《これまでのあらすじ》

#01 異世界と

私立聖陵学園の男子寮に住む二年生・天領寺和矢は、同じ学園の岩動真弓から、学園の中庭にある噴水前に呼び出された。そこで深夜24時に、その前で告白して両思いになれば、ふたりは永遠に愛し合うことができると語り継がれているからだ。

しかし和矢をそこで待ち受けていたのは、生徒会長の海堂陽向だった。彼女は和矢に、告白を断るよう要求する。

そこへ現れたのは、右手に大きすぎる様な両刃の剣を持つ黒い鎧だった。和矢はその剣に一刀両断されてしまう……。

目が覚めると、そこは板張りの粗末な小屋。彼の世話をしてくれていたと思われる少女は、長い耳を持っていた。少女は、和矢の持っていた携帯電話の画面を見て悲鳴をあげる。少女が彼に見せてくれた木製のレリーフ。そこに彫られていた人物は、どう見ても岩動真弓だった。


#02 無能と

ここが異世界だと理解した和矢の前に、魔法で日本語を喋る男、アル(アルブレッサーラ)が現れる。彼の説明によると、この異世界には10年に1人ぐらい和矢のような人間が流れ着くらしい。アルから和矢は、神にもらった能力は何かと尋ねられる。この異世界に転移してくる人間には、理不尽なほど凄い能力や、何か目的があるものだと彼は言う。だが和矢には、そんなものは何もないのだった……。

和矢は木製のレリーフをアルに見せ、それが地母神マユミェンテだと知る。この神は数百年前に、世界から消えてしまったとされていた。

和矢は元いた世界に帰るために、この異世界を旅することにした。この街の外には魔獣がいたり危険だとアルは言う。そして和矢の修行が始まった。


#03 超兄貴と

アルの元で冒険のための修行を重ねる和矢。一ヶ月半が経過した頃、彼はアルから崖の下に落とされる。彼の目の前には、海パン一丁で褐色肌でスキンヘッドの筋肉ムキムキマッチョマンの男が立っていた。


#04 意外な助っ人と

その男の名はラピ(ラピスラズリ)と言った。彼はアルと知り合いらしい。ブロードソードを取り出したラピは、それを和矢に与える。


#05 宿敵と

そこへゴブリン達が現れた。魔物たちは何かを讃える言葉を唱え始める。すると現れたのは海堂陽向だった。カイドゥ・ヒィ・ナターと名乗る彼女は、複数の部族に分かれ勢力争いを繰り返していたゴブリン達を、またたく間に統一した人間なのだという。ゴブリン達の用心棒だと主張するカイドゥと和矢は戦うことになる。


#06 協力と

和矢と日向の力の差は歴然だった。ラピがその戦いを止めた隙に、和矢は満身創痍の身体を引きずり必死に走って逃亡。戦っていた日向とラピは和矢を探すため、協力することに。


#07 老婆と

森の中を逃走した和矢は、泉を発見する。だが身長3メートルを超える怪物に襲われ、両腕の骨を粉砕されて泉の中に落ちる。深いその底で待ち受けていたのは老婆だった。彼女は和矢の能力はコピペだと言う。そしてその能力の特訓が始まる。


#08 推測と

老婆は『泉の貴婦人』という最高位の水精霊だった。彼女の説明ではコピペ能力とは、自分の身体のステータスを他の者に丸っきり与える能力のことだった。そして五百年前に、この世界に岩動真弓と同じ顔の女性が来ていたことも知る。地母神マユミェンテは、やはり真弓なのだろうか?訓練は続く。


#09 惨劇と

水底での訓練を開始して1ヶ月と少しが経った。和矢は貴婦人の実力行使で4体の水ゴーレムと戦うことになり、受けたダメージを相手にコピペするという手法で勝つことができた。そして貴婦人の力により、和矢が目覚めた街「カリシュ」に帰る。するとそこには惨劇が。たくさんの街の住人達が死んでいたのだ。そこでゴブリン達に襲われるが、和矢はそれらも倒す。アルの声に導かれ、和矢は最初の小屋に。彼を助けたくれた少女シェキーナも死にかけていたが、和矢はそれをコピペ能力で治療する。そしてこれらを行ったのは、ゴブリンを引き連れたラピスだと知った。その傍らにいたのは、洗脳の魔法を得意とする過激派魔術教団『黎明の十字団』の魔法使い。彼らは地母神マユミェンテを崇めているのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る