんはここの女の子たちから情報を聞き出してみてくれるかな?」

「了解! ………………って、えっ? 今何と?」

「メイドさんとか口説いて、ダリオの黒い噂聞き出してね♡ 大丈夫大丈夫、トーマくんなら出来るって☆ じゃあ、頑張ろうね!」


 何が大丈夫なんだ!?

 困惑する俺に投げキッスを一つくれてから、マヤちゃんは行動を始めてどこかへ行ってしまった。え、えぇ……マジか……。童帝にはハードル高いミッションだなぁ。……うぅ、何とか頑張るZOY。







 ――――二週間後。


 ダリオ邸の使用人の仕事はそう複雑なものじゃない。

 男性執事は邸宅の警備、ダリオの一人娘の護衛、そしてご機嫌取りの三つ。女性メイドは邸宅の管理とダリオ本人の護衛、そしてご機嫌取りの三つだ。ご機嫌取りが成功した人はお給料と邸宅内のカーストレベルがアップ。お気に入りの称号を手に入れればもうハイパームテキモード突入である。そう、ダリオを取ればマヤちゃんの勝ちだ。まるで将棋だな。ただし、お気に入りとはあのダリオに心身共に明け渡す事を言う。アッハイ、流石に俺は結構です。マヤちゃんも明け渡すのは形だけです。


「閣下、グラスが空いておりますわ」

「おぉヤマ、気が利くではないか。ほら、お前も飲め」

「まぁ、光栄ですわ閣下」


 ………………まぁ、それでも敏腕新人メイド秘書ヤマはいとも容易くお気に入りになっている訳であるが。

 二週間後の今日。ヤマさんはかつてのダリオのお気に入りメイドを全員その地位から引きずり下ろし、何たらといちゃもんつけてダリオの不興を買わせ、屋敷から追い出してしまった。俺の知らないところで、女同士の激闘があったに違いない。その全てにヤマさんは勝利したのだ……恐ろしい子……!

 

 そうして唯一のお気に入り女と化したヤマさんは、ダリオの晩酌に毎晩のように付き合い、傍から見れば本当に愛人にしか見えないほどの関係になっていた。……ちなみに、ダリオの奥さんは貴族令嬢特有の白ダイコンな身体の人だった。とてもダリオの好みだとは思えない感じの……うん、ノーコメントで。何だこのドロドロした世界は。やはり俺の異世界生活は間違っている……。


「あの、コジロウくん……」


 そう、悲しみをこらえながら夜のお屋敷の警備をしていると、後ろから一人のメイドさんに声をかけられた。名前はアンジュ。ダリオのお気に入りではないが、かと言って不興も買っていない、普通のメイドさん。年齢は十八歳。あと二年でダリオに年増認定されて屋敷から追い出されてしまうのだとか。…………ほんとどうしようもないな、ここのご主人様。ちょっとグーパンチで殴っていいかな? 鳩尾ワンパンでも可。閑話休題。


「アンジュ殿。如何なされましたか?」

「……その、お礼をしたくて。この前は、助けてくれてありがとう」


 そう言って、アンジュさんはぺこりと頭を垂れた。

 ……彼女は以前、男使用人からのセクハラ被害に遭っていた。そこを通りかかった俺が何とか彼女を助けたのだ。きっとその事を言っているんだろう。


「気にしないでもいいでござるよ。これからも、変な真似をされたら拙者を呼んでくれればすぐに駆け付けるでござる」

「ふふ……本当にコジロウくんは優しいね。他のメイドの子も言ってたよ。『コジロウくんにとっても親切にしてもらった』って、すごく嬉しそうだった」


 アンジュさんは儚く微笑みながら、自分の事のように嬉しそうに俺に教えてくれた。……そう言われると、このコジロウもこそばゆいでござる。後ろ首ポリポリ。


「拙者は当然の事をしたまででござるよ……。しかし、ここはあまりにひどい。ダリオ殿も、アンジュ殿たちを物のように扱い、男の使用人たちも皆ダリオの言いなり……腐ってるでござるよ……」

「………………私たちは皆、身よりのない人間。ここを追い出されたら行く宛てなんかないの。だから、こんな場所でも、私たちの家なのよ……」


 そう言うアンジュさんは、本当に悲しみの籠った表情で言う。……違う、それは、そんなものは家なんて呼ばない……呼んではいけない……!


「家っていうのは、もっと温かくて安心出来る居場所の事だ……。こんな鳥籠みたいなところじゃない……!」


 自分で言ってて腹立たしくなってきた。ここで働いている人たちはまるで奴隷だ。メイドさんたちは皆生きるために、こんな生きた心地のしない家で毎日を過ごしているんだ。そんなの、駄目だ。認められない。


「ありがとう、コジロウくん。あなたは本当に良い人だわ。………………だから、ここにいてはいけないわ。あなたも色々あってここに来たのだと思う。だけど、ここにだけはいちゃいけない。あなたにはもっと相応しい場所があるはずよ」


 アンジュさんはそう言って、真剣な表情で俺を見やる。そして、俺の手を取って引っ張ろうとした。


「今なら、旦那様に見つからずに逃げられるはず。さぁ、早く!」

「ま、待たれよアンジュ殿! 拙者は夜逃げなどせぬ! ましてや、一人で背を向ける事なんて出来ぬ!」


 駄目だ、それは認められない。俺にはやるべき事がある。それに、アンジュさんたちを放っておく事なんか出来ない。ルリちゃんたちの孤児院を守る。そして、アンジュさんたちをこの牢獄から解放する。俺はそのどちらも諦めない。


「私だって出来ない! 私、あなたにこんなところにいて欲しくないの……! コジロウくんは、優しい人だから……!」


 俺が抗うと、アンジュさんは泣きそうな顔で、懇願するように答えた。……悲しそうで、儚くて、でも本当に良い人感がにじみ出ている顔だった。…………似ている。そう、彼女の雰囲気は俺の女神によく似ていた。あぁ、これは放っておけない。


「…………泣かないで、アンジュさん」


 俺は涙をこらえる彼女を優しく抱きしめて慰める。俺の中の庇護欲があふれ出し、彼女を温かく包んであげたくなった。


「約束します。絶対にあなたを助けてみせます。俺がここを出る時は、あなたも一緒です。だから、泣かないでください。あなた自身の幸せを諦めないでください。…………ね? 少しだけでいいですから、俺を信じてみてくれませんか?」

「コジロウ…………くん…………!」


 アンジュさんは俺を抱きしめ返して、声をおさえて静かに泣いてしまった。…………きっと今までに辛い事はいっぱいあったはずだ。でも、泣けなかったんだろう。もう大丈夫だ、そんな悲しみは今ここで断ち切る。必ずやアンジュさんも助けてみせる。幸せにしてみせる。この鳥籠の中の女神は俺が保護たすけねばならぬ。そう言う事なのである。アンジュさんのような隠れ巨乳な美人はダリオにはもったいない。是非とも【夜明けの星】に誘わねばならぬ。重ねてそう言う事なのである。


「………………わたし、今、初めて生きていてよかったって思ってる……! 神様はきっといるんだわ……。悪い事しないでよかったぁ…………真面目に生きていて、本当によかったよぉ…………!」


 いい、実にいい温かさだ。実に良きおっぱいだ。これには俺の中の童帝も大魔王もご満悦である。………………ん? 今、なんて言ったアンジュさん。


「悪い事……って、何ですか?」

「うん……。えっと、私がここに来た頃……だからもう何年も前になるかなぁ。その頃から、旦那様は色々してて……。その、今は賭博場建設のための資金を集めるために、脱税して貯金してるって話が……。あっ、でもこの話内緒だからね? 旦那様にバレたら口封じのためにどんな事されるか分からないから……」


 ………………アンジュさんはそんな、凄まじい事を俺に話してくれた。えっと、それって、どう考えても探られたら痛いお腹じゃないですかね? マヤちゃんに報告だぁ。







「脱税かぁ。うんうん! 貴族が私腹を肥やす時の常套手段だね♡ よく出来ましたトーマくん! ナデナデしてあげる!」


 後日、マヤちゃんの定時連絡で顔を合わせた時に俺が脱税の件を話すと、彼女はとっても喜んで褒めてくれた。……膝をちょっと折って頭を出すとマヤちゃんはなでなでしてくれた。モルスァ。


「マヤはダリオのお気に入り女を蹴落とすのに忙しくて何も出来なかったからねぇ。でももう大丈夫、ここからはマヤが頑張っちゃうからね!」

「いや、今までも十分頑張ってますよ……」


 ドン引きにするぐらいには頑張ってるよ。マヤちゃんのせいでいったい何人のメイドさんが辞めたと思ってるんだ。……でも、そういうお気に入りの人間って、きっと脱税にも手を貸していた人間なんだろうな。なら自業自得か。


「さてマヤちゃん、次はどうしましょうか」

「んー、脱税したってなら、その証拠が必要だよねぇ。そのお金と帳簿がどこかにあるはずだから……それを探そうか」


 なるほど、脱税を証明する金貨やら帳簿やらを抑えて憲兵さんにでも渡せばチェックメイトって訳ですね。しかし、そんな重要な帳簿がそう簡単に手に入るだろうか。


「あっ、今『そう簡単に上手くいくか』って思ったでしょお? 失礼しちゃうんだから。言ったでしょぉ? ここから先はマヤに任せてちょうだいって!」

「………………まさか、マヤちゃんもう考えがついたんですか?」


 あまりにも得意気に言うので確認してみると、マヤちゃんはウインクを一つ返してきた。…………ふっ、やっぱりこの人すごいわ。頭の中どうなってんだ。


 そして、俺はダリオに王手をかける計画を聞いた。…………では、これよりダリオの華麗なる転落人生を描くとしようか。





 そしてまた来たる夜。


「ぐへへへ…………ヤマよ……今日こそはァお主を抱いてやろうぞ……」

「閣下……どうかお許しを……私、まだ殿方とお付き合いした事なんて……」

「なんとそうであるか。んっふっふっふぅ…………これは楽しみであるのぉ…………」


 ダリオの私室で晩酌をし、泥酔したダリオはヤマさんに連れられ、その寝室に消えて行った。…………さて、普通であればここからR18めいた一枚絵コンプタイム突入となるのだが、まぁ、相手が悪かったな。


「閣下、こちらを……精力にいいと聞く魔法薬ですわ」

「なんと、そのようなものを…………淫乱め……」


 …………そんな、ドキッとするような話し声が寝室から聞こえる。が、次の瞬間。


「ふが…………急に眠気が…………」

「ちょろすぎだろマヌケ♡」


 そんな声がして、がたん、と誰かがベッドに倒れた音がした。…………魔法薬とは、ドクからもらったアレに違いない。ふっ、相手が悪かったなダリオ。しばらく昏睡しててどうぞ。


「トーマくん、いいよ」


 そしてマヤちゃんの声が聞こえたので、俺も寝室に入る。……予想通り、床にダリオがまるで死体のように寝転がっていた。高校生探偵がいたら死んでいたな。じっちゃんの名に賭けてもいい。


「さて、ゆっくり帳簿を探そうか。一晩も時間があるんだし♡」

「マヤちゃん、ほんと魔性の女ですよね」

「魔性ってなぁに~? マヤ、難しい事分かんな~い♡」


 はいはいマヤちゃん世界一可愛いよ。さて、と言ってもどこにあるんだろうか。


「んー、マヤ的にはねぇ、ダリオの服の中とか怪しいかなーって。トーマくん、そいつの身ぐるみ脱がしてみてよ♪ マヤは机周り調べてみるから」

「えっ……」


 …………脱がす? 俺が? この性悪親父を? ……………………はぁ、気が重いけど、仕方ない。


「それでは失礼して」


 俺はうんざり気味にため息一つして、寝転がるダリオを転がして身ぐるみをはぎ取り始めた。…………どうして異世界に来てまでおっさんの服脱がせないといけないんだ。しかも高級家具ひしめくムーディな寝室で。違うだろ……ここはもっと、可愛いヒロインと嬉し恥ずかしなラブコメ波動感じるお色気シーンであるべきだろ……。何が悲しくて酒臭い中年の服脱がせなきゃいけないんだ。やはり俺の異世界生活は間違っている。泣きそうだ。


 …………しかし、確かにダリオはなかなか厚着する性格のようで、かなり脱がすのに苦労する。…………と、そこでダリオの懐に何か入っている事に気が付いた。


「…………カギだ」


 取り出してみると、俺の指に鍵束が引っかかっていた。こいつは、もしかするか?


「マヤちゃん!」

「ほらね、マヤの言った通りでしょぉ?」


 ダリオを投げ捨て、俺は鍵をマヤちゃんに渡した。

 そして彼女が、ダリオの机の引き出しにその鍵の一つを差し込む。すると、かしゃりと音をたてて引き出しが開いた。中には…………、何か、黒いカバーの手帳がある。


「はいビンゴ♡ 脱税に関する帳簿だよぉ♡」


 マヤちゃんが手帳を検めると、実にいい笑顔で俺にそう言った。…………なるほど、自身の弱点となるものは肌身離さず持っている性質か、ダリオは。あんなポケットの深いところにしまわれたら、お気に入りのメイドになっても手を出せないものな。


 そして鍵束には、引き出しの鍵の他にもう一つ別の鍵がぶら下がっている。マヤちゃんは部屋にある小型金庫にその鍵を差し込む。すると、またカチッと音がしてロックが解除された。そして金庫を開くと…………。


「あぁん、絶景♡」

「これが脱税で貯めた、賭博場の建設費……!」


 もちろん、金庫の中には眩く輝く金貨が大量に敷き詰められていた。これには俺もマヤちゃんもときめきを隠せない。1000万C以上は軽くありそうだ。正直、欲しい……! 俺には金が必要なんだ……! だけど、これは脱税でそろえた汚いお金だ。手を出す訳にはいかない。


「さて、こうして証拠を手に入れた事だし、仕上げと行こうか! トーマくん、頼んだよ!」

「えぇ、任せて下さい!」


 証拠は揃った。さぁダリオ、お前の罪を数えろ。権力で子供たちの未来を脅かし、心無い言動でアンジュさんたちを閉じ込め続けたお前に相応しい末路を用意してやる。







「…………と、言う事だルキウス男爵。いい話だと思うんだが」

「き、貴様……! 下民の分際で、私と交渉しようというか……!」


 翌日。

 俺はダリオの邸宅を抜け出し、普通に学園に向かった。そしてアイリスにルキウスを呼び出してもらうと、俺はルキウスと二人きりで、空き教室で密会を行った。


 …………脱税の証明となる帳簿と、そのお金の在りかを示す鍵。それら証拠を手に入れた以上、俺とマヤちゃんの勝利はもう確定している。その証拠を憲兵さんに提出すればそれで勝ちだ。

 だが、ただの勝ちで終わらせないのがマヤちゃんさん。勝利Aよりも完全勝利Sを選ぶ。それがマヤちゃんクオリティ。確かに憲兵さんに証拠を提出するだけでダリオは没落し、孤児院は守られる。……が、それでは俺達に報酬が残らない。ルリちゃんの笑顔が報酬? 確かにな! だがそれはそれとして黄金色の素敵なものが欲しいよなぁ!?


 そこでマヤちゃんが目をつけたのが、スターライトという名前。

 ダリオは兄であるヴィンセント騎士団長と仲が悪いともっぱらの噂。隙あらばお互いに取り潰してやろういうくらいには険悪らしい。そこで、マヤちゃんは思いついた。『ヴィンセントにダリオを潰させてやろう』と。この証拠をヴィンセント――つまりは、その息子であるルキウスに高値で売り付け、悪徳貴族を成敗した名誉を譲ってやろうと画策した。


 この世界の貴族とは、お金よりも実績と名誉を求める生き物だ。『悪道に落ちた身内の不正を暴き、正義の名の元に切り捨てる騎士団長』……うむ、実に美しいシナリオじゃないか。舞台化決定。セバスチャンさんも涙不可避の名作に満員御礼間違いなし。そのきっかけを持ってきたルキウスの地位も上がるというものだ。ルキウスにとって、この手帳は喉から手がでるほど欲しいものに違いない。


 俺が今回の事の顛末を軽く話すと、ルキウスはお魚さんのように食い付いてきた。ふっふっふ、以前とは立場が逆だなぁ? どうした? 笑えよベジータ。



「これがその証拠だ。言っておくが本物だぞ?」

「っ!」


 俺が手帳を開いて見せると、ルキウスはひったくるようにそれを奪おうとしてきた。おっと、そうはいかない。


「おいおいルキウス。手癖が悪いぜ。まだ見るだけだ」

「くっ…………確かに署名は叔父の筆記……。何より押印が完璧に我が一族のものに相違ない……!」

「だろう? 確かお前の父、ヴィンセント騎士団長はダリオを潰したがってたよな? こいつをプレゼントしてあげたら、パパ喜ぶんじゃないのか? いいぜ、譲ってやっても」

「き、貴様ぁ……!」


 よりにもよって俺などにこんな目に遭わされるなど、ルキウスにとっては屈辱以外の何者でもないだろう。俺はルキウスにダリオ成敗の手柄を渡す。その代わり、ルキウスはその見返りに俺に黄金色のお菓子を渡す。これで皆ハッピーエンド。素晴らしい結末だ。思いついたマヤちゃんには頭が上がらない。流石はマヤ様ですわ。こう言うとお兄様より重巡洋艦みたいだな。閑話休題。


「さぁどうするルキウス! 今なら送料無料のお手頃価格でお譲りするぜ」


 さぁ、今のこの場では俺に主導権がある! 俺が上! 貴様が下だ!

 ルキウスは本当に悔しそうに顔を歪め、今にも飛びかかって奪いに来そうなほどに歯を食いしばっていた。……が、間もなく、本当に屈辱を耐え忍ぶような声で俺に答えた。


「~~~ッ! 下民の……よりにもよって貴様如きに、これほどの屈辱を受けようとはな……! いいだろう……! その無礼、今ばかりは見逃してやろう……! いくら望む……!」


 計画通り…………! 思わず頬がつり上がるのが自分でも分かる。駄目だ……まだ笑うな……こらえるんだ……し、しかし……この喜びは、抑えきれん! そうだろマヤちゃん!


「お買い上げありがとうございます♡ 税込価格4000万Cとなりますねぇ♡」

「どこまでも俺を侮辱する男だ!」


 思わずマヤちゃんの声真似をしてルキウスを煽るくらいには、俺は嬉しくなってしまったのだった。







 ――数日後。


「なんだこのつまらん記事はァ!」


 本部に居座る団長が全く不機嫌そうに読んでいた新聞を投げ捨てた。

 その新聞の一面には、【ノブレス・オブリージュ】騎士団長ヴィンセントとその息子ルキウスの写真が印刷されており、タイトルには『スターライト一族 誇り高き貴族の矜持』とクソデカ大文字で書かれている。……貴族嫌いの団長にとっては実につまらない内容だろう。


「『先日、財務大臣ダリオ=フォン=スターライトの脱税行為が発覚した。ダリオ大臣は十数年に渡り脱税行為を行い、私的財産をためこんでいた模様。発覚のきっかけはスターライト家の子息ルキウス男爵による調査による。証拠を掴んだルキウス男爵は父ヴィンセント騎士団長と憲兵と協力し、ダリオの迅速なる確保に貢献した……』…………むぅ。本当によかったのトーマ? もしかしたら、この新聞に載るのはトーマとマヤちゃんだったかもしれないのよ?」


 同じ新聞を読んでいたグラシャが、ちょっとだけ不満そうな顔で訊いてきた。よかったに決まっている。俺達は名誉よりも金が欲しかったんだから。この事件は全てマヤちゃんの掌の上、その結果も自ずとして、儲け話に繋がっただけの事だ。


「グラシャは、俺が新聞に載って有名人になって欲しかったのか?」

「それは…………。……やっぱり駄目っ。トーマかっこいいからまた女の子にモテちゃうし!」


 グラシャに質問を返すと、ちょっとぷんすか怒りながらそう言われてしまった。なんだそりゃ。


「……でも、どうして4000万? せっかくなら、一億まるごともらえばよかった……」


 アイリスが朝食の焼きアスパラをしゃくしゃく食べながら訊いてきた。うーん、確かにそれは俺も考えたんだが、マヤちゃんに『4000万にしておこ?』って言われたんだよなぁ。


「それこそ交渉ってやつだよ♪」

「マヤちゃん!?」

 

 そこで今回のMVP、マヤちゃんが俺達のいるテーブルに座って話に参加してきた。あの、どうして俺の隣に座るんです? そしてどうしてそんな近いんですか当たってます二の腕と二の腕が当たってます近いですいい匂いです……。


「一億って数字出したら、『以前の仕返しにきたんだな』ってルキウスも逆上するかもしれない。でもその半額にもならない4000万だったら『仕方無いけど譲歩してやろう』って気になるしょ? 実際、ルキウス男爵とっても怒ってたでしょ?」

「確かに、もう1000万高かったら逆に了承してくれなかったかもしれません」


 マヤちゃんの言葉で、その時のルキウスを思い返す。…………確かに、本当に嫌だけど、仕方なく、といった表情をしていた。マヤちゃん、そこまで考えて……ほんと、今回の一件はどこまでもマヤちゃんの掌の上って訳か。


「今回はありがとね、みんな。おかげで孤児院を守れたから」


 そしてマヤちゃんは、心からといった声音で俺達三人に感謝を告げた。その言葉に俺達も笑う。本当に、ハッピーエンドでよかった。これこそめでたしめでたしだ。

 マヤちゃんも笑うと、また席を立った。……どうやら、わざわざお礼を言いに来たようだ。マヤちゃんこういう律儀なところもあるんだよなぁ。きっとテレサさんの教育の賜物なんだろう。


 そんな事を考えていると、マヤちゃんは最後に俺の肩に手を置いて、いきなり耳元に脣を寄せた。そして、


「……本当にありがと、トーマくん」

「っ!?」


 そう、囁くように言って、軽く頬に口づけしてくれた。



 ……………………。


 ………………………………頬に、キス、して、…………くれた。


「マ! マヤちゃんッ!!」

「…………それは、だめ!」

「え~? 何の事~? マヤ分かんな~い♡」


 グラシャの発狂するような声や、アイリスの怒った声や、マヤちゃんのあざとい声が遠くに聞こえる。…………キスを、してくれた。マヤちゃんが、俺に。やばい、衝撃的すぎて思考回路がショートしている。初めて女の子からキスもらった……なんだこのときめきは。まさかマヤちゃんも俺のアオハルだったのか。って馬鹿な事言ってる場合じゃない。これが魅了状態ってやつか……。



「ごめんください」



 その時、再び聞き慣れない声音が耳に届いた事ではっと意識を取り戻した。

 その声のした本部の出入り口を見やると、そこには細身で薄幸そうな女性がいた。アンジュさんだ。彼女は俺が出迎えなければ。

 俺が席を立ち入り口に向かうと、彼女の方も俺に気が付き、ぱぁ、と表情を明るくした。


「ようこそ、【夜明けの星】へ。騎士団員の海藤十真です。これからよろしくお願いします、アンジュさん」

「ふふっ。はい、よろしくお願いします。トーマくん」


 今回の事件に関して、ダリオの没落と同時に、色んな環境が変化した。

 まずは一番の目的である孤児院が守られた事。次に、ルキウスの名声が上がった事。

 …………そして、ダリオの元にいたメイドさんや使用人のこれからについて。

 俺の頼みで、行く宛ての無くなった彼らをマヤちゃんが仕事を斡旋してくれた。メイドさんの数人はテレサさんの孤児院で働く事になり、ダリオの企みに加担していない真面目な男性使用人は【夜明けの星】の騎士団員になった。

 そして、アンジュさんは……。


「まぁ……! やっとまともな人が来てくれたわ……! 私はスメラギ。これからよろしくお願いしますね……」

「アンジュです。よろしくお願いします……。…………トーマくんこの人病気じゃないのかしら?」

「至って健康です」


 スメラギさんに出会ったアンジュさんは本気で心配そうな表情で彼女を見ていた。その気持ち、とても分かります。でも、これでもエリクサーとかで元気な方なんです。俺と出会った時はもっとスペクターしてましたから。

 ……アンジュさんは、【夜明けの星】の食堂で働く事になった。真面目な性格はスメラギさんと絶対に合うはずだ。彼女はこれで名実共に食堂の女神になった。うちの食堂は実に神性が高くて素晴らしい。ここで食べるご飯はもっとおいしくなりそうだ。


「…………世界が違って見えるわ。あの夜、コジロウくんを信じてよかった。私、これから自分のために生きるわ!」

「ちょっと騒がしいけど、ここはいいところでござるよ。この騎士団が拙者の家でござる。そして、これからはアンジュ殿の家にもなるでござる。みんなが家族でござるよ」


 そう言うと、アンジュさんはちょっと泣きそうな表情で、でも本当に嬉しそうに笑って俺に頷いた。あなたの人生に、これから幸多からん事を。もしあなたに不安があれば、再びこのコジロウが斬り払ってみせるでござるよ。


「どうしてトーマの周りに女の人が増えてるの……? ねぇ、どうしてマヤちゃん……?」

「さぁ? 何でだろぉねぇ♡ マヤも分かんな~い☆」

「顔が怖いわグラシャ…………」


 …………なんか背中から冷たい魔力を感じる。怖くて振り向けない。今のグラシャの顔を見たくない。とてつもないプレッシャーが俺の背中を突き刺している。ひ、必要な事だったんだよグラシャ……。アンジュさんがいたからこそ今回の事件は解決したようなものなんだって……。あぁ、そう言っても『ふーん』ってすごく不機嫌な声で言われるんだろうなぁ。後で尻尾ブラッシングでご機嫌取らないと……。



「ごめんください」



 その時、再び騎士団に来訪者が。今回の事件を持って来てくれた第二のMVP、ルリちゃんだ。自力で孤児院から脱出を?


「ルリ! また来たのっ?」

「ご、ごめんなさいマヤお姉ちゃん。すぐ帰るから!」

「もう……。少しだけよ」

 

 マヤちゃんが仕方なさそうに許すと、ルリちゃんはぱぁと笑顔になって、座っている俺のところまで来て、一つの小包みを渡してきた。おろ? 何でしょこれは。


「ルリを助けてくれてありがとぉ! お礼にクッキー焼いてきたから、あげる!」


 なん……だと……?

 俺がおそるおそるその小包みを受け取り開くと、中には黄金色のクッキーが美しく盛られていた。包みを開いた瞬間に香ばしいにおいも感じる。


「ルリちゃんが作ってくれたのか?」

「うん! トーマ、クッキー好きだと思って」

「……あぁ、大好きだ。ありがとうな」


 お礼を言うと、ルリちゃんは嬉しそうにニコニコと笑った。…………あぁ、これは、4000万の金貨よりも価値がある報酬だ。ルリちゃんの孤児院を守れて、本当によかった。今、心からそう思った。


「…………トーマのばか。節操無し」

「ルリちゃんは違うだろ…………」


 後ろからグラシャに文句言われたのでこれには反論しておく。申し訳ないが俺の大魔王はルリちゃんにはピクリとも反応しない。マヤちゃんには……ちょっとだけ反応するけどそれだけだ。童帝ケモミミ=キョニウノオネエサンスキー1世は今日もブレない。わが心と行動に一点の曇りなし。ケモ耳が正義だ。…………アンジュさんには……ちょっと、大魔王もご興味を示しておられるけれども。


「あ、あのねトーマ! わたし大きくなったら【夜明けの星】に入るね!」

「えっ、考え直した方がいいと思うよ?」


 ルリちゃんが何か心決めたような感じに言うので、思わず止めに入ってしまった。いやぁ駄目だって。ルリちゃんが大きくなったらって……あと七年か八年くらいだろうし…。その時にここのクズ共は……まぁ、くたばったりしてないだろうなぁ。むしろひどくなってるだろうなぁ。そんな奴らにルリちゃんを合わせたくない。


「ううん! 決めたの! ここに入って、今度は私がトーマのお仕事助けてあげる! マヤちゃんみたいに!」

「エッ?」


 ………今聞き捨てならない台詞が聞こえた。マヤちゃんみたいに?


「よぉし頑張りなさいルリ! トーマくんの手綱握って幸せにしてもらいなさいっ! マヤお姉ちゃんが色々教えてあげるからね! ちゃんと勉強するんだよ?」

「うん! ありがとうマヤお姉ちゃん! ルリもマヤお姉ちゃんみたいになるね!」


 おいやめろ。その子を魔改造するのほんとやめてマヤちゃん! ルリちゃんはアンジュさんみたいな真面目な子に育てるべきだ。魔性の女を二人に増やしてはいけない、ここの騎士団はいつか乗っ取られてしまう。…………あ、今も乗っ取られてるようなものだったわ。もう駄目かも分からんね、ここの騎士団は。


 ――この騎士団には魔性の女がいる。見た目は美少女、頭脳は大人。立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。一度動けば世界が変わる。それがウチの受付嬢。…………そう言えば、権力のある男を滅ぼすのは、いつの時代だって美女だったっけ。ふっ、そりゃダリオが勝てる道理なんて無かったわけだ。勝負は始まる前から決着していたな。…………うん、やっぱり、マヤちゃんだけは敵にしてはいけない。俺の朝食の焼きアスパラは少し苦かった。



 ――今回の報酬。4000万Cをマヤちゃんと折半で2000万C。

 これを団長への借金に返済。俺の借金――――残り、7910万C也。


 …………。

 ありがとう……。マヤちゃん、本当にありがとう……! 一気に2000万も返済出来たよ!! まだまだあり得ないくらい借金残っててグロいけど! っしゃ、これからも頑張るZOY!

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