はじめて書く人のためのミステリー入門/谷口剛司

 正式なタイトルは、『はじめて書く人のためのミステリー入門 ストーリータイプコレクション抜粋版 (「物語が書きたいッ!」文庫)』である。


 小説・ラノベの書き方をKindleで読もうとしたら、だいたいこちらの著者が出てくる。


 それだけあって、「もっともスタートダッシュをかけやすい」本である。


 内容のほどんどは、登場人物の作り方と三幕構成である。

 なので、他の小説入門書と大差はない。


 だが、個人的にはこれ一冊あれば「ミステリ以外の作品も書ける」のではないかと。

 本著は実用書系で、その中でもよりシステマチックである。


『主人公が謎を解くのは、信念に基づいているから。たとえば保護対象への不利益解消、あるいは職務』


『登場人物が犯罪を行う動機は、「悪意」と「善意」である』


『人間の愛憎劇、ドラマを見たい層へ発信するのか、トリック・謎解きを楽しみたい読者むけか、読者をきっちり想定する』


『中盤で中だるみを起こす原因は、「物語に障害を入れていない」から』


 これだけ心がけるだけでも、ミステリどころかどんな物語も書けるようになる。

 

 逆に、これがないとただの「リドル、いわゆる論理ゲーム」、あるいは「パズル」になってしまう。

 ドラマに深みがまれない。

 そうなると、物語としての完成度が低くなる。


 これは、どんなジャンルの作品でも同じことが言えるので、覚えておいて損はないはず。

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