第49話 この世界に馴染めないけど
ー鉱山第5層。上城サイドー
気がつくと、身体のあちこちが痛く、右太ももから大量に血が流れている。
頭もズキズキする、
今も身体のあちこちで熱い血が流れているのがわかる・・・
目の前にはケンタウロスが傷だらけのロミーさんに、近づいて行くのが見えた!!!
何でココにロミーさんが!?
心なしか、気を失う前より、身体の痛みは引いているし、ロミーさんが回復してくれた???
俺はケンタウロスの気をこちらに向けるため、顔を狙って攻撃をした!!
ダン、ダン、ダン、!
ケンタウロスの気をこちらに向けると、覚えたての"heal shot"をロミーさんに向け放ち、ケンタウロスの残りのHPを確認した。
あと少し!!
早く、こいつを何とかして、倒して、ロミーさんを助けないと!!!
ダン、ダン、ダン、!
"shotgun"に切り替えて、強力な攻撃を撃ち込む!
あいつ、左腕が無くなっている!?
ロミーさんがやったのか??
頭に剣が突き刺さっているのにまだ立っていられるのか!!!!
ケンタウロスもだいぶ弱ってる!
動きも鈍い!!!
これなら俺でもいける!!!
"shotgun"に"雷撃"効果を付属させて、
ケンタウロスの頭に刺さったロミーさんの剣にヒットすれば、そこから脳へ直接感電させられるはず!!!
三日月に色々、追加してもらったスキルが役に立つ時が来た!!!
"stun gun shot"!!!
ドドドドドドドドドド!!!!!
地面が揺れる!!!
巻き込まれないようにロミーさんのもとに何とか駆け寄った。
上城「ロミーさん!、、、良かった!息はある!!」
視界にウインドウが現れ、文字が表示された。
『congratulations!!!』
倒した!?
ロミーさんが追い込んでくれたおかげで
俺がケンタウロスにトドメを!!!
手配モンスターを倒した事により、俺に大量の経験値とアイテムが手に入った。
ログを確認すると、"Rommieの分の経験値を取得した。"と書かれている。
いや、そんな事よりも、今はロミーさんを早く、安全な場所に運んで、治療を!!!
ー居住区ー
居住区のまで何とか辿り着いて、門を閉めた所で、ロミーさんを下ろし、傷を確かめた
上城「な!」
左腕の骨が見えてる!?
しかも皮だけで繋がってる状態!?
上城「うぅ、」
俺は嗚咽を抑え、無我夢中で"heal shot"を繰り返し使った。
もう、どらくらい経っただろうか、ロミーさんから流れる血が止まらない、
"heal shot"
"heal shot"
"heal shot"
"heal shot"
"heal shot"
ロミーさん!!俺の力じゃ治せないのか!!!!!くそっ!!!俺が一人でこんな場所に来なければ!!!ロミーさんが傷つく事は無かったのに!!!
"heal shot"
"heal shot"
ロミ「がはっ、ぁぁぁ!」
!!!
ロミーさんが意識を取り戻した!!!
上城「ろ、ロミーさん!ごめん!さっきからずっとやってるんだけど、僕の回復じゃ君を治せないんだ!!」
"heal shot"!!!!!
"healing shower"〈癒しの雨〉
!?
ロミさんの魔法。。。
こんなにもボロボロなのに、俺にまで回復を!?
何で・・・
ロミ「上城さん、ここまで運んでくれて、治療してくれてたんですね、ありがとうございます。上城さんが回復弾覚えてなかったら多分、死んでました。あはは、いっつつ、はぁ。まだ動けそうにないです」
上城「ぼ、僕は、」
ロミ「はぁ、ゴホッ、ゴホッ、すみません、ちょっとだけ寝てもいいですか」
上城「う、うん、休んで!」
ロミ「私への回復はもう大丈夫です、上城さんも、休んでくだ、さい、すみません・・・」
上城「ロミーさん!」
"healing shower"〈癒しの雨〉はロミーさんが気を失った後も、しばらく降り続けた。
魔法がまだ消えないって事は、ロミーさんはまだ生きてるって事だよな???
そう思うと少し安心した。
癒しの雨のおかげで痛みがだいぶ引いた気がする。。。
さっきまで、ずっと、"heal shot"を使い続けてたけど、何百回くらい使ったんだろうか・・・
ロミーさんの頭を膝に乗せ、顔の血を拭い、眠る顔を眺めた。
どうして、ここへ?
俺がここにいる事は三日月が教えたんだろうけど・・・
司祭様の護衛と言う、とても大きな仕事を任されて、キャタルスシティにはまだ到着してないはずなのに、どうやって???
でも、来てくれて良かった。
助かった。
どれくらいの時間が経ったのだろうか。。。
眠るロミーさんをただ眺め、
ただ、自問自答を繰り返しても何の解決もしなかった。
ロミーさんを小屋のベッドまで運んであげたいけど、ロミさんを抱える体力も残ってない。。。
アカギ「小屋には居ないな、ネコそっちはどうだ」
ネコッチ「あ!居ました!門の前に!!え?ロミーさんも!?」
二人が助けに来てくれた!!
上城「ロミーさんに早く治療を頼む」
ネコッチ「はい!輝さんも一緒に!」
上城「俺はいいから、今使えるMP全てロミーさんの治療に使ってくれ、俺は治療を受ける資格ないから!!」
アカギ「何言ってんだお前、ネコ、とりあえず、二人の血を止めてやれ」
ネコッチ「はい!」
上城「俺の所為で、ロミーさんを、こんなにしてしまって、俺は、治療を受ける資格ない。治療はロミーさんだけでいいから」
アカギ「お前は、少し落ち着け!同じことばかり繰り返してるぞ、そんな取り乱した姿、ロミーに見られたくないだろう?」
アカギに肩を強めに叩かれ、我にかえった。
上城「すまない」
アカギ「ここには、お前の様子を見に来たんだ、まさかロミーがいるとは思わなかったが」
上城「ケンタウロスに捕まってダメかと思ったよ・・・でも気づいたらロミーさんが居て、」
ここまでのことをアカギとネコッチに話した。
ーしばらくしてー
ネコッチ「ロミーさんが起きましたよ!」
アカギ「おう、輝、行くぞ」
俺はアカギの肩を借りロミーさんのいる小屋へ入った。
何だかよくわからないうちにベッドに寝かされ、ロミーさんの魔法で治療を受けた・・・
ロミーさんの笑顔がまともに見れない。
あたたかいな。。。
安心してスーッと眠ってしまった。
しばらくして、ケンタウロスとの戦闘を思い出し、眼が覚めた
上城「はっ!ロミーさん!?」
ロミ「はいはーい、ここですよ!よいしょっ、いたぁぁ、たた、」
ソファに寝転ぶロミーさんが、起き上がろうとして肩を痛がっている。
急いで駆け寄って座るのを手伝った。
上城「だ、大丈夫?」
へへへ、っと笑うロミーさんの顔を見たらなんだか急に身体の力が抜けて俺はその場に崩れてしまった。
ロミ「大丈夫ですか?」
ロミーさんに頭を優しくなでられて、俺は生きてて良かったと心の底から思った。
上城「!!」
ロミーさんを抱きしめていた
俺の頭をずっとなでてくれている。
ヤバイ、ちょっとはずかしい。
勢いで抱きついたけど、俺何やってんだ!
情けない姿晒して!!!!
ロミ「はぁはぁ(痛い!)か、上城さん、凄いですね!レベル100以上あげたんですね!!!いやぁ血の滲むような努力をしたんですねぇ。」
上城「そんなんじゃない」
ロミ「なんでですかー、頑張ったから強くなれたんですよー!それは自慢していいと思いますよー」
上城「君に迷惑かけた!いっぱい、迷惑かけた!死んだかと思った!君が死んだかと!!!」
ロミ「それを言うなら!こっちのセリフです!駆け付けたら、ケンタウロスに捕まってるし!頭とか身体中大量に血を流してるし!全然動かないし!死んだのかと思ったし!!!私、危うく、自分が暴走するかと思いましたよ!!!」
!!!
ロミーさんに怒鳴られ、ぐうの音も出ない。
ロミ「あ、すみません、怒るつもりなかったんです!本当に!でも、本当に、お互い無事で良かったです!本当に!」
上城「ごめん。。。」
ロミ「お、怒ってないし」
上城「ゆ、許してし、、、」
お、俺は何言ってるんだ、言葉を真似てまで、何がしたいんだ!!
頭から煙が出るほど、恥ずかしい!!!
ロミ「謝るのやめてくださいし!くすくす」
上城「!!」
いつまでも、顔を伏せててもアレだし、俺は思い切ってロミーさんの顔を見た。
骨折していることを忘れて抱きついていた所為で、ロミーさんは物凄く痛そうにしていた!!
上城「は!ご、ごめん!痛いのに、我慢させてたし!ご、ごごごごめんし!!」
ロミ「あは、あははは、いっ、痛っ、あは、あははは、痛たたた、だし」
やめ時がわからないいぃ
上城「うぅ(赤面)」
頭をわしゃわしゃなでられ俺は恥ずかしさで何も考えられなくて、また下を向いた
ロミ「もう、合わせなくていいですよー」
ロミーさんがバランスを崩しソファに横になるのを支えた
上城「大丈夫?痛いよね、どうすればいいかな」
ロミ「うーん、じゃー膝枕してもらえません?あの時みたいに」
上城「え?」
な、なんで、この子は急にこんな事を・・・
いや、でもせめてものお詫びになるなら、ロミーさんが望むのならそうしよう。
なんか、ニコニコしながら俺を見ている気がする・・・
俺は恥ずかしさのあまり、ロミーさんの方を極力見ないようにした。
ロミーさんの事が不思議で仕方がない。
上城「どうして、笑ってられるの?死にかけたのに、どうして笑えるの?」
ロミ「あー・・・死にかけてまでも笑える理由かぁ・・・それは多分、この世界が好きだからですかね。私楽しいんです。こっちの世界の方がものすごーく、自分には合ってるって気がするんですよ。」
俺はロミーさんの話に困惑している。
ロミ「毎日満員電車でもみくちゃにならないし、毎日嫌味ばかり言うパワハラ上司もいないし。のびのびできるし、魔法や剣を使って広い世界を冒険できるし!今、メッチャ、楽しいんです!そう言う瞬間ないです?」
楽しい瞬間か、そういえば
上城「・・・初めて誰の補助もなく自分一人でモンスターを倒せた時は凄く嬉しかった。」
ロミ「そう!嬉しいですよねっ!」
死にかけたはずのロミーさんが、むじゃきに笑いながらこの世界の事を語っている。
俺たちの居た世界よりもこの世界の方が合っている???
正直理解できない・・・
俺は、ロミーさんみたいにはなれない。
けど、こんなにも楽しそうに話してくれるロミーさんが言うのだから、この世界もそんなに悪くないのかもしれない。
正直、この世界に馴染めないのは俺がちゃんと、この世界を見ようとしないからだったんだ。
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