後日談

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   後日談





 夢の中で、娘が少々口ごもった場面があった。

 時が過ぎ、未来に到達して、その理由が分ってきた。


 口ごもる理由は2つあった。

 1つ目は、鷹大と弓音は、できちゃった結婚だったこと。結婚してから娘を授かったのではないのだ。


 しかも、弓音の思い切った行動もあり、お互い初めての時にできたのだ。


 火山地獄の地面は黒い溶岩なのに、火山は「赤」、流れる溶岩に「赤」が混じるなど、神様はそういう演出をしていたのだ。

 神様のくせに意外とやるもんだ!


 2つ目は、娘がウソをついていたこと。

 おそらく、未来を隠すために、本当のことを言えなかったのだろう。


 夢に現れた娘の顔は、パイとナイの特徴を合わせ持っていた。顔の形をいじったと言っていたが、むしろ、2人を融合させたように思える。


 そう、娘は双子だったのだ!


 どうやら、あの白騎士の中に、弓音の体が、もう1体あったようだ。

 2卵性双生児、厳密には1.5卵生双生児だったのである。


 極体きょくたい受精という、メチャクチャまれなケースだった。


 極体とは、卵子ができる時に作られ、卵子に付着している細胞核しか入っていない細胞のことである。


(解説:卵子の原細胞は全てのDNAを持った状態で母体内に保管されており、排卵の直前になって細胞分裂をして、DNAの数を半分に減らすのである。いらなくなった残り半分のDNAが極体の核となり、他の細胞構成物がないままに卵子に付着しているのだ。前述のように、極体とは核だけの細胞という訳だ。

 高校で生物Ⅰを選択すると、もっと詳しく習うだろう。

 通常、ヒトの極体は受精することはないのだが、この作品では細胞分裂が不十分だったために、核以外の細胞構成物も分裂して極体に残り、受精できたと考えている。なお、解説であるので、『DNA』の名称を使用している)



 双子と知った時の鷹大の喜びは、とても言葉にならない。用意していた2つの名前を、その場で呼ぶしかできなかった。


 と、いうより、力いっぱいに叫んだのである。



 「   松実まみーーーーーーーーーーっ!!


     心乃ここのーーーーーーーーーーっ!!   」



 松実は松の実、でも、松ぼっくりではない。

 パイナップルだ。つまり、パイン → パイだ!


 心乃は、ここのつ、9、ナイン → ナイだ!


 生まれた顔を見て、どっちかなのかすぐに分った。

 名前を付け間違えたなんて心配は、これっぽちもない!


 元気に育って欲しいばかりだ。


 鷹大は2人の将来が待ち遠しい。


「その、えーと、胸の発育が、どんな風に違うのか、楽しみなんだ」


 不謹慎な父親である。

 ハズ目のコントロールが、これからの重要な課題となった。









 ―― そして、次はマラカとジュビ、かな? ――


 チャン チャン!








    マジで、おしまいっ!





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