オタク成金 / あかほりさとる(購入)

 オタ文化界のレジェント、あかほりさとる先生のエッセイ。


 なんとあかほり先生は、シナリオの実力で言えば、


「養成学校で、ドベから二番目」


 だったらしい。


 同期に


・『仮面ライダー クウガ』の脚本担当、荒川あらかわ 稔久なるひさ先生

・『ガンダムX』の川崎ヒロユキ先生

・『幽遊白書』の隅沢すみさわ 克之かつゆき先生


 などがいたらしい。


 同期の天才ぶりを示す、極めつけのエピソードがある。


「『アイ ラブ ユー』を100個訳せ」

 という問題で、荒川先生は、



「アンタなんか大っ嫌い!」



 と訳した。


 あかほり先生はシンプルに「ヤラセろ」くらいしか訳せなかったという。


 

 脚本家として生きることになった先生は、師匠から、

「設定オタクになるな! アニメはキャラありきだからな!」

 と注意を受けたらしい。


 キャラが最初にあって、スットーリーがあって、最後が設定だと。


 オタクはまず膨大な設定を作ってしまう。国、距離、お金の単位まで。


 それであかほり先生も「シュラト」執筆時に細かい設定を考えていた。

「オレは誰よりもシュラトを知っている!」と脳内で豪語していたそうな。


 そのとき、おもちゃメーカーから、「シュラトは四駆モノにしますので」と言われ、驚いたらしい。

 

 ありえねえ、と激怒したら、プロデューサーから呼び出しを受ける。


「あかほり、目を覚ませ! 設定なんてクソなんだよ!」


 と逆ギレされた。


 結果的に、シュラトの後半はあんなカンジになりました、と当時を語っていた。



 このように、先人でも苦労の日々はあったのだ。

 また、設定はクソなのである。

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