アッシュワールドへ出発進行!

 三日後の早朝。

 アリ・ハリラーは中型のラウンジバスで迎えに来た。


「皆さん、どうぞお乗りになってください」

 

 バスから降りてきて乗車を促すアリ・ハリラーだった。アルヴァーレのメンバーははしゃぎまくっている。


「豪華ですわ」

「カラオケもありますの?」

「僕、ドキドキしてきました!」

「ララ室長。お土産はがよろしくて?」

「土産など何でも構わん。さっさと乗れ」

「はい、では行ってまいります」


 ヴァイ、ブラン、レイス、そしてハルト君の四名がバスに乗り込む。バスの中に青白い顔の女性がいた。不審に思ったララはアリ・ハリラーに尋ねた。


「彼女は?」

「ああ、彼女はミスミス総統の代理なのです。総統は今回は所用で参加できなくなりまして、代わりに彼女が引率をしてくれる事となったのです」

「名は?」

「セーズ型自動人形のジャスミンだとか」

「自動人形……」

「ええ。総統が連れてこられたのです。いわゆるアンドロイドなのですが人間そっくりで、とても作り物だとは思えない出来栄えです」

「なるほど。ところで、異世界へ行くのにそんなバスで大丈夫なのか?」

「はい。一辺が10mの立方体に収まれば転送できるそうです。行きも帰りも、このゴージャスなラウンジバスで大丈夫だと」

「分かった。気を付けてな」

「ではでは」


 バスの扉が閉まり、手を振りながらアリ・ハリラーが席に着く。そしてゆっくりと発車した。


「ミスミス総統が身代わりを行かせた……何故だ?」


 ララは首をかしげる。

 そしてバスは遠ざかり、見えなくなった。街は朝の雑踏に包まれていく。


「嫌な予感しかしない。しかし、溜まっている仕事を片付けねばな」


 そんな事をつぶやきながら、ララはオフィスへと向かうのだった。

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