やんちゃ坊主④

「だから、いやだったのよねえ」

 

 桜花がうんざりしたような顔をしながら、愚痴る。

 

「どうしたの? そんな顔してえ」

  

 私はこんなにウキウキしているのに、なんで桜花はこんなに疲れた顔をしているのかしら?

 せっかくだから楽しめばいいのにと私は思う。


「せっかくのダブルデートよあ。楽しみなきゃ。損よ。そん」


 そう私がウキウキしているのは、いま遊園地にきているからだ。


「だれがダブルデートだ。ボケ」


 そんなことをいうと、不機嫌そうな顔をした朝矢の姿があった。その隣には、朝矢の親友であるヤギの姿がある。

 

 ヤギというのは私がつけたあだ名で本名は高柳成都。一時期、私たちの故郷の街に滞在したことのある人物だ。


「朝矢ああああああ。デートよ。デートでいいじゃないのーーー」


「うるせえ、だれもテメエと付き合ってねえだろうがこらっ。こら、くっつくな」


 私は朝矢に抱き着こうとしたが、思いっきり手で抑え込まれそこまで至らず。


 ふううう♡

 

 そういうぶっきらぼうなところもいいのよねえ。


 もう、もっと叱ってえええ


「なににやけてんだよ。ボケ。さっさといくぞ。遊びにきてんじゃねえんなだよ。わかってるのか?」


「はーい。わかってまーす。さっさと鬼退治として、デートしましょ♡」


「だれがするか。ボケ、よそでやれ。よそで」


「もういい加減にしてよお。ほらほら、騒ぎになり始めたわよ」


 桜花がいうと、さっきまで楽しそうな顔をしていた人たちから笑顔が消えて、恐怖へと変わっていった。


 こういうのって本当にただの恐怖よね。


 確かにそうよ。


 だって、目の前には見たことのない化け物がいるんだもの。


 あーんな化け物にはさすがに恋心抱けないわね。


 よし、


 あの化け物さっさと倒して、遊園地満喫するわよおおおおお



 そういうことで私たちは遊園地に現れた鬼になる前の状態であるアヤカシ退治へと向かった。



 

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