第6話 賞金稼ぎの世界:RE

「ダメっ…レイヴ…そんなの…痛っ!」

「大丈夫ですよセリド様。ほら、こっち向いて下さい。」

セリドの部屋から二人の声が聞こえる…痛いとか何だとか言ってるけど…まさか!?いやいや…流石に年頃とはいえこれは…

「もう…ダメ~!」

バタン!!

「何をしとるんだぁぁぁぁぁ!!??」

…………ん?

「傷の治療ですが…どうかされましたか?」

「あぁいや……何でもない…ハハ…」

セリド…お父さんは早とちりしてしまったよ…すまない。



「これで良しっ…」

ペタッ。

「うっ!もう少し優しく張ってよ…」

前回ルプスにやられた右頬の傷をレイヴに治療してもらっていた。絆創膏なんて張ったのいつぶりだろ…

「セリド様に傷は似合いません。セリド様は傷が無い方が美しいんですから。」

あの時レイヴにキスをされて以降、恥ずかしさのあまりレイヴと顔を合わせるのが困難になっていた…私のファーストキスはレイヴが先になるとは…

「そ、そんなことより次の世界のことについて整理しようよ。」

「そうですね。次に行く世界は「賞金稼ぎの世界」です。」

「賞金稼ぎの世界…お父さんが何回も訪れてる世界…!」



「お、次の世界は賞金稼ぎか!」

「お父さん、やっぱり懐かしいんだね。」

「あぁ、センには何回も挑んだけど、傷一つ付けられなかったなぁ…でもアイツは優しい奴だったよ。」

世の中凄い人がいるもんだな…

「センに会ったらよろしく伝えておいてくれよな!」

「うん!分かった!」

ガチャ…バタン。

「そういや、アイツには「娘」がいたっけな…?」


ー賞金稼ぎの世界ー


ガチャ。

「コンテナ倉庫…?何でこんなところに?」

「ここがセン様達の住居だからです。」

コンテナが家ね…なるほど。

カンカン。

「センさん?いますかー!」

カチャリ。

「どなた?」

コンテナの中から出てきたのは私と同じくらいの年と思われる女の子。この子以外に人がいる気配は全く無い…

「ここにセンって人はいる?」

「私がセンだけど。」

「へっ?」

「正式には「二代目」ってところね。私が賞金稼ぎとして後を継いだの。」

この子が…二代目セン!?しかもどこか私と…似てる…

「とりあえず中に入って。パパやママのこと知ってるみたいだし。」


ーコンテナー


「それで、パパとママのことどこまで知ってるの?」

「ちょっと待って…その前に言わなきゃいけないことがあるの。」

「何?」

私達は外の世界から来た人間だということをいつも通りに伝えた。

「外の世界…ママから良く聞いてたわ。良く自分に挑んでくる凄い人がいたってね。」

「その凄い人の娘が私なの。」

「ふーん…私と同じように後を継いだってことね。」

「ところで、あなたの名前は?」

「スズカ。二代目センこと私の本名よ。」

「私はセリド・マーセル。それで隣の子がレイヴ。」

スズカは何にも動じないかのような佇まいでいる。それがずっと気になって仕方ない。

「気になるんだけど…お父さんとお母さんはどこにいるの?」

聞いた途端、スズカの顔が険しくなった。

「パパとママはいない。私と桜雨を置いてね。」

「いないって…?」

「捨てたのよ。実子をね。年々激しくなってくこのゼネルから自分達だけが助かるために逃げたのよ。」

捨てた…?何でそんなこと…

「そんなはずないよ!お父さんも言ってたけど、あなたのお父さんは優しい人だったって…」

「パパもママも騙した!!私の信用を得るために騙したのよ!!小さい頃に見た優しさは全部偽り…最初から全部そうだったのよ!!」

パァン!!

しまった…つい平手打ちをかましてしまった…

「あなたのお父さんとお母さんが、あなたのことを思ってしたことか分かってるの!?」

「……!!」

「小さい頃の優しさが偽り?そんなのあるわけないじゃない!!そこまでしてどうして嘘だって言えるの!?あなたを置いてったのは人気の無いコンテナの中が安全だから置いてった…そうでしょ!?」

「何も見てない癖に…!良くそんな口が言えるわね…!」

反省するかと思いきや反感を買ってしまったようだ…彼女をどうにかしないと!

「表へ出なさい。戦いよ。」

「なっ…!?」


ーコンテナ外ー


「レイヴ…スズカを止める方法は無いの?」

『彼女が怒りに身を任せてしまった以上、私でもどうにもなりません…』

「やっぱり…平手打ちなんかやらなきゃ…!?」

瞬きをした一瞬、スズカが消えた…!?

『後ろです!』

「ハァッ!!」

ガキィン!!

「素早い…何て脚力なの!?」

カァン!!

恐らくこの脚力はお母さんから教えてもらったものなのか…?

「さぁ、あなたはどう来る?」

「どうもこうもしないよ!!あなたを全力で止めるだけ!!」

脚力は神速、抜刀は光速って…母親がどれだけ凄いかってのが伝わってくる…!

「フロート。」

ドォン!!

「コンテナが…浮いたー!?」

『これが彼女自身の能力「フロート(浮かし)」です!気を付けて下さい!』

おまけに浮かし能力付き!?さっきまでの脚力や抜刀の速度は自分自身の実力ってこと!?

「行け!」

「待て待て待て……待ってぇぇぇぇ!!!」

続く。



次回のロスト・メモリーズⅡは

「俺は彼女の姿をよく覚えてる。」


「よぉ~!殺しに来てやったぜ!」


「決心は…ついた!!」

次回「自身がすべきこと」


「私も、探してみる。家族を…ね。」

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