第9話 消失
「数の暴力なら、こっちの方が有利だ。」
シュオン…シュオン…
「……!!」
「………」
召喚されたのは日丸と薫ちゃんだ。両者共に強力な人物だが…勝てるのかな…
「気を付けて、二人とも凄く強いから!」
「オッケー…ならまずはこれだ!!」
シュッ…パァン!!
「ー結界網ー急急如律令!!」
晴真が手を叩くのと同時に、日丸の身動きが封じられた。
「これで奴はしばらく動けない!今のうちに片方の奴をやるぞ!」
「了解!」
パキパキ…ガシャアン!!
「ハッ!!」
クリスタルの剣を生成して戦う様は本人とまるっきり同じ…だから、弱点も分かる!
「せいっ!!」
ザシュッ!!
「ッ!?」
斬られた部分からは赤い血ではなく、データコードのようなものが吹き出している。
「攻撃はまだ終わってないぜ!」
ジャキィン!!ドゴォ!!
シュオン…
晴真の斬撃と蹴りを食らい、薫ちゃんは本の中に戻される…それと同時に何故か日丸も本に戻されてしまった。
「ちっ…やはり二体以上の召喚は少し荷が重すぎるか。ここは俺が出るしかなさそうだな。」
「へっ、ようやく本体のご登場か。」
ルプスはあの時と同じように懐から拳銃とナイフを取り出して構えた。
「殺れるかどうか分からねぇが、まぁいい。」
「よし…じゃあ俺も今ある全力を出すぜ!!」
コォォォ…
「出雲!茨木!お前らやるぞ!!」
「はいっ!」
「準備万端だよー!」
晴真の掛け声と共に玉の状態となった出雲と茨木を体に取り込む…
ズドォォォン!!
「「「式神モード!!」」」
「なっ…!?こんなの想定外だぞ!?」
青いオーラと緑のオーラをいっぺんに纏ったその姿はとてつもない力を放っていた。
「さぁ、来い!!」
パァン!!パァン!!
ルプスは正面から素早く発砲するが、晴真にはまるで効かない。
「妖狐のスピード、鬼のパワーを合わせたこの姿にそんな物が効くと思ってるのか?」
「なら切れば…!!」
シュン…
「遅いッ!!」
バゴッ!!
「ぐっふぉえ!?」
流石に晴真も殺しはしないが、刀の柄部分で腹を殴られたルプスは悶え苦しんでいた。
「レイヴ、これ私達いるかな?」
『何だか晴真様達だけでも余裕そうですね。』
「おい、降参するなら今のうちだぞ。まぁ今降参しなくても叩きのめすだけだがな。」
「クソッ…!!」
ブゥン…
苦々しく悪態をついてルプスは逃げた。ここで逃してしまうのは惜しいが、殺すよりかはマシだ。
「凄いなー今の!」
「これは奥の手ってやつだ。今回はアイツをビビらせる為に式神モードをちょっと使ったけどな。」
ビビらせる為にとか…ちょっと怖いな…
「これからお前達はどうするんだ?」
「黒スーツの男達と決着をつけに行くよ。もうこれ以上他の世界に被害が出ないように、私達が止めなきゃ。」
「そうか…またこの世界に来る時は会いに来てくれよ。俺達はいつでも力を貸すぜ。」
「うん…!ありがとう晴真…!」
晴真と二人の式神に見送られて、私達はそのまま元の世界へと帰って行った…
バタン。
「…?どうかされたのですか?」
「あ、いや…ちょっと天照のことを思い出しちゃってな…」
「天照ちゃん、今頃どうしてるんだろうね?」
「今頃…か…アイツはいつだって俺達のことを「太陽の女神」として暖かく照らしてくれてるだろ…」
ーマーセル邸ー
「ただいまー!お父さん、お母さ…」
いつものように玄関を抜けてただいまを言ったつもりが途中で言葉を失った。いつもリビングにいるはずのお母さんがいない。代わりにいるお父さんはただ呆然と立ち尽くしているだけ…
「お母さんは!?お母さんはどうしたの!?」
「セリド……」
振り向いたお父さんは涙を浮かべ、私の元に寄り、衝撃の言葉を放った。
「セリド…カトラはな…連れ去られたんだ…」
「カトラ様が、連れ去られた…ですって!?」
「何で…?一体誰に…?誰がお母さんを連れ去ったの!?」
「シンの団のリーダーを名乗るレクスという男にだ…俺は必死に抵抗したんだが、奴は「相手を自由に眠らせる」能力を使って俺は眠らされたんだ…」
でも何の為にお母さんを……まさか!?
「そのレクスって男は何を言ってたの!?」
「何でも「俺の計画の為に必要だ」とか言っていた…それ以外は何も聞いていない…」
ルプスの言っていた「リーダーの計画」ってこれのことだったんだ!!さてはお母さんを人質に何かを要求するつもり何だろうか…!?
「ともかくシンの団のアジトに行こう!お母さんを連れ戻さなくちゃ!」
「分かった。俺はクロウやドメイクにも連絡する。」
お母さん…待ってて。絶対に連れ戻してみせるから!!
続く。
次回のロスト・メモリーズⅡは
「これが俺達の最後の賭けだ。」
「お願い…お母さんを返して!!」
「もう何者にも邪魔はさせないッ!!」
次回「内なる本能」
「今こそ俺は人間を捨て、強靭な者へと進化する!!」
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