心配事の9割は起こらない/枡野 俊明

「心配事の9割は、ただの妄想!」


 と、本書は言い切っている。


 ほとんどの不安や悩みは、「他者との比較から生じる」と論じている。

 社会、会社、人間関係。どれも他人事だ。


 他人と自分を比較しなければ、たいていの不安は消えるだろうとのこと。


 比較するとすれば、他人ではなく自分と向き合うことが大事だ。


 お金を持っていたとしても、足ることを知らない人はいくらあっても満足できない。

 足ることを知っていれば、たとえ地べたで暮らすような生活でも満足ききる。



 本書で興味深かったのは、終盤の「心にユーモアを取り入れよう」という項目だ。


 若かりし頃の立川談志師匠と、五代目 三遊亭 円楽師匠が、海へ泳ぎに行ったときのこと。

 

 円楽師匠が海で溺れ、大騒ぎになった。

 

 しかし、談志師匠は助けに行かない。

 

 幸い、他の人が助けたおかげで円楽師匠は助かった。


「どうして助けてくれなかったのか」と、円楽師匠は談志師匠に怒った。


 すると談志師匠はこういった。


「ふたりとも溺れ死んだら、関東落語界は死んじまうだろ?」と。


 円楽師匠と談志師匠、どちらかが生き残っていれば、落語界は生き残れる。

 そんな理屈から、円楽師匠を助けなかったそうだ。

 理不尽だが、理にかなっていると思った。


 このエピソードは面白かったので、小説で使わせていただいた。

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