エンターテインメントという薬/松山洋
「ゲームで人は救える」
これは、すべてのエンタメ作家に送るエールだ。
『.hackの新作で遊びたい』
それは、もうすぐ失明する患者が、最後に望んだことだった。
その患者は、目のガンを摘出する必要がある。
幸い、ゲームは完成していた。
だが、発売日は手術の日の後だ。
間に合わない。
そこで開発チームは上司を説得し、発売前の完成品ディスクを手に、患者の待つ病院へ。
手術前にプレイし、患者はゲームのエンディングを迎えることができた。
だが、その背景には、著者の想像をも超えるドラマがあった。
一〇年が過ぎ、代表である著者は、あの日に起きた事実を知らされることとなる。
「アンビリバボー」でもドラマ化されたので、知っている人が多いのではないだろうか。
「ゲームと少年巡る特別な3日間 人生変える奇跡の出会い」
という題名で放送された。
再現ドラマのラストで、製作に関わったチームに、著者はミーティングで語る。
「世間では、ゲームは危険だとか、教育に悪いと言われている」
「だが、ゲームで人は救えるんだ!」
創作における風当たりは、年々強くなる一方だ。
しかし、ゲームで人の心が救えたという事実は、すべてのクリエイターにとって心の支えになるのではないだろうか。
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