第16話 ケツイと

意気込んで十字軍の拠点に向けて歩き出した一団だったが、これまでの戦いで一団の身体はすでに疲労困憊だった。そして、言うまでもなく疲労困憊なのは身体だけでなかった。


「そろそろ着くはずなんだが、随分と長いな。いい加減いくらか手応えがあってもおかしくないはずなのだが。」


「私たちは敵とやりあえるだろうか。」

「どうしたんだ今更。らしくない。」

「もうラピもいない。アルもいない。私たち一体何ができるっていうんだ。俺たちに残ってるものなんかもう何もないだろ!」


「…」


「私たちがやるには大きすぎることなんだ!わかるだろ!?」


「…」


ピシャッ


一発、和也が陽向に平手打ちを入れた。


「今まで散々言ってやがったが、もう限界だ。怖くなるのは構わない。俺だって不安を抱いている。それもとても大きなやつだ。だが、どうしてそうなるまで放っておいた!俺をなぜ頼らない!」

「…そんなこと、言えるわけないじゃないか。」

「じゃあだ。いなくなったあいつらはどうするんだ!?アイツらが死んだってのは無駄だったってのか!?そんなの俺が許さないぞ!」

「…ははは。和也は厳しいなあ…」


「ともかくだ。ウチの軍も、アルもラピもみんな俺たちのために色々やってくれてたんだ。やるしかないだろ。ほら、行くぞ。」


この間移動はしてなかったはずだが、いつのまにか城が見えるようになっていた。


「すまなかった。お迎えが来たようだし、そろそろ行こうか。」


こうして一団の、二人は、二人に任せられた戦いに向かうのであった。

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