ゴロツキはいつも食卓を襲う/福田里香

 ドラマに出てくる、食のステレオタイプ「あるある」を紹介する書籍。


「食事シーンを扱うことで、登場人物を活き活きと描く」一連の流れを、著者は「フード理論」と名付けている。


 本書で語られる「フード理論」は以下の通り。


1 善人は、美味しそうに食事を取る


2 正体不明者は食事を取らない


3 悪党は、食事を粗末に扱う


「なぜ、ゴロツキは食卓を襲うのか」

 ゴロツキは「破落戸」と書き、「食卓を荒らす者」という意味を持つ。


 食卓は、人々にとって安住の地だ。

 それを踏み荒らすことによって、ゴロツキは悪役として認識されるのである。


 逆に、「同じ釜の飯を食う行為」は「腹の底を見せた証」と見なされ、好感を持てる。


 吸血鬼、ゾンビ、霞を食う仙人などの「得体の知れない相手」の場合、意味不明な物質を摂取することで、「手の内を明かしていない人物」と描写できる。


 煙草を吸う行為でも「擬似的な摂取」ととらえることが出来、手で口を覆うことでより「腹を見せない」行為として描けるのだとか。


・「食パン少女」のメタファー


「食パンをくわえて、曲がり角で異性とぶつかる少女」

 とは「色気より食い気」を表現し、

「少女から大人の女へと変貌を遂げる以前のメタファー」

 として描かれている。


・なぜワイロは菓子折に入っているのか

 主食ではなく、「誘惑」を誘発する「嗜好品」だから。

 口に入れなくてもいいが、抗いがたい毒であるから。


 同じように、「失恋した女がヤケ食いするのは、常に甘いもの」である。


・吐瀉物を相手の顔に吹き付ける

「あなたの言葉は飲み込めない」

 に該当し、相手に対する完全否定を意味する。



 

 ちなみに、本書で

「アーモンドの香りがしたら青酸カリ」

 という説明がある。


 みなさんは

「アーモンドの種のような香ばしい匂い」

 を想像しているのではなかろうか。


 小説講座で知ったのだが、アーモンド臭というのは

「アーモンドの実の匂い」

 らしい。


 杏子や梅のように甘酸っぱいのだという。


 口に入ると胃酸などと反応して青酸ガスを発生させる。

 そのガスによって、死ぬのだという。


 つまり「香りを嗅ぐだけでも危険」なのだ。

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