第11話 本当の自分
「まさか…俺と同じく吸血鬼としての力を覚醒させるとは…」
何だ…あれはセリドなのか?本当にセリド…なのか?
「グラァウ!!」
ガキィン!!
「俺とは違う…暴走している!?」
暴走…そうか、クロウがやられたことに絶望して…それでセリドの吸血鬼としての力が爆発したのか…!
「グォォォォッ!!!」
「レクスッ!!」
グシャッ!!
「ルプス……!?」
レクスの前に出たルプスの腹に鋭い拳が直撃し、ルプスの腹に風穴を空ける。
「ルプス…おい!!ルプス!!」
「お前がいた…人…生…悪く…無かった……ぜ……」
「ルプス……お前……」
今まで冷徹だったレクスが、最後に自分を庇って死んだルプスを手厚く加護した。レクスもルプスだけには特別な感情があったのだろうか…
「グルゥ…」
人々が次々と倒れていく中、一人目覚めた男がいた。
「んん…」
「目覚めたのかレイヴ!」
「ラルス様…?それにセリド様は…」
「頼む。お前にしか頼めないことなんだ。セリドを…止めてくれ…」
「了解です。必ずセリド様を助け出します。」
レクスとの激しい戦いで目覚めたレイヴにセリド救出を頼む。
「ガァァァァァ!!!」
「もうやめてくださいセリド様っ!!」
「ッ!?」
やはりレイヴに対しての心は残っている!セリドは完全に暴走なんてしていない!
「これ以上罪を犯すことはありません…いつものセリド様に戻ってください…大丈夫です、私がいつでも側にいますから…」
「グッ…ウゥ…!」
ボシュウー…
「うっ…私は…一体、何を…?」
ようやく意識が戻った…何だったんだろう今の力は…?
「戻ったのですねセリド様!」
「レイヴ…あなたが…?」
元に戻ったのは良いが…まだレクスが残ってる。
「茶番はそこまでだ。決着をつけるぞ…!」
でも今のままではレクスに勝てない!一体どうしたら……
「セリド様、あれを見てください。」
ルプスが持っていた記憶の本の表紙が黒から白へと変わっている…もしかすれば、何か本の内容が変わっているかもしれない!
「この本にイチかバチか…賭ける!!」
恐る恐る本を開く…
パラパラパラ…パタン。
「……何も起きない…」
そう思ったその時…
シュオン…シュオン…シュオン…
「えっ…!?」
「様々な世界から…人物が召喚された…!?」
召喚…いや、これは「本人」だ!
「助けに来たよ!セリドさん!」
「英里華ちゃん!?」
「言っただろ、いつでも力を貸すってな!!」
「晴真も!?」
次から次へと世界から人物がここへ集まってくる…
ズドーーーン!!!
「シルバーマン…!!」
屋根を突き破って巨大な姿のシルバーマンが姿を現す。
「何だ…これが本の真の力だと言うのか!?」
あっという間に私達が今までに出会ってきた人物がここに集結した。
「だがこれだけ揃おうと同じことだ!!」
「さぁ?それはどうかね…あなたはまだ知らない…この人物達の凄さを!!」
コォォォォ…
「いきなり全力で行くぜ!!式神モード!!」
パァン!ズドォォォン!!
晴真はいきなり本気の式神モードへとなり、英里華ちゃんも同じく全力を出すべく、前に見た最強の形態へと移行した。
「ゴッドブレイク!」
『ゴッドブレーイク!!シャイン&シャイン!!マジ神降臨!!』
「よし、レイヴ!私達も行こう!!」
「はいっ!!」
シュン…
もう一度レイヴを長刀にして、戦闘を再開させる。
「ぬぁぁぁぁぁ!!!」
叫び声を上げながらレクスは長く特化した右腕で振り払おうと突進する。
「遅すぎるぜ!!出雲!茨木!あれやるぞ!!」
『分かってます。』
『よーし!やっちゃうぞー!」
ボンッ!!
「「「式神乱舞!!」」」
スドドドドド!!!
「ぐっ!?」
高威力の必殺技をもろに食らい、流石の覚醒したレクスも膝をついた!これなら行ける!
「……斬る…!」
ジャキン!!
「ぬぅ…!!」
膝をついた隙を見て日丸の一閃も叩き込まれた。
「まだよ!!」
「スズカ…!」
「あの時の恩、今ここであなたに返すわ。」
スッ……
「秘刀の舞、奥義…」
カチン。
「桜ノ雨。」
ザシュザシュザシュ!!
「ぐぁぁぁぁぁ!!!」
スズカの超スピードによる斬撃で全身にダメージを負ったものの、まだレクスは倒れない。
「まだ…まだ俺は…!!」
「だから言ったでしょ?あなたはこの人達の凄さを知らないってね!」
「セリドさん、私もこの間助けてもらったお返しをします!」
『ツインゴッドブレイド!!』
あの時の二刀の剣を出して英里華ちゃんも必殺技を出した。
ガチャン!
「行きます!」
『マジスゲーイ!!ゴッドブレイクバースト!!』
ジャキンジャキンジャキン!!
「今です!セリドさん!」
「はぁぁぁぁぁ!!!」
ジャキィンッ!!!
「ぬぅ…!!」
「やった!」
レクスはついにトドメを刺されたと言わんばかりによろめいた…
「そうか…これが…お前達の力なの…か…」
「そう…これが私達の力。でもあなたにも仲間がいたはず…そのことを…忘れないで…」
「ルプス…俺はバカだったよ…こんなことして…今更変えられないってのに……俺は…本当に……」
最後の言葉もついに虚しく、レクスはついに倒れた…それと同時に吸血鬼の力がお母さんの元へと戻る。
「んっ…」
「お母さん!!」
私は一目散にお母さんの元へと駆け寄った。お母さんが目覚めたこと…私はそれが何よりも嬉しかった。
「セリド?ラルスやレイヴくんも?」
「お母さん!体は大丈夫!?どこも怪我はしてない!?」
「私なら大丈夫よ。そう…みんなで私を助けに来てくれたのね…ありがとう。セリド。」
お母さんに抱かれ、私は涙を流した。こうして抱き合えるのは今にお母さんが助かったことなのだから。
「お母さん…!お母さん…!」
「怖かったでしょう?さっ、お家に帰りましょうね。」
次回、最終回。
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