貧乏モーツァルトと金持ちプッチーニ/正林真之

 モーツァルトのような天才でさえ、浪費癖の上に致命的な問題を抱えていた。

「楽曲を切り売りしていた」ために「著作権の意識に乏しく」、終始貧乏だった。

 年収二〇〇〇万はくだらないとされているが、音楽家として二〇〇〇万は少ない、と本書は語る。


 対して、プッチーニは著作権の知識が豊富だったため、安定した収益を獲得していたという。


 このように、「著作権は大事!」というのが、本書のテーマである。


 音大を出たとしても音楽家として食えるわけではない。


 だが、つんくは自身の楽曲を有線で自主リクエストをしてメジャー進出した。

 秋元康は単なる放送作家だったが、作詞に転向して大成功した。


 このように、音楽業界からかけ離れている業種にいたのに、音楽で成功している人達がいる。

 それらも「著作権」という武器を持っていたからである。



・味にこだわりつづける家系ラーメンと、フランチャイズとの比較

 

・海外からも資料オファーが殺到している「くまモン」


・韓国に技術を盗まれて、220億円の損害を出した国産イチゴ


 などのケースを紹介して、

「いかに著作権で食うか」

 という戦略を教えてくれる。


「自分は小説で食べよう!」

 と意気込んでいる人に冷水をぶっかけるようなリアリティを、本書はぶつけてくる。


 後半は「BS:貸借対照表」、「PL:損益計算書」など、簿記の知識が必要なので、しんどい。

 オレは短大で学んだので、だいたい分かったが。


 とにかく、知的財産に対する意識だけでも高まればと。

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