第8話 陰陽師の世界

むむ…何かやけにセリドとレイヴの会話が弾んでるような…

「レイヴ、今日のご飯も凄く美味しいよ!」

「ありがとうございます。今日は腕によりをかけましたので。」

いや、気のせいか…俺ってば心配しすぎだな…

「あ、お父さん。」

「ん?どうした?」

「言い忘れてたけど、私とレイヴ、付き合うことになったから。」

・ ・ ・ ・ ・ ・ん?

「だから…私達、付き合うことになったから。」

付き合うことになったから……付き合うことになったから……付き合うことになったから……

「ぶーーーーーッ!!!」

「ラルス!?大丈夫!?」


我が愛する娘、セリドよ。お父さんはもう何も言わん。どんなことをしても構わん。(自主規制)でも何でもしやがれ。

               byラルス




「お父さん大丈夫かな?」

「余程ショックだったようですね…」

お父さんはショックで伸びている…それを横で保護するお母さん…

「次の世界は、陰陽師の世界…」

「ここでは最強の陰陽師がいるそうですね。」

最強の陰陽師か…どれほど強いのかな?まず私は陰陽師を見たことが無いんだけど…

「と、とりあえず行ってくるね!お母さん!」

「あ、うん…行ってらっしゃい。」

ガチャ、バタン。


ー陰陽師の世界ー


「うわっ、いきなり夜に来ちゃった。」

行き着いたのはどこにでもあるような住宅街。近くには「星野神社」と書かれた神社や、小さな山などがそびえ立っている。

「ターゲットの「星野晴真」様はこの山にいるみたいですね。」

「う~…ちょっと怖いけど行くしかないよね…」


ー山道ー


夜ということもあって何かが出てきそうな雰囲気……

「あっ、いた。あの人が星野晴真?」

「間違いありません。近くに行きましょう。」

星野晴真と思わしき少年は、赤と白というシンプルな和装に身を包んでいる。さらに言うと、人間の姿をした「何か」が二人横に付いている。

「あなたが星野晴真?」

「そうだが…お前、誰だ?」

「下がっていてください、晴真様。」

狐の耳を生やした女の子が晴真の前へ出て、私達を睨み付けた。

「あ、いや私達は別に悪いことをしに来たんじゃなくて…あなたに会いに来たの。」

「晴真様に何の御用ですか。不届き者。」

「不届き者は言い過ぎじゃないかな…出雲。」

同じく横にいた鬼の角を生やした女の子に止められる。

「私達は外の世界から来た人間で、これからこの世界で起こる異変を解決しに来たんだよ。」

「てことはお前、セリド・マーセルか?」

「そうだけど…何で私の名前を?」

「なるほど…お前がこの世界を乱そうとしている奴か?」

「えっ、ちょっ…それってどういうこと!?」

突然私達でも知らないことを言い始める晴真…何で私達が世界を乱そうとしてるとか言われなきゃいけないの!?

「ー金刀到来ー急急如律令。」

ポンッ!

「マズイよレイヴ…!とりあえず長刀で!」

「分かりました。」

シュン…

晴真が取り出した札から刀が出現し、晴真はそれを逆手に構える。

ガキィン!!

素早く降り下ろされる刀をどうにか弾き返すので精一杯だ。

「陰陽師の力、見せてやる!!行くぞ、出雲!!」

「はい!」

コォォォ…

「側にいた人を玉にした!?」

これを察するに、晴真の横にいる人達は人外の中でも凄い奴なのかもしれない…!

「式神…解・放ッ!!」

パァン!

「妖狐モードだ!!」

えぇぇぇぇ!?まさかのモードチェンジ!?

「妖狐分身。」

シュシュシュ…

狐の耳を生やした青いオーラを纏った晴真は私の周囲を囲むようにして分身を作った。ちょっとこれは…流石にヤバイかも…

「レイヴ!!」

長刀を晴真の足元へ投げて瞬時にレイヴを元に戻し、体術を食らわせた。

「ちっ…本体を狙ったか…なら、力で勝負だ!茨木!」

「オッケーだよ!」

コォォォ…

体の中から青い玉を取り出し、今度は鬼の角を生やした女の子を緑色の玉へと変える…

「式神…解・放ッ!!」

パァン!!

「鬼神モード!!」

それまで持っていた刀は無くなり、代わりにリーチの長い薙刀へと武装が変わった。そして今度は緑色の鬼の角を生やしたオーラを身に纏っている。

ズドォン!!

「ぐっ…!!」

つばぜり合いが発生するものの、どう考えてもパワーが段違いに強すぎる…!

「この世界を乱そうとしてるって…私達はそんなことしないよ!!」

「嘘だ!黒いスーツを着た男が言ってたぞ!「後に外の世界からこの世界を乱そうとする女が現れる」ってな!」

「黒いスーツの男!?」

間違いない…!こんなことを言うのはシンの団の人間…!

「あなたは騙されてるの!黒いスーツを着た男は盗賊集団だよ!」

「なっ…!?」

キィン!!

それを聞いてようやくほとぼりが収まった…晴真が攻撃をしてきたのは先に来たシンの団の人間が晴真に耳打ちでもしたのだろう。



「ごめんな。騙されてこんなことしちゃって。」

「良いよ。こういうのは少し慣れてるから。」

今思うと、私って良く誤解されて攻撃されるよね…

「俺のことはまぁ分かってるみたいだな…俺は陰陽師の星野晴真。そんでこの二人が俺に仕えてる式神だ。狐が出雲、鬼が茨木童子。」

「出雲です。よろしくお願いします。」

「茨木だよー!仲良くしてね!」

この二人は性格がまるで正反対のように見えるが…仲は凄い良さそう!

「そういや、お前の横にいる奴って式神か?何か武器とかに変身出来るみたいだが…」

「この子は私に仕えてるレイヴだよ。この子は武器人間っていう種族だから武器に変身出来るの。」

「なるほど…お前の世界って凄い人がいるんだな!」

そう言われると…何だか自分の恋人が自慢に思えてくる…


「おい、どうした陰陽師。目的が果たせて無いじゃないか。」


「ルプス…!!」

最早聞き慣れたこの声…今度は何をしに…!?

「こいつだ!!俺にセリドを倒せって忠告してきた奴は!!」

「ふん…こんな簡単に騙せるとは思わなかったがな。所詮頭が良さそうな陰陽師の脳ミソはバカだったか。」

「晴真様に向かって…何を!!」

「おぉ…怖いねぇ。狐さん。」

「今度は何をしに来たの!?」

今のルプスは記憶の本を持っている。ルプスは本をペラペラとめくりながら答えた。

「何って?お前達に仕事をあげに来たのと、リーダーの計画のための時間稼ぎだよ。」

「計画…?」

「おっと、それ以上は企業秘密ってやつだ。知りたけりゃ自分でリーダーに問いただすんだな。」

「どっちでも良い…今はあなたを倒すのみ!」

レイヴを長刀に変化させて構える。

「そういうことなら俺達も協力するぜ。騙された分のお返しはたっぷりしないとな。行くぞお前ら!」

「はい!」

「うん!」

「せいぜい二人か。まぁ別にこっちでも二人以上作れるし。じゃあ…始めるか!!」

続く。



次回のロスト・メモリーズⅡは

「数の暴力なら、こっちの方が有利だ。」


「俺も…今ある全力を出すぜ!!」


「お母さんは!?お母さんはどうしたの!?」

次回「消失」


「カトラはな…連れ去られたんだ……」

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