幕間

前章までのあらすじ

 五年後、槐が亡くなり、新たな領主となった柊は、浮民に対する鬼民の狼藉の取り締まりを強化しようとするが、権威のない柊に従うものはいなかった。


 憔悴した柊を慰めようと、優人が皆を招き、玲奈の舞を披露する。天女が舞っているかのような美しい玲奈の踊りを見て、つかの間、柊の心が癒される。


 柊は、事態を打開するため、鬼民に専有されていた法官ほうがん方に、優人を抜擢することを決断する。しかし、下層の鬼民を取り締まることはできても、有力な鬼民は見過ごさざるを得ない状況に、皆の不満が逆に高まっていく。


 そんな中、浮民の子どもが惨殺され、優人は捕らえた下手人を死罪とする。しかし、これは梟の罠だった。死んだ男は、梟の家臣で、浮民の子どもが惨殺された時は、梟が設けた祝いの席にいたという。不始末の責任に、優人の首を要求された柊は、ついに梟との戦を決意した。


 決戦の朝、小士郎は宗近から、楠家の代々の当主が持つ刀を受け継ぐ。柊も、蓮から新しい国造りを手伝う決意を聞かされる。そして、柊が引き連れる一隊が、梟の屋敷を取り囲んだ。梟を捕らえようと踏み込んだ柊だが、そこには、梟の姿はなく、梟の家臣である烏豌うえんが、待ち構えていた。


 同じ時、柊たちが出立した後、梟が率いる一隊が、領主の館を襲った。守り手として残っていた宗近が一人奮戦するが、人間離れした力を持つ梟に殺されてしまう。


 罠に気づき烏豌を退けた柊が、急ぎ戻ろうとするが、途中で正体不明の男たちに襲われる。蓮を捕らえた梟が、偽領主である柊を捕らえるよう、蓮の名を使って国中に命令を出していたのだ。


 かろうじて逃げのびた柊と小士郎だが、街に潜んでいた二人が見たのは、さらされた優人と宗近の首だった。絶望する二人だが、残された玲奈の身を案じ、浮民の里へと向かう。


 しかし、そこで柊が見たものは、激しく荒らされた里の姿だった。

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