小鳥遊萌生と『トモダチ』の思い出・1
小鳥遊萌生は、『
萌生自身の覚醒は4~5年前だが、『賢者の石』に適合したのは比較的最近――半年ほど前になる。それまでの彼女は、お世辞にも優秀とはいえないUGNチルドレンだった。
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萌生は、半年前の任務の際に同行したUGNチルドレン――“日向の獣”(サンライト)榊小晴が死亡したという知らせを受けてから、UGNの訓練施設に入り浸っていた。
「(わたしが戦えなかったから)」
そんなことを思いながら戦闘訓練を繰り返す日々。
ある任務が告げられたのは、自身の感覚に振り回されロクに戦えなかった萌生が、なんとかエフェクトを使わない状態でなら戦闘ができるようになった頃のことだった。
「……レネゲイドビーイングの監視、ですか?」
久しぶりの任務の内容に首を傾げると、任務を言い渡したエージェントは苦笑交じりに説明をしてくれる。
「はい。新たに目覚めたレネゲイドビーイング、少し特殊な部類でして。監視は必須なんですが、聞き分けはいいのであなたでも大丈夫だという上の意向です」
「…………」
あなたでも、という部分に思うことはあれども反論できない萌生は黙り込む。続けたエージェントの説明を簡単に言えば。
「『賢者の石』のレネゲイドビーイング、かぁ……」
対象との対面の部屋に向かう萌生の顔には、ぬぐい切れない疑問が浮かんでいた。
「(『賢者の石』のレネゲイドビーイングってことは、結構UGNにとっても重要な案件のはず。……なんでわたしに任されたんだろ)」
辿り着いた部屋の扉を開けると、中にはラベンダー色の少女がソファーにちょこんと腰掛けていた。少女は、萌生が入ってきたことに気が付くと、とてて、と萌生の目の前までやってくる。
「……あなたが、“彗星”(コメート)?」
この少女こそが、萌生の『トモダチ』であり。
――小鳥遊萌生が持つ、『賢者の石』である。
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