自分の中に毒を持て/岡本太郎(Kindle)

 自分のやりたいことをやるべきか。

 人に受ける作品作りをすべきか。


 作家に限らず、作品を作る仕事を選んだ人なら誰しも悩んだだろう。


 芸術家岡本太郎は強い言葉を持って

「失敗したっていいじゃん」

 と言ってくれている。


 失敗したとしても、自分の生きる道を作り上げていけたなら、いつのタレ死んでも構わない、という人だった。


 オレ自身、岡本太郎と聞くと

「変わった人」

 という印象しかなかった。


「芸術は爆発だ」という言葉も、意味不明と思っている人も多いだろう。


 だが、その意味とは非常にリスクを伴い、危険な賭けを要求される言葉だった。


 昔、岡本氏に好意的なジャーナリストが

「あなたのような原色バリバリの絵を描いていたら、日本の芸術界から干されますよ」

 と、忠告されたことがある。


「それならそれで結構。オレは戦うよ」


 と岡本氏は返答した。


 それだけ、挑戦的で命がけだったのだ。


 結果的に、岡本太郎は誰もが知る超有名な芸術家となった。


 楽な方へ流されず、自分の信念を持って

「こっちにいったら大変だろうけど、やりたいのはこっち!」

 と思ったら迷わずそっちを選べ。


 自分を殺すべし。自分の中の常識を捨てろ、と。


 本書で、岡本太郎は何度も繰り返している。


 当然失敗するだろう。でもそれでいい。

 

 自分はダメ人間だと平気で認めてしまう。それでいい。

 成功することより、「挑戦する」ことに意味があると、氏は主張する。


 自分の無力さを知って、制約を受けないで生きる。


 すると、積極的になるものが浮かんでくる。必死で見つけるんじゃなくて、自然と見つかる。


 それに無条件で打ち込む。

 そうすれば、気づいたら高みに到達しているよ、と。


 道に迷っている人、コツコツやっていても成果が出ない人には、限界突破のきっかけになるのではなかろうか。

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