第2話 英雄と罪
ピンポーン…
「須郷アキラさんはいますかー?」
ガチャ…
「はい…?」
高校生らしい制服を着た男の子がドアから出てきた。この人が須郷アキラなんだよね?
「あなたが須郷アキラさん?」
「そうだけど…何故君達が僕のことを?」
そう言われたら…何て言おうか…
「私達は決して悪い人じゃないよ!」
「セリド様、単純すぎです。」
「うーん…まぁとりあえず中に入って話を…」
「あ、ありがとう…」
ちょっと怪しげな感じだが、中に入れたからいっか。
「それで、僕に何の用?」
「単刀直入に言うけど…私達は他の世界から来た人間なの。それで後にこの世界に「異変」が起こるから、その世界で会うべき人物と会わなければ異変は解決できないの。」
「外の世界?」
「外の世界っていうのは外国とかじゃなくて、その…もはや次元が違うって感じの外なんだ。」
これ毎回説明するのキツいんだよね…
「話はあまり良く分からないけど…この先で何か起こるって言うのなら僕達は全力で止めるよ。」
「話分かってくれ……えっ?今、僕「達」って言った?」
「外の世界の人なら、僕からも話すべきことがあるんだ。シルバーマン。」
『良いのか?アキラ。』
「ブレスレットから声が!?」
驚いた…彼の左腕に着けているブレスレットから声がするのだから。
「うん、外の世界の人達なら話しても良いよね。シルバーマン。」
『アキラが言うのなら止めはしない。ならば私からも説明しよう。』
「あなたは一体誰なの?」
『私がアキラと一体化している宇宙金属生命体のシルバーマンだ。』
「宇宙金属生命体…!?それに…一体化って…!?」
てことはシルバーマンは宇宙人みたいなもの!?もしかしたら、会うべき人物って須郷アキラだけじゃなくてこのシルバーマンも一緒だったのかも…?
「シルバーマンは地球に来たときに実体を失ってしまってね。誰かの体を借りなければ実体化出来ない状態だったんだ。」
『そこでアキラが私を助けてくれたんだ。彼には感謝している。』
「二人は良いパートナー同士なんだね。ところで、シルバーマンの実体ってどんな感じ?」
「体長が40mくらいあって全身が銀色のヒーローみたいな感じだよ。」
「「40m!?」」
まさかお父さんが言ってた「デケェもん」ってシルバーマンのことだったの!?
「レイヴ、銀色の戦士の世界は彼のことなのかな?」
「恐らく彼に違いないでしょう。銀色でヒーローのような出で立ちは彼しかいません。」
ズドォォォォン!!!
地鳴りと爆発音が外から聞こえる…まさか異変!?
「レイヴ、魔獣だよ!!」
「あんな大きい魔獣…さては怪獣と魔獣の融合型…!?」
魔獣の意図を残しておきながらも体長は怪獣と同じ…あれをどうやって倒せば良いの…!?
「あの怪獣は僕達に任せて!行こう!シルバーマン!」
『やるぞ!アキラ!』
「あ、待って!私も行く!」
彼を追いかけて外に出た。アキラは右腕をブレスレットに当てて、シルバーマンと一体化した…!
「SILVER CONTACT!!」
ギュゥゥゥン……
ズドンッ!!
『デヤァ!!』
本当にデカイ…確かにシルバーマンの体長は40mありそう…って今そんなこと思ってる場合じゃなくて!
「私達も行こう!レイヴ!」
「はい!」
「どこへ行くんだ?」
「!?」
呼び止める声の方へ向くと、黒いスーツの男が右手に分厚い本を持ちながら優々と立っていた。
「あなたは一体…?」
「俺は『シンの団』の副リーダー、ルプスだ。よろしく。」
「シンの団…そんなまさか!?」
「知ってるの!?レイヴ!?」
「ええ…今、様々な世界を渡って窃盗や殺人を行うことで有名な盗賊集団です。この世界に現れるなんて…!」
世界を渡る盗賊集団!?しかもその副リーダーが今ここに!?
「良く知ってるね、少年君。でもリーダーから言われてるからな…後々の邪魔になるお前達を消せってね。」
「そこまで言うなら、戦わない理由は無いよね。レイヴ!」
「承知致しました。」
シュン…
レイヴを長刀に変化させて戦闘状態に入る。
「まぁそうムキになるな。今日直接戦うのは俺じゃない。」
「何っ!?」
そう言うと、ルプスは分厚い本を開き始めた…
パラパラパラ……
「さぁ可愛い可愛い魔獣さん。奴を切り裂いておいで。」
パタン。
「来い!!剣角獣 ブレイドコーン!!」
シュオン…
「キィィィン!!」
「魔獣を自分の手で召喚した!?」
まさかあの本には何体もの魔獣が封印されてるっていうの!?
「この本は「記憶の本」。俺が見たものは全てこの記憶の本に記される。それを俺が召喚してるって訳だ。」
「それであなたは直接手を下さないってことね…」
「まぁ…それはどうだかな。それじゃブレイドコーン、奴をやれ。」
「キィィィン!!」
「来るっ!」
ブレイドコーンは頭の角が剣の形状に変わった魔獣…その鋭利な角で切り裂かれたらひとたまりもない。
キィン!!
「ブルゥ!!」
「レイヴ!銃!」
「はい!」
シュン…
「これで…吹っ飛びなさい!!」
パァン!!
「ブル……」
つばぜり合いの末、銃をブレイドコーンの喉元に発砲して倒した。倒れたブレイドコーンはルプスの記憶の本へと還元されていく…
「流石に今ので倒せるとは俺も思ってない。だが「コイツ」ならどうかな。」
「コイツ…?」
パラパラパラ…パタン。
「お前が知ってる奴を召喚しよう。天野英里華!!」
シュオン…
「ハッ!!」
「っ!?」
英里華ちゃんを召喚した!?こいつ…魔獣だけじゃなくて、各世界の「人物」も召喚出来るの!?
「俺が召喚出来るのは魔獣「だけ」とは言ってない。俺が見たものは全て記憶の本に記される通り、様々な世界の「人物」も召喚出来る。」
「何て能力なの…!?」
今目の前にいるのは間違いなく英里華ちゃん…戦わなければいけないなんて…!!
「英里華ちゃん!私だよ!」
「おっと、召喚した奴に何言っても無駄だ。そいつは本人じゃないから感情なんてあるわけ無い。ただ目の前の敵をやるために行動するからな。」
「それじゃ、ただの機械と一緒よ!!」
ガキィン!!
『英里華様は炎を操る魔法少女です!燃やされないように気を付けて下さい!』
「そんなこと…言われなくても…!」
力は本人とほぼ同等か…そりゃ強いわけだよ…!!
ボウッ…!
『来ます!』
「ハァ!!」
「ぬわっ!」
足に炎を纏わせた蹴りを危うく食らうところだった…相手が相手なだけにキツい…
シュン…
「レイヴ、体術でいこう!」
「了解しました!」
レイヴを元に戻して連携攻撃が出来る体術に切り替えた。
「英里華ちゃんが攻めてきたら後ろに回って攻撃、分かった?」
「はい。」
バッ!!
「やるよ!」
薙刀による攻撃を上手く回避、そこから後ろに回って飛び回し蹴りを浴びせる。
「せいっ!!」
「ハッ!!」
ドスッ!!
「!?」
シュン…
「…!?消えた…!?」
途端に英里華ちゃんが記憶の本へと還元されて消えてしまった。
「制限時間が来てしまったようだな。退却だ。」
制限時間?召喚に制限時間があるの!?
「待てっ!」
「じゃあな。」
ルプスは消え、私達は茫然とその場に立ち尽くすだけだった…
「二人共!こっちは終わったよ!…?どうしたの?」
「いや、何でも無い…」
どうやら私達が戦闘中にシルバーマンの方も終わった様子だ。
「私達が本来やるべきことを任せちゃってごめんね…」
「良いよ。怪獣なら僕とシルバーマンの仕事だし。」
「機会があったらまた来るね!ありがとう、アキラ!」
「待って!まだ君達の名前聞いてなかった!」
「セリド。セリド・マーセルだよ!」
「レイヴです。」
「セリドとレイヴ…ありがとう!じゃあまた!」
「うんっ!」
ガチャ…
ドアを開いて、私達は元の世界へと帰った…
バタン。
「……この話、ミカは信じるかな?」
『恋人の君の話なら信じるんじゃないか?』
ー元の世界ー
「ただいまー!」
「お帰り!セリド、レイヴくん!」
「ただいまお戻りになりました。」
「帰ってきたか。どうだった?あの世界は?」
「お父さんの言った通り、「デケェもん」見られたよ!」
「だろ?やっぱ凄いだろあの世界?」
「それと、ラルス様にお伝えしなければいけないことが…」
「何だ?」
「シンの団…ご存知ですか?」
「シンの団…だと…!?」
ーシンの団アジトー
「見逃したのか、ルプス。」
「あぁ。まだやるには惜しいからな。」
「またお前の独断か。」
「別にまだ焦ることじゃないだろ?お前らしくないな、レクス。」
「まぁ良い。次はアイツに行動させるか。なぁ…「串刺しピエロ(スキュウア・クラウン)」?」
「ご命令とあらば、どこにでも行きますよ。リーダー…」
「次の世界の奴は相当ヤバイやつだからな、頼んだぞ。」
「………!!」
続く。
次回のロスト・メモリーズⅡは
「戦国の世界!?」
「戦国というと相当昔の時代の世界ですね。」
「ちょっと待ってって!私達はあなたと戦いに来たんじゃ…!」
「……斬る…!!」
「私は人を串刺しにするのが大好きなんでね…」
次回「戦国の世界」
「さぁ踊りなさい…非天劇・阿修羅!!」
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